かぶとむし

昨年夏からカブトムシを飼育している。


昨年のゴールデンウィークにたまたま無料でもらった幼虫を育て、立派なオスの成虫まで飼育した。


たまたま息子と近所の大学キャンパス内でカブトムシが集まる木を発見し、そこから一匹だけメスの成虫を連れて帰り、繁殖をさせてみた。


メスは卵を産み、その卵から幼虫が生まれ、その幼虫をせっせと世話して、約一年が過ぎた。


十数匹いた幼虫は保育園のお友達に譲渡したりして、手元には6匹の幼虫が残った。

先日、その6匹が無事にみんな成虫になった。



自分が小学一年生くらいの時、カブトムシの幼虫をもらってきて世話をしていたが、すぐに死なせてしまった。

土も腐葉土ではなく適当な土だったし、霧吹きなど土の水分調整もしなかったから、今思えば死んじゃうのは当然だし、小学一年生ごときが簡単にできるお世話ではないのだが、その後悔がずーっと自分の中に残っていた。

今回誰も死なせずに成虫まで飼育できたことで、あの時の無念を少し晴らすことができたと思う。
死にたいと思ったことがある。
生きることより、死んだ方が楽になんじゃないかと、
今すぐ消えてなくなりたいと、
そんな考えになってしまったことがある。

今は、失いたくないものが多すぎて、
置いていけない人がいて、
見届けたいことがありすぎて、
死にたいだなんて思わない。

生きていれば報われるとか、そんなことは言えない。
生きることは辛いことの連続だと思う。
もしかしたら、死んだ方が楽なのかもしれない。

それでも言いたい。
死なないでと。

死の衝動は振り子のようなものだと思う。
または浜辺に打ち寄せる波のようなものだと思う。

死の衝動が寄せては引いてを繰り返すんだと思う。

だから一瞬の衝動に身を投げ出さないで欲しい。

その一瞬が去れば、きっと凪がやってくると思う。

だから、どうか死なないで。
それだけが言いたい。




どうも。ようすこです。

元気です。あなたは、元気ですか?

僕は、精一杯に生きております。


この日記を昔に読んでいて、思い出したかのようにまた覗いてみてくれたあなた。

あなたに言いたいことがある。


僕のことを忘れないでいてくれて、どうもありがとう。

一日も途切れることなく、ちゃんと生きてました。

あなたと同じく、一日も途切れることなく、ちゃんと生きていました。

毎日毎日生きておりました。


僕は何か道に迷いそうな時に、自分のこの日記に舞い戻っては何かを思い出しているような気がする。


あなたはどうだろうか。

一体なぜまたこの日記を見にやってきたんだろうか。


暇つぶしだろうか。だったらあなた、どんだけ暇なんだ。

なにかいい趣味を見つけた方がいいと思う。楽天のポイントを貯めるとか、いろいろやってみた方がいいと思う。


もしくは、何かを探す迷いの道の中で、ふらりと迷い込んで、ここにたどり着いたんだろうか。

だとしたらあなた、こんなところにあなたの探し物なんて見つからないよ。

見つかるとしたら、くだらないどうしようもない一人の男の、最低で最高の日々だけさ。


もしかしたら、それを探しに、やってきたのかもしれないけど。


もし、あなたの探し物が、この最低で最高の日記の中に見つかるのなら、これ以上の喜びはない。



今日からまた、毎日日記を書いていこうと思う。

なんか前にもこんなこと書いてすぐ書かなくなっちゃった気がするけど、今回はちゃんと書こうと思う。


たぶん、もう面白いことは書けないと思う。(昔書けてたみたいに言うが)

そこは期待しないでください。(してない)


誰かが言ってました。

続けることに意味があるのだと。(YouTubeじゃないんだから)

それを信じてやっていこうと思っています。


なので、毎日30分だけ時間を使って、30分で書ける内容を投稿していこうと思います。


どうぞよろしくお願いします。


久々にムカつく人間に会った。
こんなやつに絶対負けたくないし、絶対にギャフンと言わせてやる。
そう思った。


長くお取引をさせてもらっている某社の某部署から異動になって会わなくなった四下さん(仮名)という方がおられる。
その方から突然にメールがあり、異動した部署でなにやらお仕事の依頼をしたいとのことだった。




僕は印刷会社の営業をしており、営業成績は全く良くない。
どちらかと言うと成績は悪いBランク営業である。


それでもこんな僕を気にかけて、異動先でも声をかけてくれる四下さん。
なんていい方なんだろうと思った。


印刷の他、デザインもお願いしたいとのことで、打ち合わせには会社のデザイナーさんも同行してもらった。


異動先の部署で責任者をやっているという四下さん(仮名)。
打ち合わせには同じチームの方々が2名参加された。



今上さん(仮名)と、後畑さん(仮名)と名付けよう。


今上さんは男性。
真っ黒に日焼けして、髪はサイドを刈り上げて少し長く残した上部の髪はガチッと整髪剤で固めた、最近の床屋ヘアー。
ブルーのストライプのシャツを着て、胸元のボタンを第二ボタンくらいまで外してある。
ズボンは丈が少し短く、靴下を履いていない。
そしてこのご時世にも関わらずマスクをしていない。


マスクをしていようがいまいが正直どうでもいいが、マスクをしている人間を、バカ真面目にマスクなんかしちゃって。と、あざ笑うかのような表情だった。

そして冴えない僕の頭から足の先をちょろっと眺めて、ヤレヤレという感じで席についた。



後畑さんは女性の方で、その後ろをついて歩いてきた。



打ち合わせは始まったが、特に資料などはなく、やりたいことをツラツラと説明するのみ。
我々は一生懸命に話を聞いた。



「どのくらいの情報を入れましょうか?」
「それならこういう要素があった方がいいんじゃないでしょうか?」
「その情報は不要じゃないでしょうか?!」
「ここはもっとちゃんと説明がいるから紙面はもう少し大きくした方がいいですよね!!」



特に資料が存在しないので、デザインを制作するにあたり、一生懸命にどんなものを作るかを探ろうとした。
意見をぶつけて、議論をしようとしたのである。



しかし。



今上「あ、考えるのはこっちなんで。そういうのいいんで。」









....................……。








へ?








え?デザイン作るんだよね?資料とかないよね?
だから作るために色々聞かなきゃならないよね?
そのためのインタビュー的なものだよね?
ヒアリングってやつよね?分かるよね?そうだよね?






今上「クリエイティブはこっちで考えるんで、デザインはしなくていいです。じゃ。」




じゃ。と最後に言ったかと言われると正確には言ってない。
だがそんな感じだった。


四下さんはデザインも含めて依頼しようとしていたようだが、今上さんは印刷だけしてくれということだった。


別に印刷会社だから、印刷さえできればそれでいいさ。
だけどこんな風に気合入れて、このメンバーでここに来たんだ。
それをまるで、タンポポの綿毛を吹き飛ばすかのように一息で消しとばしやがって。



印刷会社は印刷だけしとけよ。
ゴチャゴチャ中身について意見するなよ。
中身はテメーらには関係ねーよ。



そんな風に言われたようだった。
僕らはなんか府に落ちないまま、印刷の見積もりを作成するために口頭で内容を聞き、メモり、打ち合わせを終えた。



打ち合わせ後、久々に会う四下さんと世間話をふってみると。



今上「あ、僕時間ないんで」



そう言って自分の仕事用のMacBookを閉じて部屋を出て行った。



あなた方と必要以上の会話をする必要はござーせん。
と、言われた気がした。



こんなヤツに負けねぇ。
仕事用にMacBook使うようなやつに負けねぇ。



思い知らせてやる。
テメーなんかよりよっぽど俺たちの方が面白いってことをな!!!
(論点ズレてない?!)

東京都知事選挙が近い。


毎回こうだったのか覚えてないが、ヤバイ人の立候補が目立つ気がする。

彼らは本当に当選する気があるのか、よく分からない。
分からないが、メンタルは鋼のように強いように思う。



彼らを見ていて、ふとこう思うようになった。


彼らは最初から当選するつもりもないし、東京を変えようとかも全然思っていないのではないかと。



馬鹿馬鹿しく、滑稽に、批判を恐れずに人前に自分を曝け出し、我々をただ勇気づけようとしているのではなかろうかと。


だとしたら彼らはすごい。
人前で自分をさらけ出し、間違っているとか馬鹿じゃないかと言われるようなことを言い、やっている彼らを真似できるかと言われると、できない。
(真似したいとも思わない)


ただひたすら自分を曝して、自分の言葉で発言するというのは、このネット社会、匿名社会へのアンチテーゼなんじゃないかと思う。



SNSでの誹謗中傷なんかどうでも良い。
だって俺たちこんなことして!こんなこと発言しちゃって!こんなに叩かれて!呆れられて!
どーだ参ったか!
あんたなんかよっぽどまともやぞ!

と、言ってくれているんじゃないだろうか。



都知事選で無茶苦茶やってる(一部の)候補者の方。



どうもありがとう。



今、誹謗中傷されたり、誰かに嫌われるのが怖かったりするあなた。



そんなのどーってことないよ。
あいつら見て元気出そう。


穣よ。
君はお父さんの情けない姿を見たいと思うかい。
お父さんは君に、自分の情けない姿なんて見せたいとは思わない。
君をがっかりさせたくないんだ。


今日、お父さんは会社で社長に強く怒られてしまった。
詳細は割愛するが、自分の仕事の進め方、スタッフのマネージメントが、会社の方針と異なってしまったからだ。


チームの皆で考えて進めていたのだから、当然これは正しいと思っていたことだったけど、指摘されると確かにその通りだなと思う面もあり、悔しい気持ちになったよ。
かなり落ち込んでしまったりもした。



穣よ。
今日君に伝えたいことは、お父さんはそんな情けないサラリーマンなんだ。ということではない。

今日は、伝えたいこと、というよりお父さんが気づいたことを記したい。


話は飛躍する。
お父さんのお父さん。すなわち君のおじいちゃんについての話だ。


おじいちゃんもサラリーマンだ。(今も)
お父さんが子どもだった時、毎日おじいちゃんが仕事から帰宅した時のことを思ったりする。


疲れたり、機嫌が悪かったりしたことがあるだろうか。
記憶ではそんなことはなかったように思う。


決して元気に「たっだいま〜!うっひょひょーい!」というように明るく帰宅していたわけではない。

そういうわけではないが、帰ってくるなり「勉強したのか!」とか「寝ろ!」とか機嫌悪く言われたこともない。


毎日のほほんと帰宅していた。



会社で嫌なことも、悔しいことも、情けないこともあったと思う。
でもそんなこと家では1ミリも見せず、のほほんと帰宅していた。
イライラを家族にぶつけたりすることもない。
(いきなり近くで屁をこいたりはしてきたが)



穣よ。
お父さんは、おじいちゃんのそういうところを見習いたいと思う。


会社の嫌なことを家に持ち込まず、かと言って自慢したりもせず、のほほんと家にいてくれた、あのスタンスを。
(近くで屁をこいたりはしてきたが)


苦労してお給料を稼いで、家ではのほほんと家族を養ってくれたことを。
(近くで屁をこいたりはしてきたが)



のほほんと帰宅して、のほほんと着替えて、のほほんとテレビを見ながら、のほほんと夜飯を食べて、のほほんと風呂に入り、のほほんと寝て、のほほんと朝起きて、のほほんと出社する。


きっと家の玄関を出た瞬間に、シャキッと変身していたんだと思う。



穣よ。
そんな簡単に、のほほんとできると思うかい?
できるさ。
 
毎日どんな嫌なことがあったって、悔しい思いをしたって、情けなくたって。


穣よ。
玄関を開けて、君が出迎えてくれたらそれだけで。
寝てても、寝顔を見たらそれだけで。



もう、のほほん、となってしまえるよ。



穣よ。
のほほんは、君が与えてくれているのだ。

穣よ。
お父さんは、6年前に、仕事で大きな過ちをおかした。
でも沢山の人に救われ、今も変わらず同じ仕事をさせてもらっている。

6年も経つが、今も自分が引き起こした過ちが頭から離れない。
生き生きと働くべきだと思っているが、どうしても心が閉じてしまう。
間違いをおかした自分が、生き生きと働いていいのだろうかと。
毎日毎日思ってしまう。


きっと誰もそんなことは思わないし、考えすぎだと分かっていても、どこかあの日のことが頭をかすめて、心から自分が何かを楽しんだらいけないように思ってしまう。



穣よ。
君は、昔の自分に憧れたり、昔の自分に戻りたいと思うことがあると思うかい?


お父さんは、自分が昔書いた日記を、ふと読み返してみたんだ。
そこには今の自分が見習うべきことがたくさん書いてあった。


昔も今と同じように、決して優れた人間じゃなかった。
優れてなんかないんだけど、真っ直ぐな思想みたいなものがあった気がした。
誰にも譲れない何かがあったような気がした。
不器用で駄目な人間には変わりはないけど、駄目なりにがむしゃらに頑張ってた気がした。


今となってはもう分からないし、忘れてしまったんだけど、日記を読むことでその存在を思い出せた気がする。



あの時の自分に戻れるのなら戻りたいと、思う。



穣よ。
元女子サッカー日本代表、通称なでしこジャパンの澤穂希さんを知ってるかい。
知らないかい。
では間寛平さんを知ってるかい。
道は走り、海はヨットで渡り、世界一周をした人だ。「かいーの」と言いながら柱に自分の尻を擦り付けるギャグをする人でもある。
凄い人かそうでない人かで言うと、凄い人だ。
いや、まじで本当に凄い人なんだ。
顔は北京原人みたいな顔をしている。


澤穂希さんってのは、間寛平さんみたいな顔をした女性だ。

その人が言っていたんだ。



「何かを始めるのに遅過ぎることなんてない」と。



穣よ。
お父さんは過去の自分の過ちを決して忘れない。
忘れないけれど、もう誰かに遠慮することなく、思いのままに、がむしゃらに、真っ直ぐに生きていきたいと思う。


あの日以来、声は小さく、目立たず、隠れるように生きてきた。
でも、もうやめようと思う。


声を大きく、くだらない事を話そうと思う。
仕事であまり関わらない人にも声をかけてみようと思う。
自分から何かを発信して、声を上げていきたいと思う。



穣よ。
今からでもきっと遅くないと思うんだ。



穣よ。
君は『フック』という映画を知っているかい。
知らないかい。
では、『ピーターパン』を知ってるかい。
ネバーランドという子どもの国で永遠に年を取らない少年ピーターパンの話さ。
フックという映画は、このピーターパンがネバーランドを離れ、人間の世界で普通に大人になった話だ。
大人になることを選び、自分がピーターパンであることすら忘れてしまっているんだ。


訳あってネバーランドに戻り、フック船長と再び戦わなければならなくなったピーターパンは、空を飛ぶことすら忘れていて、もうどうしようもない状態だった。



穣よ。
ピーターパンは、どうやって再び空を飛べるようになったと思う?



それはイメージさ。想像したのだ。
楽しいこと。美味しいこと。なんでも。
そこにあると願うこと。楽しもうとすること。
すべてを想像したんだ。



たったそれだけ。
空をもう一度飛ぶのに必要なことなんて、たったそれだけだったんだ。
幼かったお父さんは、初めてそのシーンを見たとき、なんて他愛もないことだ、と衝撃を受けたんだ。



でも、今になるとそれがどんなに忘れがちなことか、よく分かるよ。



穣よ。
お父さんはイメージするよ。
君に相応しい父親ってどんなだろうと。
君と楽しく笑って過ごすにはどうしたらいいだろうかと。



穣よ。
お父さんはピーターパンなどではないけど、もう一度お父さんが自分を好きになれるように、イメージするよ。



どうか見ていておくれ。
お父さんがもう一度飛ぶところを。


ジョーよ。
君は、強さとはなんだと思うかい。
強い人とは、どんな人だと思うかい。


残念ながらお父さんは強い人ではない。
むしろ、弱い人の分類にいる。
君には威張っているが、本当はそんなものなのだ。

だけど、強い人ってどんな人なのか、少しは分かる。


でもそれは、強さを理解してるってことじゃない。


この人みたいに強くなれたら、とか。
そういう、憧れの中で見つけた「強さ」ってのがあるってだけだ。


強い人っていうのは、単に喧嘩が強いとか、そういうのじゃない。
どんなことにも立ち向かい、何があっても諦めない。
そんな、心が強い人だと思う。


お父さんの周りにはそんな人がたくさんいる。
お父さんはいつも、そういう心の強い人に助けられているのだ。


そう。
心が強い人は、いつだって助けが必要な人に手を差し伸べられる人なのだ。
強さを誰かのために使うことができる人なのだ。



ジョーよ。
お父さんは君に、そんな人になってほしい。


弱い者のために、何かに立ち向かえるような、勇敢な人になってほしい。

そのために君に、ジョーという名前をつけたのだ。


ジョーよ。
「あしたのジョー」の話を君にしたね。
君は今後、ジョーと名乗るたびに「あしたのジョーだ!」と言われるだろう。
ジョーという名前から、元気で強そうな人だと思われるかもしれない。
ジョーとはそんなイメージを持った名前だと思う。
そのイメージ通りに元気にたくましく、強く育ってほしい。


でもジョーよ。
君の名前の意味はそれだけじゃない。

ジョーという名前にはちゃんと漢字があり、意味がある。
漢字というのは便利で、文字そのものに意味が込められているのだ。


ジョーよ。
君の名前は「穣」と書く。


穣とは、作物が豊かに実る、という意味だ。


つまり、心を豊かに、誰かのことを思いやる想像力を持ってほしいという思いが込められている。


外見やイメージは強くたくましくあってほしいと同時に、内面、本質は誰よりも優しく暖かくあってほしいという、そういう意味が込められているのだ。



それだけじゃない。
穣は、単位でもあるのだ。


一、十、百、千、万、、億、兆という、お金とか乳酸菌とかの数で聞き覚えがあるだろう。


穣は、兆のさらに上、京のさらにさらに上の単位なのだ。
気が遠くなるだろう。


穣という名前は、そんな途方もない人間になってほしいという意味も込められているのだ。


正直最後のはさっき思いついたこじ付けだが、元気で丈夫で、心の豊かな人になってほしいというのは事実だ。


穣よ。
そんな親の都合で好き勝手にボクを型にはめないでくれ、と君は思うだろう。


穣よ。
お父さんは、君を我々の作った型に嵌めようなんて思っちゃいないのだ。
自分の好きなように、思いのままに、自由に生きてくれ。


しかし、自由に生きるってのはなかなか難しいものだ。
自分の進む道に、時に迷う時もあるかもしれない。
そんな時は、お父さんやお母さんに君の話を聞かせてほしい。
一緒になって考えよう。
人生の先輩として、乏しいながら自らの経験を踏まえて、助言ができればと思っている。


ただ、穣よ。
お父さんもお母さんも、ずっと君のそばにはいられない。
君より30年も長く生きているわけだから、いつか死んでしまうだろう。


穣よ。
もしも君が一人になって、どんな風に生きたらいいか分からなくなってしまったら、君の名前に込められた我々の願いに、思いを馳せてほしい。

穣という名前の意味が、君の生きる道標(みちしるべ)になったらいいなと思っている。



穣よ。
自由に生きろ。
大きく羽ばたけ。
何事にも捉われるな。
困っている人がいたら、迷わず手を差し伸べてやれ。
多くなくていい、信頼できる友達を数人持て。
誰にも負けない何かを見つけて、それを磨け。
嘘をつくな。
女の子には優しくしろ。
お母さんの言うことはちゃんと聞け。
無駄遣いするな。
駆け込み乗車をするな。
屁をこいて黙ってるな。言え。
うちは貧乏だから俺中学卒業したら就職して家にお金入れるよ。とか言うな。
金の心配するな。ちゃんと積み立てている。
年上には誰にでも敬意を払え。
周りが見下してるからって自分も見下したりするな。
年下でも敬意を払って接しろ。


穣よ。
お前の人生を精一杯生きろ。
息子の名前は、ジョーと名付けた。


名付けについては非常に迷った。
生まれて役所に届ける期限ギリギリまで決められなかった。

生まれて約2週間、彼は名なしの権兵衛として生きていたのだ。

名前すらすぐ決められない父親だと、さぞこれからの人生に不安を覚えただろう。
本当にすまなく思っている。


だがジョーよ。
名前は君の一生に関わるものだし、親として君への最初の贈り物だ。
それを2週間、いや、君が生まれると分かったその時からだから、約10ヶ月と10日で決めろだなんて、そんなの無理さ。
それくらいお父さんとお母さんは一生懸命考えたのだ。


それをどうか理解しておくれ。

そして、その名前を、一生大事にしておくれ。

お父さんもお母さんも、すごく気に入ってるのだから。



ジョーよ。
なぜ、君をジョーと名付けたか。
今日はそのことについて記さねばなるまい。


なぜならば、君につけたこの名前には、君にどんな人間になってほしいかっていう願いが込められているからだ。



ジョーよ。
君は「あしたのジョー」という漫画を知ってるかい。
ボクシング漫画だ。
主人公である矢吹丈が、ボクシングとの出会いにより人間として成長し、またボクシングのせいで腐敗し、そして再生するという話だ。




たぶん。(え?!)




ふーん。
ボクの名前の由来は、この「あしたのジョー」という漫画からきているのか。
で、この漫画を読めばいいの?
矢吹丈のような人間になったらいいの?
ボクはボクサーになったらいいの?
世界チャンピオンにでもなったらいいの?
ボクはボクサーになんかならないぞ。
ボクの人生はボクが決めるのだ。
親のエゴに付き合ってなぞいられないぞ?!



君は今、そう思っただろう。
そう思った君は、話を断片的にしか捉えられない、せっかち野郎だ。
きっと小学生になって、通知表で「もう少し落ち着きがでるといいですね」なんて書かれちまうぞ。
テストの答案、答えを1問ずつずらして書いちゃって0点になっちまうぞ。


もう少し落ち着いて、人の話をちゃんと聞き届けるのだ。



まず、お父さんはあしたのジョーをちょろっと読んだことあるが、別にファンではないぞ。
君の名前の由来は、あしたのジョーなんかではないゾ。(えー!)


だが、ジョーという名前である以上、きっと君はこれからの人生、この「あしたのジョー」から離れることができないと、お父さんは思っている。


それだけあしたのジョーという漫画は、この日本という国においては重要な漫画なのだ。


だから触れないわけにはいかなかったのだ。



君の名前の由来。




それはまた次回書くとする。(えー!)

息子について書きたいと思う。


息子は2018年5月3日の18時半に産まれた。

出産って、ヒッ、ヒッ、フー、の繰り返しで、何回かやったらスンッと産まれてくるんだとばかり思ってた。
けど違った。
20時間かけて、やっとこさ産まれた。


すごいよマサルさんと言う漫画の最終回が「精一杯のうんこ」というタイトルだったが、出産の方がよっぽど精一杯のうんこだと思った。


生まれた瞬間、産声を上げたあの瞬間を今でも忘れない。
彼は今2歳になり、少しずつ言葉を覚え、日々成長している。


息子よ。
きっとこの先、お前が成長して大人になっても、おっさんになっても。
お前が産まれたあの瞬間の、頼りない泣き声をいつだって思い出すだろう。
泣くたびに「ほぇぇっ、ほぇぇっ」と震えるあの口の動きをきっと忘れないだろう。


お前がどんな大人になったって。
どんなに偉くなろうったって。
どんなにダメなやつになってしまったって。
そうやって産まれてきたんだって。
誰とも変わらず、同じように産まれてきたんだって。
お父さんはきっと、お前が産まれたその日を、いつだって思い出すぞ。


お前の知らない、お前の原点に、お父さんは立ち会ったのだ。


息子よ。
陣痛が始まって、お前が産まれるその瞬間まで約20時間。
大変だったぞ。


腰をさすると陣痛の痛みが和らぐってんで、お父さんはひたすらお母さんの腰をさすったんだぞ。

陣痛には波がある。
だから20時間ずっとではないが、陣痛の波が来るたびに。
ひたすらに腰をさすったのだ。


それだけじゃない。
息子よ。
「いきむ」という言葉を知っているかい。
分からないだろう。
簡単に言うと、ウンチをする時に尻に自然と力がこもる時があるだろう。あれさ。

陣痛が進んでいくと、あの感覚が強くなっていくのだ。
まだ産まれるその時じゃない時に、その力が働くから辛くなるのだ。

これを和らげる方法がある。
それは、拳(こぶし)を強く握りしめ、お母さんのお尻の穴にグッと強く当てるのだ。
お尻の穴にフタを閉めるような要領だ。
分かるかい?

お父さんは、お母さんの陣痛の間、腰をさすってあげながら、拳をお尻の穴に強く強く当てていたのだ。


それでお母さんが救われるっていうのだ。
やらない理由があるかい。
無いだろう。
だからお父さんは喜んでやったのさ。


助産師さんが強いワキガで、本当は片手は鼻を押さえておきたかったけど、そんなことには脇目も触れなかったのだ。


そうやっていたら、いつの時かお前は産まれたのだ。
お父さんはただ指を咥えて見ていただけじゃないんだぞ。



息子よ。
お前がこれからどんな風に成長して、どんな大人になっていくのか。
分からない。
分からないけど。
これだけは伝えたい。


お父さんみたいな卑怯な人間になったらダメだ。
お父さんがこれからお前に教えていくことは、すべてこのメッセージに結びついていくと思う。


息子よ。
自分が人に言われたら嫌なこと、されたら嫌なことを人にしちゃダメだ。
理由は簡単だ。
自分が嫌なことを、相手が喜ぶと思うかい。
思うわけがないだろう。


嘘をついたらダメだ。
ありふれた言葉だが、嘘は嘘を呼ぶ。
どんどん大きくなっていく。
最後にはお前をすっぽりと飲み込んでしまうだろう。
どこへも逃げられない。
嘘からは決して逃げられないのだ。
だから嘘はついてはいけない。

嘘は、何かを隠したり誤魔化したりするために必要になる。
つまり、何かを隠したり誤魔化したりしなければ、嘘をつく必要もないってことだ。
そのためにはどうしたらいいか。
分かるかい。


難しいかもしれないけど、単純なことなのだ。
誰かに言われること、お願いされたり、時に○○しなさいと言われたことを、言われた通りにちゃんとやるってことだ。

今のお前くらいの時からこのことをちゃんとやって、習慣にしてほしい。
小さいことでもいい。
積み重ねていくのだ。


もし困難が立ち塞がる時はお父さんに相談してくれ。
もしどうしても嘘をついてしまった時も。
きっとお父さんには本当のことを伝えて欲しい。
お父さんはいつだって、どんな時だって、お前の助けになる。
絶対だ。



息子の名前は、ジョーと名付けた。
由来はまた今度。