黙黙改過
凡情(はんじょう)の裏(うち)に
窠臼(かんきゅう)を營むに在ず、
意見の裏(うち)に
途轍(とてつ)を尋ぬるに在ず、
只(ただ)一念独り知る処在りて
黙黙と過ちを改め、
徹底掃蕩し、徹底超脱せん。
王龍溪の『王畿集』にある言葉です。
つきなみな感情の中で、惰性に陥って行うのではなく、決め付けた意見の中で、敷かれたレールの上にある論理を尋ねるのではなく、ただ、自分の心の内で沸き起こった一瞬の思念を根拠にして、黙々と自分の過ちを改めて、過ったと思ったら、徹底的に払い浄め、徹底的に乗り越えて脱するのだ。
◆ 徒然日記
昨年の11月に中国のバラエティ番組に出演していた台湾系カナダ人のタレント高以翔(ゴッドフリー・ガオ)さんが、番組収録中に心原性ショックにより亡くなられました。番組の内容は、フジテレビ『run for money 逃走中』によく似た内容で、夜を徹して街なかで鬼ごっこをして、逃げ切ったタレントが賞金を手にするというものです。
中国のバラエティ番組では、これまでにも台湾や中国のタレントが、番組収録中に呼吸困難に陥ったり、激しい嘔吐を発症したりいていますが、番組の構成は、視聴率を上げる為か、より過激になっており、過ちを改めようとする姿勢は、全く見られません。
このような問題は、中国に限った事ではなく、日本のテレビ番組にも同じ様な傾向が見られます。記憶に新しいところでは、女子プロレスラーの木村花さんがフジテレビの番組でシナリオ通りにとった行動に対し、SNSで集中砲火の様な非難を受けた事を苦にして自ら命を断たれました。フジテレビでは、過去にもお年寄りに火の上を歩かせたり、出演者の生命の危険を顧みないような番組がつくられてきましたが、事故が起こった直後は、番組の打ち切り、重役のお詫びの会見など反省した体を見せますが、ほとぼりが覚めると、また、同じことの繰り返しです。フジテレビ以外の放送局も似たり寄ったりなのですが、敢えてフジテレビの社名を出したのは、1993年にフジテレビの番組収録中にセットの不備による事故で亡くなった香港のロック歌手 黄家駒(ウォン・カークイ)の命日が6月30日だからです。黄家駒が所属したロックバンド「BEYOND」の歌は、香港はもとより、アジア圏で今でも歌い継がれています。