【2月4日~7日 米沢と福島、南相馬~浪江】その1…怖くて避けてきた福島
大阪に住む私から見た福島は、「津波と原発事故で人が住めなくなった場所」であり、「ゴジラが暴れてるどこか遠くの町」くらい心理的に距離感のある場所だった。
被災地に行くにしても高い線量と内部被爆が怖くて、「行くなら宮城か岩手」と考えていた。
今回の福島行きも、311の直後から米沢入りしボランティア山形の事務局長として福島からの避難者受け入れに奔走してきた盟友・丸山弘がいなければ実現していない。
カッコよく言えば「被災地を突然訪ねてはお邪魔になる。失礼になる。」ということだが、本音は違う。いきなり福島を訪ねることがただただ怖かったのだ。
この恐怖心には背景がある。
一つは30年前、敦賀の原発で期間労働者として働いた時の経験だ。原子炉内で一時冷却水を拭き取る作業をしていた私は15分間で当時の日本人労働者の被曝上限=150mSv/yの被曝をしてしまい退去した(外国人労働者は500mSv/yだったと記憶している)。これは平均的日本人の150年分の被曝量と同じで、本来なら私はその後1年は原発で働けないのだが、翌日私は新しい線量計を受け取り、偽名・偽住所で原発建屋に入った。その日もし私が事故で死んでいたとしても「本名不詳・住所不明」として扱われていただろう。
もう一つはスリーマイルとチェルノブイリで起きた事故とその後の被害状況だ。
事故後数年たった頃から、周辺には深刻な健康被害や異常出産が報告されているが、アメリカもソ連もWHOもIAEAも、他の地域と比べて異常とはいえない、放射能の影響はみられないと発表している。
たとえば映画「チェルノブイリ・ハート」を「悪意をもって捏造されたものだ」、「フィクションだ」とする意見があるが、私にはそうは思えない。
巨大な利権に群がる連中が搾取と人権蹂躙を平気で繰り返す原発というシステム。それを維持するためなら、どんなに深刻な健康被害や後遺症も「捏造」や「デッチあげ」として隠蔽してしまうだろう。
定期点検の現場で人として扱われなかった経験が、私にそう思わせるのだ。
最後に、この国には放射性物質を扱う場合の厳格な規定がある、ということだ。
福島での事故の収束作業を前提に2013年改定された「電離放射線障害防止規則」第四条の2によれば、「事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び第六条に規定するものを除く。)の受ける実効線量については、三月間につき五ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。」とある。これは1時間に換算すると0.14μSvとなる。事故直後から福島県内のモニタリングポストの値はこの数値の数倍から10倍を記録していた。いうなれば放射性物質を扱う仕事をしている者であっても近づいてはいけない環境が福島県の至る所に存在しているのだ。
(続く)
大阪に住む私から見た福島は、「津波と原発事故で人が住めなくなった場所」であり、「ゴジラが暴れてるどこか遠くの町」くらい心理的に距離感のある場所だった。
被災地に行くにしても高い線量と内部被爆が怖くて、「行くなら宮城か岩手」と考えていた。
今回の福島行きも、311の直後から米沢入りしボランティア山形の事務局長として福島からの避難者受け入れに奔走してきた盟友・丸山弘がいなければ実現していない。
カッコよく言えば「被災地を突然訪ねてはお邪魔になる。失礼になる。」ということだが、本音は違う。いきなり福島を訪ねることがただただ怖かったのだ。
この恐怖心には背景がある。
一つは30年前、敦賀の原発で期間労働者として働いた時の経験だ。原子炉内で一時冷却水を拭き取る作業をしていた私は15分間で当時の日本人労働者の被曝上限=150mSv/yの被曝をしてしまい退去した(外国人労働者は500mSv/yだったと記憶している)。これは平均的日本人の150年分の被曝量と同じで、本来なら私はその後1年は原発で働けないのだが、翌日私は新しい線量計を受け取り、偽名・偽住所で原発建屋に入った。その日もし私が事故で死んでいたとしても「本名不詳・住所不明」として扱われていただろう。
もう一つはスリーマイルとチェルノブイリで起きた事故とその後の被害状況だ。
事故後数年たった頃から、周辺には深刻な健康被害や異常出産が報告されているが、アメリカもソ連もWHOもIAEAも、他の地域と比べて異常とはいえない、放射能の影響はみられないと発表している。
たとえば映画「チェルノブイリ・ハート」を「悪意をもって捏造されたものだ」、「フィクションだ」とする意見があるが、私にはそうは思えない。
巨大な利権に群がる連中が搾取と人権蹂躙を平気で繰り返す原発というシステム。それを維持するためなら、どんなに深刻な健康被害や後遺症も「捏造」や「デッチあげ」として隠蔽してしまうだろう。
定期点検の現場で人として扱われなかった経験が、私にそう思わせるのだ。
最後に、この国には放射性物質を扱う場合の厳格な規定がある、ということだ。
福島での事故の収束作業を前提に2013年改定された「電離放射線障害防止規則」第四条の2によれば、「事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び第六条に規定するものを除く。)の受ける実効線量については、三月間につき五ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。」とある。これは1時間に換算すると0.14μSvとなる。事故直後から福島県内のモニタリングポストの値はこの数値の数倍から10倍を記録していた。いうなれば放射性物質を扱う仕事をしている者であっても近づいてはいけない環境が福島県の至る所に存在しているのだ。
(続く)