以前神奈川の大学病院で看護助手をしていた時の話
私の病棟は婦人科だった
ナースも患者も女性だからか
繊細でピリピリしている病棟だった。
20代で抗がん剤で毛が抜けても決して帽子をかぶらない強い意思のある患者さんや
70代で治療中にもかかわらずプロポーズをされて結婚を悩んでいる可愛い患者さんもいた。
その中で
Sさんは50代くらいで私と下の名前が同じ患者さんだったのでよく覚えている。
お金持ちなのか個室に入院していた。綺麗な方でちょっと傲慢な感じがあった。
病棟師長もSさんを特別あつかいをしていてよく部屋に顔を出していた。
私はその患者さんによく呼び出され買い物を頼まれた。
忙しい仕事の合間によく頼まれた。
売店でチョコレートを買ってくると喜んでくれた。
私がまだ入りたてで仕事が慣れなくて悩んでいると
「なんでも早いのがいいというわけじゃないよ。ゆっくりだからこそ道の花をみつけられるように、気づけることが沢山あると思うよ。私は助かっているよ」と言ってくれた。
Sさんは体調が悪くなっていき私は看護師からモルヒネを頼まれ運ぶようになった。
Sさんの足がゾウのように腫れて以前のように部屋に呼ばれる事がなくなっていった。
私は無力だなと思った。何か役にたてることはないのかなと思った。
これが私の夢介護セラピストになろうとしたきっかけです。
先日今勤めている病院にSさんに似た患者さんが入院してきて私はちょっとSさんに重ねて感じでしまう事がありました。
足がチアノーゼなのか真紫になっていて夕方のちょっと空いた時間にさすってあげたら
「マッサージしてもらった後はあったかいんだよね」と言ってくれました。
私はなんだか本当に嬉しくて
自己満足なんだけど嬉しくて少し涙がでました。