「赤い瞳の理由」
歌詞
始まるまえに なぜか終了
みんな集まれ さぁ注目
どうか足元には 気をつけな
割れたガラスは 戻らねぇから
三羽ガラスは どっかいった
行方は不明 遭難者
オレンジの電気 まくらカバー
昨夜は泣いた いじめられた
根性焼き タバコ ライター
イスの下に がびょうくらった
油性ボールペンで 感謝刻む
消しゴムでは消せない SOS
ガラスのシューズと 赤い瞳の理由
逆再生 19年
怒り 苦しみ 透明になれ
俺も同じ 君だけじゃないぜ
傷跡 あれは 中学生
いじめ 大雨の後の夜明け
同級生からの嫌がらせ
授業中帰った 俺
親 先公 いわく 原因不明
ハタチ過ぎまで 実家もねぇ家庭
アポなしで来やがった あの先公
ガラス割って逃げた ボロアパート
当時の俺の寝床は 台所
家出に窃盗 交通事故
ずっといえなかった 本当のこと
心に決めた「見返してやろう」
ガラスのシューズと 赤い瞳の理由
逆再生 19年
怒り 苦しみ 透明になれ
俺も同じ 君だけじゃないぜ
頑固で 頑な 強がり 拒んだ
イチョウ並木 空から落ち葉
いつの間にか 眠りにおちた
私は夢の中 ピーターパン
危ない橋 渡り始めた
とばないよりは 恐らくいいから
サッカー5人抜き マラドーナ
自分のペースで 歩こうな
脅された数字は 7ケタ
明日の荷物 今日背負うな
色は白か黒か それともセピア
お前の弁護士 俺でよければ
ガラスのシューズと 赤い瞳の理由
逆再生 19年
怒り 苦しみ 透明になれ
俺も同じ 君だけじゃないぜ
むかし むかし 握ったナイフ
いじめた連中 見返すマイク
ひたすら考えた 死ぬことも
乗り越えてきた 春夏秋冬
地元じゃ フラッシュたかれ
俺はなんか でも ちがう感じで
テレビにも呼ばれるようになって
でも俺だけ 空回って 飲む酒
あいつとも別れて ひとりシングル
結婚 まるくなるクソ連中
売れた 売れねぇ 無名 有名
勝ち負けだけが すべてじゃないぜ
ガラスのシューズと 赤い瞳の理由
逆再生 19年
怒り 苦しみ 透明になれ
俺も同じ 君だけじゃないぜ
Rap by Meubish 2016
メウビッシュの存在の凄さは、境界線にいる生物学的には完全に弱者な存在が、生物学的には強者たちの音楽なり思想に興味をもって、アンバランスな自己像を表現する姿を晒したところだと思う。
そういう弱者の中で、初めて不特定多数の人目にふれたのが彼だったからであり、ヒップホップは社会的な弱者の表現手段ではあるけど、メウビッシュは自分の弱さを自覚しつつも、抜け出せない。
なけなしのヒップホップファッション、強い自己像、理想の自己像の演出、本人なりの自己改革。
こんな凄いものをみれるなんて、まさにネットのある時代だからこそだと思うし、正直本人が報われることはないが、他人にとっては最高のエンターテイメントだと思う。
彼の行動を一般のモノサシで叩く人がいるが、わかってない。
これはひとりのライマーが自分の理想に生きようとする姿をみることができる、という、大げさでもネタでもなく、歴史的な記録だと思う。
知恵遅れの本気と、世間の解釈のズレが彼の美しさであり、このような出来事は、ネットの一過性の記録に留めてはいけない。
弱者が表現するヒップホップ、という、希少な存在なのだから。
本来淘汰されるはずの弱者が注目を集めた、という奇跡が起きて、注目を集めている間にすべてをぶちまけようとする弱者の悲痛な感情を、顔を歪ませて本気でぶつけてるから、支離滅裂なのに脳裏に刻まれるし、クセになる。
インターネットの発展と文化がもたらした奇跡だと思う。
本当に。
人間社会の隅に追いやられてる存在であることが、彼のアートの視覚的、音楽的な、最大の特徴になっていると思う。
ズレた彼が常識通りにやろうとした結果、その他と大きくズレて生まれた偶然の産物で、彼が常識にとらわれない自由な発想の持ち主というわけではない。
深い意味はないんだ、メウビッシュの行動に。
彼の中の男の理想像が、1996年くらいのウエストコーストで、それを彼なりに追いかけているだけだから。
ただ、ズレまくって、空回りしてる姿が面白い。
ノリアキと同列で語る人がいるけど、彼はイロモノという集合には含まれるけど、別物だよ。
メウビッシュ本人自身は、イロモノじゃなく正統派、極めて王道なラップスターを追いかけていた。
こんな貴重な動きを忘れちゃいけないと、俺は思う。
だいたいは弱者が勇気をだして自分を変えようとしても、挫折の数が増えるだけなのだ。
彼はもがく。
しかし変われない。
それでも自分を変えようとバンダナを巻き、生きる記録。
ある意味では今、どの存在よりも、オリジナルなのではないか。
