母の実家は隣の県であり、車で30分程度の場所にあった。

ある時、母と一緒に母の実家に行った私は母と一緒に帰れなかった。
母の実家に預けられたのだ。

後から知ったことは母が妹を妊娠していたこと、家業のテーラーを廃業するかどうかの話し合いをするためだったようだ。

私は不安だったが、母の実家の祖父母はとても優しい人だった。
祖父とお風呂に入り、心臓が悪い祖父が食べていたクルミと鈴カステラがおやつだった。
とても楽しかった。

怒鳴り合いを聞くこともないし、好きなだけ食べられる。

実家は祖母最優先だったから、私は食事の時間が嫌いだった。
食べるまで席を立てない。更に母は料理が苦手だったので幼いながらに食事が美味しくないことを理解していた。

泣いても終わらない食事はまさに地獄そのものであった。



そのうちに母も実家に帰ってきた。
出産のための里帰りだろう。
妹の出産に合わせて私はトイレトレーニングを始められた。1歳半の時だった。
昔の育児だから失敗すると、もうすぐお姉ちゃんになるのに!と母に何度も怒鳴られた。

育児方法ってのはよく変わるもので、昔はお姉ちゃんなんだから我慢しなさい。が普通だった。