ようすこのスコスコ日記-200901041630000.jpg

こんにちわ。

人の不幸は蜜の味、ようすこです。







その日は2008年4月21日(月)

お田鶴(たづ)さんは、朝7:30の新幹線で神戸にある本社に向かうと言っていた。(お田鶴さんの会社と僕の会社はグループ会社だけど別会社)



僕は8時には会社に行って掃除をしなければならない。

7時半に博多駅に行くなんて無理だった。





だから、昨夜お田鶴さんとは最後のお別れをした。







さようなら、お田鶴さん。

さようなら、淡くはかなき恋よ。

さようなら、束の間の夢をどうもありがとう。













時刻は朝の6時半だった。

僕は布団にも入らず、まだ出しっぱなしコタツでうたた寝をしてしまっていた。



会社に行く準備をしないといけないけど、昨日、一昨日のお田鶴さんと過ごした二日間を思い返しながら、一人でボーッとしていた。





「楽しかったなぁ」





「可愛かったなぁ」





「お田鶴さんの体、柔こかったなぁ」





「もう、会えないのかなぁ」





「好きだったなぁ」





「いや、“だった”ではなく、今も好きだ!!」









そんな、クッサいことを頭の中で考えておった。







相手は東京の都会人。そして育ちのいいお嬢様。

片や僕は農家の生まれの田舎者。しかもチビ。





昨日までの二日間は幸せな夢だったと思って、忘れてしまおうか。そんな風に思った。





すると気持ちが暗くなって、悲しくなってきた。

同時にこんなことを思った。







デート一日目、凧あげをした時、お田鶴さんのことを考えながらやったら、それまで一向にあがらなかった凧が見事にあがった。





二日目、UFOキャッチャをお田鶴さんのことを考えながらやったら奇跡が起きて一発でキノコの人形が取れた。







あれは果たして、単なる偶然であったんだろうか?



もしかして、ひょっとするともしかして、僕とお田鶴さんは赤い糸で結ばれていて、その糸が巻き起こす恋の奇跡が、まさかあんな現象を巻き起こしたのではなかろうか。



自分でも精神的におかしくなってしまったのではないかと思うような、少女漫画の乙女的な発想が、僕の脳みその海馬だか前頭葉だか前立線だかなんだかから沸き上がってきた。





そして、最終的にとんでもない考えが沸き上がって、吹き上がった。







「もしも、あの二つの偶然が、赤い糸が巻き起こした恋の奇跡だとするならば、その奇跡は必ずまた起こるのではないだろうか」







「もしあれらが、本当に恋の奇跡だったとしたら、7時半に、何の連絡もなしにいきなり新幹線の駅のホームに行って、数百人はいるであろう乗客の中で、お田鶴さんと巡り合うことができるのではなかろうか」



「逆に、巡り合えなければ、単なる偶然という名の偶然だったんだろうということで、きっぱり忘れてしまおう」









「8時に会社?知るかそんなもん!!」



時刻は6時50分。僕は玄関を飛び出し、朝の博多駅へと走りだした。(チャリで)









駅に到着したのは7時25分頃だった。





「ま、間に合った…」





僕は入場券を購入して、ダバダバとホームへ駆け昇った。







次の新幹線の出発は、やはり7時半だった。(実際は7時3?分だったけど正確な時間忘れた)



僕はホームの端から端まで走って、お田鶴さんを探した。







が、いない。







外から窓を覗き込んで、中を捜した。

新幹線の端から端まで、また走って窓を覗き込んだ。





が、お田鶴さんは見つからない。

ショートボブの色の白い女の子は見つからなかった。





どこか見落としてしまったか?それとも一つ先の新幹線で既に出発してしまったか?まだ駅に到着してないのか?





僕は、出発ギリギリにお田鶴さんがホームに駆け込んでくる可能性を信じて、階段周辺をウロウロした。







「出発1分前です」







お田鶴さんは現れない。









「間もなく出発いたしまーす」







プシュルルルル……ガチャンッ















僕は、お田鶴さんに出会うことが、できなかった。











朝のホームはとても慌ただしい。

さっき新幹線が出発したホームには、もう次の新幹線が入っていた。









「さぁ、出勤しなくては」









肩を落として、来た道を引き返そうとした、その刹那だった。









僕の目の前に、ショートボブの色の白い女の子がいた。

















お田鶴さんだった。















「なんでここにいるの…?」



お田鶴さんはびっくりしていた。目がびっくりするぐらい腫れてて、まるで漢字の「一」みたいだった。





「どうしても、見送りたくって!さっきの新幹線だったんじゃないかと思って、会えないかと思った」







「寝坊しちゃって、乗り遅れちゃった!エヘヘ!」









車掌「間もなく出発しまーす」











田鶴「もう行かないと」







僕「うん」









僕は、何故か最後に楳図かずおの漫画、「わたしは真悟」を渡してさよならをした。









「おら、東京さきっと行くだ」





そう思った。









-完-