僕は皆のこと、ちゃんと見ていた。
僕はちゃんと見ていたんだ。
結婚式で、高校の同級生達に会った。
会った。けど、当時ちゃんと話をしたことがある人は、ほんの数人だった。
でも、すんなり話ができた。不思議だ。
皆は、僕のことをちゃんと覚えていてくれたんだろうか。
名前だけの記憶じゃなく。僕という存在の記憶を。
クラスの端で、目立たずに空想に耽っていた僕を、皆は覚えてくれていただろうか。
僕という存在を、視界に入れていた人はいただろうか。
僕のことを、ちゃんと見てくれてた人はいただろうか。
僕は、皆のことをちゃんと見ていた。
二次会のビンゴの司会をした陣外君(仮名)。
野球部で、体が大きくて、強そうだった。
でも知っていたよ。
絵が上手くて、見た目よりきっと、すごく繊細なんだろうなって。
竹永(仮名)。
かっこいいのに、女子と話すとこ見たことない。
恥ずかしかったんだな。俺と一緒だ。
海原さん(仮名)。
天パーで、一回ストレートパーマをかけてからは天パーじゃなくなってた。
でももう一回髪切ったら天パーに戻ってたよね。
右伯さん(仮名)。
前髪を斜めにカットしてた。
竹尾さん(仮名)。
文化祭でやってた、オリジナルの歌。すごくいいと思った。
僕は、クラスの端で、一人一人に注目してた。
皆、すごく輝いてた。
皆は僕のことを見てなかったろうけど、僕はちゃんと皆を見ていたよ。
それだけを伝えたかったのだ。
