私の実家の後ろには平屋が建っています。
そこには昔、私のおばあちゃんの姉妹が2人住んでいました。
その姉妹を私は「大きいおばちゃん」と「小さいおばちゃん」と呼んでいました。
お姉さんのほうは、大きい。妹のほうは、小さいです。
うちのばあちゃんは2人の真ん中でした。
大きいおばちゃんは一生独身を貫きました。小さいおばちゃんは結婚していたのですが旦那さんは戦死してしまいました。
旦那さんのモノクロの写真がいつもタンスの上に飾ってあってすごくイケメンでした。
でも、新婚生活はたった2ヶ月だったから子どももいません。
小さいおばちゃんはいつも私が子供の頃、顔剃りをやってくれました。
石鹸を濡らして顔にぬり、剃刀で産毛を剃るのです。
小さいおばちゃんはその間ずっと、
勉強しなさい、立派な人になりなさいという話を永遠と繰り返します。
今思うと怖い。
怪我はしたことないけど。
実家にいると、後ろの家からよく大きいおばちゃんのヒステリックな声が聞こえてきました。
2人はよく喧嘩をするのです。
大きいおばちゃんはしっかり者で頭もいいけど、小さいおばちゃんはうっかり屋なところがありよく鍋に火をかけたまま忘れて焦げさせたりして叱られていたのです。
2人は超ロン毛でした。
腰くらいはあります。
それを毎朝髪に油を塗ってクルクルと器用にお団子にしていました。
わたしも三つ編みをしてもらったりしてました。
大きいおばちゃんは、私が大学生の頃に亡くなりました。
小さいおばちゃんは今はそのお家にはいないけど今も元気です。
今は空き家になってしまったそのおうち。
庭には今年もウグイスが遊びに来ています。