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スノボは、長野の白馬まで行った。


4人で行って、二人部屋を二つ借りた。
吉町(仮名)♀と、僕とが同じ部屋に泊まることとなった。


『着替えるんで、あっち向いててください』

と、着替えの際にちょっとドキドキするシチュエーションはあったが、そういう気持ちを持たない相手には、何にも沸き起こったりしないものだ。


10秒もしないうちに、
『もうそっち向いていい?』
なんて言って、
『キャー』
とかいう定番の流れもやったが、やはり何も沸き起こらなかった。



一日中、滑り倒して、雪の中の露天風呂を堪能した。
信州味噌鍋も美味しかった。


疲れて、早めに床に就く。

横になって、吉町に話したのは、かおりちゃんがどれほど可愛らしく、いい子なのか、ということだった。

吉町はいいやつだから、そんな話を、嫌な顔せず聞いてくれた。

話が盛り上がって、テンションが上がってしまい、枕に抱き付いてバタバタしていたら、腕をシーツで擦って擦り剥いてしまった。

吉町に保湿クリームを貸してもらい、患部に塗った。

何をやってるんだろう。と、思った。



かおりちゃんに、雪原の写真を送った。



翌日。
御塩(おしお)さん(仮名)や、その他の先輩後輩が、日帰り組として合流した。


やっぱり御塩さんがいると、その場の空気が和む。
皆がハッピーな気持ちで過ごせる。


帰りは皆で新幹線に乗って帰宅。
すごく楽しかった。


かおりちゃんに、お土産でりんごキャラメルを買った。
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えっ、なんで!?うそ!えっ、だってさ、さっきまでさっ、えっ、えっ、どうしよ、えっ、えっ。




僕が時間に間に合わなかったら、皆に迷惑が掛かってしまう。

なぜなら、皆の新幹線のチケットを、僕が持っているから!




パニックに陥ってしまった。



ブゥゥゥゥゥゥン…
ブゥゥゥゥゥゥン…


携帯が鳴っている。


一緒に行く予定の竹尾くん(仮名)からである。



さらにパニくる。



とにかく落ち着け!
とりあえず電話は無視!



5秒間。
深呼吸して、心を落ち着ける。


落ち着いて、次にこう考えた。


そうだ。動きながら考えよう。



動きながら、頭の中を仕分けしてみる。

今やらないといけないこと。
やらなくていいこと。
やってはいけないこと。



今やらなくてはいけないことは?

すぐに東京駅に向かう。
荷造りをする。

荷造りをしながら、どうするべきか考える。

タクシーに乗ろう。


荷造りをしながら、何をカバンに詰めるか考える。

ウェアは?
出して、畳んで、バッグに詰めて…
だめだ。時間無い。

パンツは?着替えは?
後回し後回し。

ゴーグルは?
どこにしまったっけ?
だめだ。パス。

靴下は?
部屋に吊したコレを持っていこう。

チケット、お財布、ケータイ?
これは絶対持ってかなきゃ。


この間、十数秒。
持っていきたいけど、時間が掛かるものは、切り捨ててゆく。

コンバースのハイカットの靴を、無理矢理かかと履きして、家を飛び出す。


マンションの非常階段を、三段飛ばしで掛け降りる。

走りながら、さっき着信があった竹尾くんに電話。



プルルル…
プルルル…



『もしもし…?』


『ごめん!さっき起きた!今から向かう!絶対間に合わせるから!じゃあ!』



プープー…



電話しながら、道路へ飛び出す。
タクシーが丁度、遠くで走っていた。


手を振る。
停まる。
ドア開く。
滑り入る。




『東京駅!大至急で!お願いします!!』




すぐに高速に入る。
間に合うか?

時刻は6時15分を過ぎていた。と、思う。



タクシーの運転手さんが、尋常じゃない様子の僕を見て、言う。

『東京駅は、どっち側だい?』

『あの、新幹線に乗らないといけないのです!』

『じゃあ、八重洲口だな。しっかり掴まってな。』

ギュイイィィィイイイイイン!!!



果たして、『しっかり掴まってな』なんて言ったかなんて定かではない。

でも、運転手さん頼りになる人だったことは確かだ。



6時25分頃。
皇居の辺りに来ていた。

これは、間に合うかもしれない。
と、思った。



どこかで、車は右に大きく曲がった。
曲がった先に、見たことのある建物が。


東京駅だ。


時刻は6時30分を回った。


僕は震えた。
間に合う!



『運転手さん!もうここから走ります!ここで停めて!』



『馬鹿言え!まだ近付ける!入り口の目の前に停めっから、待ってな!』


果たして、『馬鹿言え!』だなんて言われたかは分からない。
でも、運転手さんが、強い口調で僕に言ったのは確かだ。



料金は、3600円ほどだった。
時刻は、6時33分。
あと3分しかない。



財布を開ける。
5000円札と10000円札が。


間に合うには、“アレ”をするしかなかった。
苦しかった。
でも、アレをしなければ、絶対に間に合わなかった。






バンッ!






勢い良く、5000円札を出す。






そして言う。







『つ、釣りはいらねぇぜ!!』





5000円を払い、ドラマでしか見たことのないシーン。
アレを再現してしまった。

果たして、『いらねぇぜ』なんて江戸っ子の言葉を使ったかは定かではない。

でも、必死だったことは確かだ。



タクシーを降り、走りだす。
携帯をとり、吉町へかける。


プルルル…
プルルル…


『もしもし?』


『今駅!ついた!どっち行ったらいいかわかんない!』


考えてもらちがあかないので、とりあえず改札を通る。


そして走る。


すると、見覚えある景色が広がってきた。
去年、待ち合わせをした改札だ。




間に合った。
時刻は、6時34分。




でも、見当たらない。
皆が見当たらない。


どこにいるのだ!?


分からない!!



僕は、もうどうしたらいいのか分からなくなり、とにかく叫んだ。




『わぁぁぁぁああああ!』


時間になんとか間に合ったこと、皆がどこにいるかわならない最後の焦り。

色んな感情でわけわかんなくなって、とにかく出た言葉がこれである。



声に気付き、皆がどこからか姿を現した。

とにかく、皆にチケットを渡し、改札を抜け、ホームへ。


間一髪。
間に合った。


皆、もう諦めていた。
次の新幹線で、立ってでもいいかなんて思っていたようだった。


でも、僕は諦めなかった。
諦めなかったら、間に合った。

諦めないって、素晴らしい!


心からそう思った。
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どんな時も諦めない。


言葉にするのは、すごく簡単だ。

どんな時も、最後まで諦めない人を、僕は尊敬する。

僕も、どんな時も諦めない人になりたい。



1月12日(土)から1月13日(日)まで。
会社のメンバー数名と長野へスノボをしに行った。

去年に辞めていった『吉町(仮名)♀』が、福岡から来てくれた。
昔、この日記にも登場している、“頭のいい馬鹿”がタイプという女の子だ。


新幹線や宿など、ツアーの全手配を、吉町がやってくれた。
本当に、気の利く子だ。

チケットなどは、東京のJR窓口で受け取らないといけなかった。
吉町は福岡在住なので、僕が代わりにチケットを受け取りに行き、当日まで皆の分まで保管していてあげていた。



1月12日(土)AM6時36分
僕達が乗る新幹線の出発時刻だった。

この新幹線に乗るために、6時15分頃に駅の改札前に待ち合わせをすることにした。
(ちょっと早めに設定した)

逆算すると、5時45分に最寄りの三軒茶屋駅を出発する電車に乗らなければならなかった。



1月11日(金)の夜。
明日のスノボツアーを楽しみにしながら、夜中まで仕事をしていた。



ブゥゥゥゥゥゥン…、ブゥゥゥゥゥゥン…



携帯が鳴る。


御塩(おしお)さんからだ。



三茶で飲んでいるから、来いとのこと。


三茶に着き、すずらん通りの“次男坊”へ。

御塩さんと、先輩の山尻さん(仮名)がいた。


さらに、珍しい人いた。

僕らが普段お世話になっている居酒屋さんに勤めている女の子『汚(よご)ちゃん(仮名)』もいた。


明日のことなんて、すっかり忘れて飲んでいた。


カラオケへ行った。
朝まで歌ってしまった。


スノボの荷造りを全くしていなかったので、4時半に先にカラオケ屋を後にした。


家に着き、すぐにシャワーを浴びる。
着替えを済ませる。


あとは荷物をまとめて出発するだけとなった。


ホッとする。


少しソファに腰掛けてみた。




フッ…




一瞬。
意識が飛んだ。



僕の精神世界では、たった数秒だった。


時計に目を向ける。






6時10分。






まだ6時10分か。
さぁ荷造りをして、家を出よう。









………………?









!?!?!


6時10分!?!?





え?!?
ちょ、えっ!?
えっ?えっ!ま、えっ?


新幹線、6時36分じゃなかったっけ?
えっ、ちょっと、えっ、えっ、うそ、えっ、あれ?!




間に合わない?!?!





つづく
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1月10日(木)
渋谷でかおりちゃんと会った。
丁度、司法書士の勉強で、セミナー?のようなものが渋谷であったようで、セミナーの後に時間をいただいた。


桜ヶ丘町にあるイタリアンで待ち合わせをした。


セミナーがなかなか終わらなかったようで、ビールを飲みながら、ひたすら待った。


実は、実家から持ってきたお土産は、この時に渡した。



お土産と一緒に、手紙を渡そう。
そう思った。


一緒に鎌倉で買ったレターセットがまだ残っていたからだ。


ビールを飲みながら、手紙を書く。


書き出して思ったのは、『何を書いたらいいのだ』ということだ。


好きです。とか?
いやいや、タイミングおかしいでしょ。


色々考えて、『自分の好きな言葉』を書くことにした。
(きっしょ~)




『自分を信じる』という言葉が好きだ。

他人の意見は大事だと思う。
でも、自分がこうしたいって思ったことは、やらないといけないと思う。
他人を気にして、それが理由で行動できないことがあるなら、それは後悔だと思う。


自信という言葉がある。


自信って、僕は自分を信じるって書いて自信だと思う。


何に対しても自信を持てないでいた。
誰かに認められたいって、いつも思っている。
認められることで、自信を手にできるなんて思っていた。

だから、自信ってのは誰かから貰うものだと、思ってた。


いつまでたっても、自信を持てなかった。


でも、自分を信じることが自信なんだって、思うようになって、人からの評価とか、気にする前に、とにかく思ったようにやってやろうと、思うようになった。


そうすることが自信になっていくと思うと、心強かった。


だから、自分を信じるって言葉が好きだ。



こんな長々としたことは書いていない。
とにかく、自分を信じるって言葉が好きです。って、書いた。


手紙の中に、太宰府天満宮のお守りを入れた。



かおりちゃんは、すごく喜んでくれた。



かおりちゃんは、頑張り屋さんだ。
目標がある。
目標に向かって、ひたむきに努力している。

素敵だと思う。そういうのって。


かおりちゃんには、自分を信じて、これからも進んでいってほしい。


心からそう思った。
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1月6日(日)
また、お田鶴(たづ)さん(仮名)に会った。


お田鶴さんにも、実家のお土産を渡したのだ。

本当は、かおりちゃんにだけ買って、渡すつもりだったものを、一部ピックアップして、渡した。



お昼に、三軒茶屋で待ち合わせをした。

東京餃子楼で餃子を食べた。

街を案内した。


「この商店街は、日曜日は歩行者天国になるんだ。」

「そして、ここを真っ直ぐ歩いて行くと、下北沢に続いているんだ。」

「三軒茶屋と、下北沢を結ぶ通りだから、茶沢通りっていうんだ。」


夜になると、赤い提灯が出て、飲み屋の通りとして賑わう路地も案内した。


「この店に行きたいと思ってるけど、勇気が出ないんだ」

家庭料理「美味」という店の看板を指差して言う。


三軒茶屋シネマと、その隣にあるシアターも教えてあげた。


一つ一つを、「うん、うん」と頷きながら、聞いてくれた。




「ちょっと待って!」




三軒茶屋シネマから少し入った道。
千代の湯っていう、トタンの板で作られた壁がずっと続く小道で、お田鶴さんは叫んだ。



「見て!」



小道から空を見上げて、お田鶴さんは言った。



見上げると、空から小道を覆い隠すように、木が伸びて枝分かれしていた。



「柿の木だ~」
「こんなとこに柿がなってるなんて、素敵~」



そう言いながら、空を遮るように実を付けた柿たちを写真に撮るお田鶴さん。




今まで何回も、この場所は歩いた。
でも、気付かなかった。
そんなものがあるなんて。



家のすぐ近くに、栄町商店街という商店街がある。
その商店街に『セブン』というコーヒー屋さんがある。

そこで、話をしながら、コーヒーを飲んだ。



ギターを習い始めた話。
ウインナーコーヒーの名前の由来の話。
箱根駅伝で感動した話。

他愛もない、クソみたいな会話をいっぱいした。



すごく楽しかった。
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ギターの先生の店での反省会(という名の飲み会)が終わった頃。


既に終電は無くなっていた。


いつの間にか、教室の他の生徒は帰っていた。

なぜか、残った数人で、新宿三丁目のバーに行くことになった。



おねぇ系のマスターがいる店だった。



そこで、カラオケを朝までやった。




歌の上手い、下手とはいったいなんなんだ。


割と上手く歌える歌を何曲か歌った。



『カラオケで上手いレベルだな』



そう、しきりに言われ続けた。

上手いと言われるのは嬉しいが、“カラオケで”と付け足されると、なんかイラッとくる。


あー、あー、そーですよ!
だからなんなんですか!

カラオケが上手く歌えるぐらいで自惚れんなってか!



『おめぇの歌じゃ金は稼げねぇぜ』
先生が僕に言った。



なんか悔しかった。
何が悔しいって、何でなんだろ。
なんでいきなりそんな話をされなきゃなんないのか分かんないし。

そもそもさ、金稼ぎてぇなんて言ったかい?!



いつ!

誰が!

どこで!

誰に!

何を!

どのようにして!




言ってねぇっつーの!
一ッ言も言ってねぇ!
素人!私は素人です!
凡人!
寝耳に水です!
ネミミニミズ!!





『おめぇの歌じゃ人を感動させれねぇぜ』

『おめぇは自分が気持ちいいだけだぜ』

『オナニーだぜ』

『マスターベーションだぜ』



歌えば歌うほど。
批判批判批判批判。




「別にさぁ~。俺、プロ目指してるわけじゃないしぃ~。楽しくカラオケしたいだけだしぃ~。」


そう言ってやりたかった。

実際そうだし。
そう言って笑い飛ばしてやりたかった。


けど。


なんだか悔しくて、口をへの字に曲げて、黙りこくった。




『おめぇはギターをしろ。歌はダメだぜ。』




こうして、僕のロックンロール前夜は幕を閉じた。
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はじめてのギター教室は楽しかった。


楽しくって、調子乗りの自分が頭角を現してしまった。



『好きに弾いていい』
と、言われた8ビートの曲。
16ビートで演奏した。


コーラス入っていいとは一言も言われてないのに、ウォーウォーとコーラスした。


普通に弾けばいいのに、内股気味に小刻みにリズムを刻みながら踊りながら演奏した。




皆、馬鹿にして笑ってた。




ギターの先生は、普段は居酒屋の大将をやっている。
ギター教室が終わると、先生の店へ行き、飯を食べながら酒を飲み、その日の練習の録音を聞く。



酔っ払って、今度は図々しい自分が顔をのぞかした。


「ギター、貸してくださいよ~。練習したいんで」


先生のギターを貸してくれと、せがんでみた。




「よし。じゃあ俺の2ndギターを貸してやるぜ」

先生は、カッコいいギターを差し出してきた。




酔っ払いの勢いとは恐いものだ。
嬉しさから、さらにまた調子に乗った。



「2ndギター?じゃあこれを今日から僕の1stギターにしよう」

と、わけのわからんことを言いだす僕。



言った瞬間。
先生の中で何かが引っ掛かったんだろう。
いきなりこう言い出した。



「なにぃ~。わかった!このギターはてめぇにくれてやるっ!」



なんと、貸してくると言ったギターを、瞬間にくれると言いだしたのだ。



「またまた、僕をやめさせないための餌っすか」

というようなことを聞いてしまう僕。



「違う。おめぇが次から来ようが来まいが関係ねぇ。おめぇにやるって決めたからやるんだ!」



不器用で頑固なオヤジだ。
そう思った。





チャリ~ンッ。


先生は僕に向かって、500円玉を投げてきた。




「ギターやるから、それでタバコ買ってこい」

と、先生は言った。




「ハイッ喜んで!」

僕は勢い良く店を飛び出した。






『いいものを貰った。』
そう思いながら、コンビニへ走った。








店に戻って。
タバコを一箱、差し出す。


「先生。ギターありがとう。」
うさんくさいことも言ってみる。






「まさか一箱だけ買ったわけやないよね?」

講師の手伝いをしているキーボードとベース担当の会社の先輩が言う。




「……。」
黙る僕。





「もう一箱くらい、買ってくるよね、普通。」
先輩が続けて言う。







『キタ!』
と、思った。




『今だ!』
と、思った。





ニヤリ。
ほくそ笑む僕。







「先生!これは僕の気持ち!受け取って!!」






ドーーーーーーーーーーーン!!



店にあるだけのタバコを買って、ポケットいっぱいに詰め込んでた。
ポケットから勢い良く取り出して、その場にぶちまけてやった。





「ハッハッハ」


「このタバコは、お前にやったギターと、等価だぜ。ありがたくいただくぜ。」




ロックンロール前夜だ。


そう思った。
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ギター教室ってもんは、もっと弾き方なんかを手とり足とり教えてくれるもんだ。
と、思っていた。


逆だった。
普通の教室はちゃんと教えてくれるのだろう。

僕が入った教室は、逆だった。



『見て覚えろ』というスタイルだったのだ。


そんなアホな。
と、思った。


必死に見て、真似する。
ちゃんと出来てるか分からない。



見かねたのか、先生が言う。

『G、A、Eのパワーコードをひたすら弾け』



パワーコードがよく分からない。
そこは教えてもらった。
コードのベース音2つを鳴らすことのようだ。



ひたすら、同じコードを、一定のリズムで弾かされた。


疲れて、ちょっと手を止めてみる。


『止めるな!』


怒られる。



いったいなんなんだ!
何がしたいのだ!?



そう思った瞬間。




…ブーン、ブブーン、ブブーン、ブーン。




!?


僕の演奏に合わせて、ベースが入ってきた。




ドタタドタタ!ジャーン!ダッタ、ダッタ、ダッタダターン!



なんと、ドラムも入ってきた。




ピロロピロロ、ピッピーラピララ、ピーッピラピー。



次の瞬間。
キーボードまで加わってきた!




ッツ、チャッカ、ッ、チャッカ、チャッカチャチャーン!



他のギターも!





なに?!
なんなのこれ!?


これってさ。
ひょっとしてさ。
あれじゃねぇ?


知ってるよ!
この感じよく知ってるよ!



音楽!
ミュージック!




いつの間にか、そこには音楽という名のミュージックが完成していたのである!



空間が振動してる。
血液まで。
躍動している。
足の指先から。
頭のてっぺんへ。
何かが沸き上がってる。
体が、クネクネとリズムをとる。
カッコ悪い動き。
鼓動が早い。
それぞれ別々のものが、一つになってる。


なんだこれは!
いや、知ってる。
知ってるよ!

うひゃーーーー!







ジャ~~~~~ン!!






演奏が終わり、先生の方を見る。

きっと僕の口元は、楽しさで緩んでいただろう。
目は見開いていたに違いない。



先生は一言。
僕に向かって言った。





「これが…」







「…ロックだぜ」







僕は言った。






「…チュ…」







「チューーーッス!!」
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趣味はなんですか?
と、聞かれて。

いつも思うことは、趣味なんかないってことだ。


でも、それじゃあんまり寂しいやつだと思われてしまうので、ついつい無難なことを言ってしまう。


映画鑑賞。
音楽鑑賞。


なんてつまんない趣味なんだろう。



以前、一番モテる趣味は何かと、考えたこともある。

走ること。
と、一旦答えはまとまった。
まとまったものの、面白みには欠ける。
それに本当にそれをやって心が踊るかと言うと、違う。




1月5日(土)から新しく始めたこと。

ギターをちゃんと弾けるように、一から習い始めた。


会社の先輩に、キーボードとベースがプロ並に上手な方がいる。
聞くところによると、プロの世界に片足を突っ込んでいらしたそうだ。


その方が講師として手伝っているギター教室に通いはじめたのだ。

アコースティックギターをコード押さえて弾くくらいのことは元から出来る。
たぶん、割と上達は早いはずだ。


ギターを弾けるようになって、3人組のバンドなんか組んで、ライブなんかするという趣味にしたい。



初めて教室に参加した。
参加して思ったのは、ロックンロールをする人間とは、何故にこんなにアクが強いのだ?
と、いうことだ。


話していて疲れる。


でも、新しい世界、新しい人に触れるのは、新鮮で楽しい。


戸惑う事のほうが多い。
でも、戸惑ってる自分が馬鹿みたいで楽しい。



27歳、冬。もうすぐ28歳。

幾人のロックスターが死に、伝説となり、ロックンロールの人生を終えたこの時に。





私は、ロックンロールの人生をはじめます。





ロックンロールをはじめました。
(言い回しがダッサ~)
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1月4日(金)
お正月休み最後の日だった。


かおりちゃんと会う約束をしていた。


でも、ずっとメールに返信をくれなかった。


とうとう面倒臭いと思われたか。
と、思った。

前日の深夜、メールが来た。

『頭痛でずっと横になっていた』とのことだった。



「明日は会えそうかい?」
と、聞いてみた。


「仕事初めに良くなっておきたいから、明日大丈夫そうだったら連絡するね」
と、返信。



これは、本当は断りたいけど断れないでいるんじゃないだろうか。
と、思った。


かおりちゃん、優しいから、はっきり断れないのかもしれない。
と、思った。


苦しくなった。
考えることをやめた。




翌日。

朝はメールがなかった。

昼になって。
まだ連絡が無いので、こちらからメールしてみた。



『治った』とのこと。



でも、なんだかかおりちゃんは僕に会いたくないんだという風に思えて仕方なくなった。




『悪化してはいけないから、また今度会おう。』
と、送ってしまった。



相手が何を思ってるか分からない。
伝えてくれた言葉が、本当の気持ちなのかが分からない。


相手の言葉の裏側を考えるようになって、なんだか胸が苦しくなった。