マタイによる福音書11章20~24節


【奇跡を見ても生き方が変わらない町のリスト】


今日の箇所には町の名前が6つ書かれていて、それらは2つのグループに分かれています。


一つは、コラジン、ベツサイダ、カペナウム

もう一つは、ツロ、シドン、ソドム


前者は生前のイエスが宣教活動の拠点としたガリラヤ湖畔の町の名前です。

ベツサイダは、最初の弟子となったシモン・ペテロ、アンデレたちと出会った「漁師の家」という意味の町です。

カペナウムはイエスが数多くの奇跡を行った町です。(※)

※「イエスはここで、中風にかかった百人隊長のしもべや、熱病で寝ていたペテロのしゅうとめ、汚れた霊に疲れた人、4人のものに運ばれてきた中風の男、などを癒した。

また、カペナウムの役人の息子の病を癒した。五千人の給食やいのちのパンの説教はカペナウム会堂でなされたと言われる。また、マタイの福音書を記した、元収税人マタイの召命もカペナウムで行われた。」(wikipedia)


他方後者は旧約聖書の時代から神に背く、罪の象徴として挙げられる町の名前です。


しかし、ここでは前者がイエスの猛烈な批判を浴びています。(※※)

※※イエスが語った体になっていますが、これは初期のキリスト教会の言葉。



あれだけ奇跡を行ったのに、町が悔い改め(回心)しなかったからです。




【町の回心とは】



では、町が回心する、とはいったいどういうことをいうのでしょうか。


回心とは、生きる方向を変える、という意味です。


だとすれば、町の回心とはその町の行政の仕組みそのものが方向を変える、ということでしょう。


たとえば、それまで「強い・大きい・速い」ものにだけ目を向けていた行政のあり方を変え、「弱い・小さい・遅い」ものを視野に入れる、ということでしょう。


それまで一部の権力者の思い通りに使われていた税金を、貧しい人・弱っている人・困っている人のために使う、ということでしょう。


戦費に税金を投入するのではなく、人々の福祉に税金を使うということでしょう。




【今の日本にこそ回心が必要】



戦争法案が成立しようとしています。


経済的弱者が生き延びるために軍隊に入るしかない日本。

大企業や武器商人が儲けるためにアメリカの戦争に加担しようとしている日本。


国と自治体による税金の使い方、使う方向が、間違っています。


この国にこそ回心が必要です。




【愛のため】



ところで、「回心」とは聖書のギリシャ語で「メタノイア」といいます。


メ・タ・ノ・イ・ア


を逆さまに読むと


ア・イ・ノ・タ・メ


そう、私たちがなぜ回心するかというと、それは「愛のため」だから。


「愛」(アガペー)とは「誰かのことが心配で、千々に心が乱れ、足を引きずって歩く様」を表しています。


「強く・大きく・速い」者が「弱く・小さく・遅い」者と支え合い補い合いながら生きていくにはこの愛が必要なのです。


愛のために回心を!


そのために、私たちは黙っていてはいけない!