すっ、杉村さん・・・!!!だ、大丈夫!
ふ、藤木!来てくれたか!
うん、電話ありがとう松本君(バレー部)!!相手は?
あそこの金髪の女の子。今やっと落ち着いたみたい。
それで・・・杉村さんは?
命に別状はないって。膝を擦りむいたみたい。今は擦り傷の治療してる。ただ、捲き込まれたときに髪の毛も巻き込まれたみたいで、ずいぶんショートカットになっちゃったみたい。
そっか・・・けどびっくりしたよ、いきなり事故ったっていうから。
すまなかったなぁ。杉村さんがうわごとで藤木の名前呼ぶからさ・・・
えっ?俺の?えっ?
!!!!
あ、パクラ君。自動販売機はあっちだよ。サントリーしかないけど。
!!
え、いいよ、じゃあこれ。
!!!
パクラ君は首からつり下げた財布を抱えて走って行った。夕焼けが病院の廊下に差し込み、うす青い廊下が燃えているようだった。
向こうから、膝に包帯を巻いた制服の少女が、そんなパクラ君に会釈をしてこっちに歩いてくる。
!!!!
パクラ君も丁寧におじぎを返す。ぎこちない笑顔は、初対面で緊張している証拠。
だけどパクラ君、その子は杉村さんだよ。
左足に包帯を捲いて、短くなった髪をかきあげ、彼女は立ち止まった。
ありがとう松本君、藤木君。髪・・・短くなっちゃった。
オレンジ色の光に包まれた彼女の表情は、俺にはよく見えなかった。
時間が止まったように、彼女の声はゆっくりと廊下に響いていった。