4月9日

トツキトオカアプリでは10w6d。
やはり前日の昼と夜出血があり、予約外で診察を受ける。
いつものように内診。

「また出血したのー?今は完全に止まってるけどねー。」
と先生。
少し間があったあと、
「…血の塊はもうなくなってる。…でもね、赤ちゃんが動いてないね。心拍も見えない。」

……え?

カーテンが開く。
エコー画面が見える。

黒い画面が赤ちゃんを映す。

2週間前に見えていたチカチカ光る心臓は見えなかった。

クリオネのような形をした赤ちゃんが、静かに子宮に収まっている。

先生がエコー画面を差しながら何かしゃべっている。
「はい、はい。」
と返事をしながら、内容はあまり頭に入ってこない。
自分を保とうと必死だった。
画面に釘付けになった両目から涙が勝手に溢れてきた。

カーテンが閉まる。
内診台の上で両手で顔を覆った。
内診室まで一緒に付き添ってくれた夫の顔を見ることができなかった。
夫は今回の妊娠で内診室に一緒に入るのは初めてだった。
夫は赤ちゃんが動いているところを見たいと、楽しみにしていたのだ。
こんなことになるなら待ち合いで待っていてもらえばよかった。

2人で待ち合いに戻る。
他の患者さん妊婦さんがいる。
涙を抑えるのに必死だった。

すぐに診察室に呼ばれた。

エコー写真をもらった。
CRLは18.9㎜。
8w6d相当の大きさ。
出産予定日は11月13日と出ていた。

前の診察から1週間後くらいに成長が止まったということか。

先生に数日後にもう一度確認しましょうと言われた。


この日夫は午後から仕事だったが、すぐに職場に連絡をして当日と翌日休みを取ってくれた。

「このまま保育園にゆうを迎えに行こっか。ゆうに会いたい。」
夫が言った。

私も同じ気持ちだった。
保育園を早退させ、ゆうを連れて3人で近くの公園に行った。
桜がこれ以上ないくらい満開だった。
とても天気がよくて、とても空が青かった。


ゆうはとてもはしゃいでいた。
ゆうの笑顔だけが唯一の救いだった。


お腹の赤ちゃんはお空に帰って行ってしまった。
お腹にまだいるのに、もう赤ちゃんは生きていないのだ。

悲しかった。

ただただ悲しかった。

走り回るゆうを追いかけながら何度も美しい景色が涙で滲んだ。