いったれ、パクラ君! その11 | やわらかな光 ~ヤングパーソンクラブの部屋~

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すっ、杉村さん・・・!!!だ、大丈夫!

ふ、藤木!来てくれたか!

うん、電話ありがとう松本君(バレー部)!!相手は?

あそこの金髪の女の子。今やっと落ち着いたみたい。

それで・・・杉村さんは?

命に別状はないって。膝を擦りむいたみたい。今は擦り傷の治療してる。ただ、捲き込まれたときに髪の毛も巻き込まれたみたいで、ずいぶんショートカットになっちゃったみたい。

そっか・・・けどびっくりしたよ、いきなり事故ったっていうから。

すまなかったなぁ。杉村さんがうわごとで藤木の名前呼ぶからさ・・・

えっ?俺の?えっ?

!!!!

あ、パクラ君。自動販売機はあっちだよ。サントリーしかないけど。

!!

え、いいよ、じゃあこれ。

!!!


パクラ君は首からつり下げた財布を抱えて走って行った。夕焼けが病院の廊下に差し込み、うす青い廊下が燃えているようだった。
向こうから、膝に包帯を巻いた制服の少女が、そんなパクラ君に会釈をしてこっちに歩いてくる。

!!!!

パクラ君も丁寧におじぎを返す。ぎこちない笑顔は、初対面で緊張している証拠。
だけどパクラ君、その子は杉村さんだよ。

左足に包帯を捲いて、短くなった髪をかきあげ、彼女は立ち止まった。


ありがとう松本君、藤木君。髪・・・短くなっちゃった。


オレンジ色の光に包まれた彼女の表情は、俺にはよく見えなかった。
時間が止まったように、彼女の声はゆっくりと廊下に響いていった。