患者様からメールをいただきました。
そのまま載せてもいいと仰っていただきましたので、遠慮なくここへ載せさせていただきます。
以下本文
渡辺先生へ;
先日より治療でお世話になっている吉田です。
約二年前に運動中にぎっくり腰になって以来、整形外科や整骨院、鍼灸治療、ペインクリニックでの注射等色々とためしてきましたが、結局慢性化した腰痛が治りきらないまま、最近ではもう完治はあきらめていました。 今回、ご縁があって渡辺先生の治療を受け、今度こそあきらめかけていた痛みの無い以前の自分に戻れそうでわくわくしています。
わずか二回の治療で、この二年間続いていた痛みがかなり軽減され、本当に感謝しております。 先生の治療は勿論のこと、身体や健康に関する色々なお話しを聞くだけでも癒されます。
渡辺先生は、直接お会いすると、その誠実で温和で信頼できるお人柄?がわかってとても話しやすく安心できる方なのですが、電話では少し硬い感じがしました。
確か先生のお話しで、痛みの記憶は約一ヶ月でリセットできると言われたように
思います。それを目標に痛みの無い自分をイメージして頑張りたいです。
次回の治療も楽しみにしておりますので、どうぞよろしくお願いします。
ありがたいメールをいただきましてありがとうございました。
痛み記憶のリセットは、この方の話でそれぞれの患者様によって違います。
ただ、痛みは記憶します。これは確実です。
確実に言えるのは、脳で記憶することと、脊髄で記憶するということです。
痛みを伝える神経線維は脊髄の後ろに入ります、ここでシナプスを介して次の神経線維に連絡します。
神経と神経の連結部ではそれまでの電気信号ではなくて、化学物質で伝達されます。
この時、普段なら痛みの連絡を受ける、キャッチャーが少ないのですが、慢性的に痛みの爆撃が脊髄の後ろ側に起こると、キャッチャーが増員されるのです。
キャッチャーはタンパク質で出来ています。
タンパク質の半減期は6~10日です。
脊髄の後ろ側で痛みの爆撃を受けない状態が続けば、増員されたタンパク質のキャッチャーは6~10日で半数になります。
良い状態が続けば、さらに6~10日で半数となります。
つまり脊髄での痛みの記憶は、タンパク質のキャッチャーの増員なのです。
私が神経学を学んでいた頃、ノーベル生理学賞を受けた研究に、アメフラシの記憶の研究がありました。
そんなもの何の役に立つの?
そう思っていたが、痛み記憶に結びついたのですね。
最先端研究と臨床がかけ離れすぎて、現場の臨床家はもう意味不明状態です。
最先端研究と臨床の間の架け橋になる人材がなかなかいないのですね。