50点
※ネタバレ入ります
ループ+フツーの学園モノ。そういうトンデモSFゲーには過度の期待はかけないように心掛けている。
なぜならループものは途中で既読判定的問題や、主人公の記憶的矛盾が起こったり、なによりシナリオライターが「精神力」というものを舐め腐っているからだ。
尤もそれでも私がループものを購入してしまうのは、理由がある。それは「続きが気になる」からである。なぜループが起こっているんだろう? この代わり映えない光景にいつ変化が訪れるのだろう? どうやって主人公は、この状況を打破するのだろうか? こういった疑問が脳内を埋めプレイ意欲を沸かせてくれるし、ゲームって続きが気になることが重要でどの作品にも言えることなんじゃないんですかね。
ループ能力を有したキャラクターは、何らかの目的を達するために葛藤し、その能力を有効活用しようとすることが多いのだが、本作はそれとまったく異なる。
ループを観測することができる主人公は、宝くじの当選を操作したり、模試で高得点を採ったり、カンニング行為を行ったり、賭博を行ったり、自殺をしたりと…能力を有していなかったらできないようなことを行うのだ。私たちがループ能力を有していたらおそらくそういった類のことを実行するだろう。そういう妄想をしたことはあるが、画面上で表現されているのは初めて目にしたのでなんだか新鮮な気持ちだ。
そして主人公どころかヒロイン全員がループ能力を所持している。
(正確には主人公はループを観測し、そのループになされるがままなだけだが、ヒロインたちは能力を使用することができる)
わりかしフツーの恋愛ものに、「9月2日から9月28日までループすることができる能力」を植え込んだという感じだ。
よくある恋愛ADVでは主人公がヒロインAと付き合ってもなぜかヒロインBやヒロインCやその他大勢のヒロインは嫉妬をしない。確かに好きな人が自分以外の特定の誰かと付き合ったら不快な思いをすると思うし、やるせない気持ちになるだろう。それを唾棄するかのように本作では回想でヒロイン同士で殺し合ったり、罵詈雑言の嵐の掛け合いをする。
ゲームの序盤からヒロインが影で悪口を叩いたり、主人公を交えての三人での登校をする描写がなんだか気まずかったりとこういう箇所はリアルに再現されてて面白かった。
確かに最初からゲームのヒロイン4~5人ぐらいの全員が全員仲がいいっておかしいもんな。それをくそくらえと唾を吐き捨てるライターの恋愛ADVに対するアンチテーゼ的メッセージが伝わってきた。
それだけにオチの「主人公及びヒロイン全員が悟りを開き、全員で暮らす」とかいう糞みたいな終わり方は残念。
そこだけは残念ながら頂けなかったです。
まとめ
最後までプレイしてみる価値は無きにしも非ず
やってみて損はなかったと僅かながら言える。
あと5億年ボタンの話題が作中に出てきたときはおおっと思わせてくれたのですが、掘り下げがなくてガッカリ。そういった哲学的話は好みなんだけどな。
ループものが芽を咲くことは滅多にないと思うんだけど、これは若干惜しいラインを沿っていたんじゃないんですかね…。