7 時起床、そのまま朝風呂へ。

朝ごはんもゴージャス。そのまま晩御飯でも満足できる内容だった。

ご飯を食べた後は窓辺で椅子にかけて景色を眺めてた。


かの文豪で昭和の思想家が小説の舞台にした島も見える。


雲の切れ間からの太陽光が灰色の海面に大きな水玉模様をいくつか作っている。船が何隻か浮かんでいる。手前の雑木林ではトンビなのか鷹なのかは不詳の猛禽類がカラスのつがいと喧嘩してる。


友人がスマホでBGMを流し始める。

余計な事しなくていいのにと思ったが、彼は飾りたい人なんだなと思い、止めなかった。最初はお気に入りのJPOPらしい賑やかな曲がかかったが、次に彼が選んだのはいい日旅立ちだった。


「最初の曲だとこの風情ある景色に合わない事に気づいた」と、聞いてもないのに選曲の理由を説明してくれた。なるほどちゃんとフロアの空気を感じてDJしてくれてるんだなと少し関心した。


送迎バスで駅まで送ってもらい、昨日の続きへ。今日もたくさん歩いた。お昼ごはんは散策地に隣接する茶屋街で地域の名物を頂いた。


午後は少し場所を移動しつつ、散策したところ縁の博物館と美術館へ行った。


ひと通り見終わり時刻は15:30頃。

最寄り駅までバスで移動した。

その駅で友人とは別れた。別れの挨拶は達者でな。


僕はローカル電車を乗り継ぎ、都合5時間かけて次の目的地へ移動した。


最後の乗換から3時間は目的地に直通の2両編成のローカル線に揺られていた。部活帰りの学生がちらほら乗っていた。


読みかけの小説の続きを読む事にした。

段々に日は沈み、人里離れた場所を走る列車の窓の外は漆黒だった。ときどき、トンネルの壁が窓のすぐ近くをすごいスピードで流れてまたすぐ漆黒になった。

おそらく凄い山の中を走ってるのだと思った。小説を一度閉じて辺りを見回す。気づいたら一緒に乗っていた学生達はもう誰もおらず、乗客は僕1人だった。世界が本当に窓の外にも在るのかすら不確かになる漆黒を眺めた。


不思議と不安はない。1人の時間に慣れたからか、それとも、肉体から心の奥底まで暗黒の中にいた3ヶ月前と比較したら、今の状況がむしろ嬉しいからなのか。


また小説を開いて続きを読み始めた。

小説は原田マハのキネマの神様

この人は言葉がもたらす奇跡を讃えている。

あなたと一緒に買ったあの本もまさにそうだった。あの本に救われた時の事を思いだして泣いてたら、新しい乗客が入ってきた。

山を抜けたようだった。

目的地近づいている。