蒼の彼方のフォーリズム  感想/レビュー | 『また明日とか!』

『また明日とか!』

エロゲのレビューを書こう、そう思っていた時期が私にもありました

<評価:B+>


sprite前作であり処女作でもある『恋と選挙とチョコレート』をプレイ済みで、本作品もSF一切なしテンプレ恋愛ものなのだろうと予測をしており、
本作品のオープニング映像を閲覧してみると、
「空を飛んでいる」
「戦闘描写がある」
「魔法陣?のようなモノが展開している」
ストライカーユニットのような靴を履いている」
というような映像が映し出されていたために、魔術や魔法を駆使して、敵と戦闘を繰り広げる熱いバトルモノかなーと仮説を立てていたのですが、体験版をインストールし、いざ蓋を開けてみると、ガッチガチのスポコンもので、二重の意味で予想が外れるとは思いもしなかったです。
しかもゲーム内で確立された、「もし、人類が空を飛べていたらこんなスポーツがあっただろう」というようなifスポーツ。(詳しくは公式HPを見てください)


シナリオは可もなく不可もないようなスポーツを通しての純愛もの
だいぶはしょりますが、FC(フライングサーカス)というスポーツの元選手の主人公が過去にとあるトラウマで挫折し、ヒロインたちのコーチすることで、第二のFC人生を歩み、ヒロインたちとの恋愛を繰り広げていくという至極単純なものなのですが、、、
これねー恋チョコでもそうだったのですが、メインヒロイン√が正史なんでしょうね…それ以外のルートを選択すると、後味が悪い終わり方をしたり、伏線がろくに回収されなかったり、大会というメインイベントの描写も容易に省かれたり、見るも無惨な結果に終わったりするので、やはりルートによって格差が大きいのが不満です
題材として「少女たちが空を駆け、恋をする物語」と美辞麗句が並び立ててある割にヒロイン格差が大きいのってどうなの?と疑問を禁じ得ない。少女「たち」?????????


というかこのゲーム、面白いか面白くないか以前に厳しいものがある
各ルートの殆どが、
FCの練習→お粗末なデートイベント等が発生→時折、他校との合同練習という負のスパイラルが展開されるためにかなーりの食傷気味になり、嫌悪感を抱く人もいるでしょう
しかもこれ、個別ルート4つも同じことをダラダラと繰り返しているため、八月作品のごとく、睡眠導入剤としての効果がとても強烈的で、ここでプレイを投げ出してしまう人も少なからず存在している気がします
こいつらの会話が面白かったらいいんですけど、絶望的につまらない、本当に面白くない、クスリともこない
どれもテキトーに寄せ集めたような記号の集合体で、単調なイベントをこなさなければいけないのは本当にキッツイ
あとこの主人公、自分の理想論を語り、どうでもいいような持論を他人の異論反論の封じ込めに展開並びに主張する結構ウザめのタイプだったり、いつの間にヒロインに惚れられたの?のようなエロゲ特有の七不思議があったりと美少女ゲームとしての重みや価値が一切ないです、何もかもが薄っぺらい




では個別ルート評…は明日香のみでいいでしょう。後は書きたくなったら書きます。

・明日香ルート
文武両道、2年連続大会優勝者にして現在のFC最強プレイヤー、真藤一成


2年連続大会優勝者である真藤を、顔色一つ変えずに容易に屠った秀才、乾沙希


そんな、幼い頃から血の滲むような努力をしてきた秀才である乾沙希を、たった数か月の努力だけで勝利してしまう超天才プレイヤー、倉科明日香

正直、このルートの中身ってこれだけなんだよねー。
1.ボスがあらわれた!
2.ボスが裏ボスに倒された!
3.メインヒロイン、倉科明日香はたった数か月の練習だけで、持ち前の技量とアニメや漫画並 みのコピー能力でどんどん他人の能力を吸収した!
4.練習自体はシナリオに影響ないのでどんどん負けちゃいます!
5.裏ボスと決勝戦で当たる!奇跡が起こる!優勝!

なんという茶番
こんなシナリオを恥ずかしげもなく世の中に出せちゃうのって逆に潔い
見ていて、心地が良いです
永遠に続く限りのない射精のような感覚というのはこのようなことをいうのでしょう


まとめ
複数ライターの弊害で、主人公の道徳・倫理、思想が異なる点がある
試合中の声がうるさいからヒロインの音声全てオフにした
ただ、ヒロインが絶望する際の心理描写や演出はしっかりと為されていたり、ライターが考え出したスポーツの解説のために図説を用いられてろおり、ユーザー側にしっかりと簡単に理解させやすいようにしている点に関してはは好感が持つことができた
空中での立ち絵やそれに適応したBGMもよかったんじゃないですかね




「少年漫画は僕みたいな甘ちゃんには高尚過ぎてね
 なぜなら少年漫画が読者(ぼくたち)に教えてくれるのは
 友情・努力・勝利じゃなく
 最後に勝つのは能力のある奴だという
 極めて残酷な現実だからだ

 能力があるから友達ができて
 能力があるから努力できて
 能力があるから勝利できる

 そんな救いのない現実を、
 能力のある僕としては見ていて忍びないんだよ」(西尾維新『めだかボックス』)