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◆深層・再生医療:/4止 幹細胞、進む臨床研究
毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20121225ddm003040101000c.html
◇ひざ軟骨復元「再びテニスを」 膨らむ期待、問われる真価
再生医療の実現は、従来の規制や制度が想定してこなかった「未到の挑戦」と呼ばれる。一方、経済産業省が11年、全国の成人男女2900人を対象にインターネット上で実施した調査では、再生医療の普及に75%が「期待する」と答えた。その期待に、現状はどこまで応えているのだろうか。
照明に照らされた夜の屋内テニスコートに、ボールを打ち返す軽快な音が響く。東京都内の会社員、光石(みついし)智子さん(43)は2009年秋、テニスの練習後に左ひざを故障した。検査の結果、関節の軟骨が欠けていた。「軟骨は再生しにくい。今後は運動を控えるように」と医師から告げられた。「スポーツが大好きで、やめるなんて考えられなかった」と話す光石さんが再びコートに立てるようになったのは、幹細胞治療の臨床研究を受けた結果だ。
東京医科歯科大の関矢一郎教授は08年から、国の指針に基づき「軟骨再生」を目指す臨床研究を実施した。ひざの骨をくるむ滑膜(かつまく)の一部を抜き取り、そこに含まれる幹細胞を培養、軟骨の欠けた部分に流し込む。光石さんは10年春、この手術を受けた。磁気共鳴画像化装置(MRI)で経過を確認すると、欠けた部分に新しい組織ができていた。分析の結果、軟骨の再生が確認された。
国の指針に基づく臨床研究の場合、患者への丁寧な説明と、結果を研究機関の責任者に報告することが求められる。
光石さんは「手術の合併症や、何かあった際の対応について一生懸命説明してもらい、安心できた」と振り返る。関矢さんは「従来の治療法では達成できなかった、患者の日常生活の質の向上につながる。早く一般医療にしたい」と話す。関矢さんはこの成果をもとに、半月板損傷の患者の臨床研究を来年始める計画だ。
山中伸弥・京都大教授(50)のノーベル賞受賞を機に、産業界も「光」を感じ始めた。10月8日にノーベル賞が決まると、再生医療関連銘柄の株価が上昇。国内で唯一、再生医療製品を販売するジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(本社・愛知県蒲郡市)も同月16日、年初来最高値の10万2800円をつけた。前の週の終値6万5500円(10月5日)の倍近い。
