金融恋愛小説⑭(最終話) | ヤングプードルの毎日がワクワク日記♪

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【第13話】


自分は悪くないのに
自己嫌悪におちいることはよくある。

偽善者は大嫌いだ。
しかしそう言いながら今偽善者になってる自分がいる。



有給をくれ、お膳立てをしてくれた原口に逆らうわけにいかない。

「仕方ないよ。」自分に言い聞かせる。

自分は裏切られたのだ。捨てられたのだ。だから警察に行くのは報復なのだ。正当防衛なのだ。

何度も何度も自分に言い聞かせる。

頭が真っ白だった。
胸が苦しかった。
自分の最大の感情は、愛情は完全に封印された。



「…金融会社に行ったのは自分の意思ですね?」

「だまされて行ったんですけど、結局自分の意思って事になるんですか?」

「無理やり連れて来られたわけじゃないでしょ。」

「…はい。」

「暴力は?」

「暴力はふるわれてません。」



…警察には警察の役割がある。

自分の意思で金原の会社に行き、自分の意思で書類を書き、自分の意思で卓弥に金を渡した。
暴力をふるわれたわけでもなし。
ああ、すべては馬鹿な女が情にほだされて動いただけ。

「警察の出る幕はないですね。暴力をふるわれたり、恐喝されたらまた来てください。」


自己責任だと。正直警察沙汰にならなくてほっとした。

でも

胸が苦しい。未練なんてそう簡単に消えるものではない。

どんな展開であれ、もう卓弥とはお別れだ。

… 

気づいたら
大通り公園にいた。
ここで待ち合わせ、ここで恋人みたいにデートして、金をせびられ
…ここに馬鹿みたいに…顔が見たくて、肌に触れるほど近くに座りたくて、だまされに来た。

…悔しいのか寂しいのかほっとしたのか、よくわからない感情は涙となった。

卓弥から最後の電話が来た。

「ごめんね。お金は必ず返す。」

…こいつに返せる器量はないと、もうわかっていた。ダメな男だと心から蔑んで、なぜか号泣した。

それから

将雄と愛をはぐくんだマンションに行った。

201号室に、まだ住んでいるのかな?

「あなたに合い鍵を返してから、無防備な寂しい私はこんなに大きな失敗をしました。…笑ってください。」

なんて言えるはずもなく、私を待っているはずもない部屋のポストにそっと触れて

すべてに別れを告げた。

ー真菜のすべてが
出逢う前にリセットされ、新しい時を刻みはじめた。

〈完〉