朝、父からの電話。


「テレビが壊れたぁ!」

「ん?」

「テレビが消えなくなった!昨夜から急に消えなくなって、うるさくて睡眠ができなかった」

「リモコン押しても消えないの?」

「消えない、助けて」

「お昼くらいにヘルパーさん来るでしょ?ヘルパーさんに相談してみて」

「わかった…」



30分後にまたもや電話。



「テレビがうるさくて、頭が痛い」

「耳に補聴器付けてるよね?外したらどう?」

「これからテレビを買いに行ってくる!」

「…わかった、今から行くからちょっと待ってて」


テレビが消えないなら

主電源を消せばいい。

それでもダメならコンセントを抜けばいい。

そんなこと

認知症になった父には、わからない。

母を自宅に寝かせたまま

お正月休み中の夫を起こして

車で実家へ連れて行ってもらった。

高速道路。 




空は晴れ渡っているのに

私の胸中は曇り。

認知症2人も抱えられないよ…


実家に着いたら

父の介護ベッドの上に

電源の消えている静かなテレビがひっくり返っていた。

「消えてるじゃん…」

隣で顔色の悪い父が

よろめきながらテレビを分解していた。

血圧が上がっているようだ。


「ストップ!!」




父を座らせて

落ち着かせて

話を聞く。

その間に、夫がテレビをチェック。


「テレビは消えてるけれど、消したの?」

「消えなかったの。ずっと消えなかった」


リモコンも問題なく使えるようだったが

一応、電池を交換した。


「リモコンも使えてるよ。映るし、消えるし」

「ほんとだ。テレビが綺麗に映るね!」


落ち着きを取り戻してきた父。

テレビが消えないことで

ここまでパニックを起こすとは。

対策方法はいくらでもあるのに

テレビをなぎ倒すことしかできなかったようだ。

もちろん、元気な頃の父には考えられない行動だ。

家電製品が好きだったし

我が家にはいまだにないブルーレイを

真っ先に購入した人なんだから。

全て病気のせいだ。





「じゃあ、母が待っているから、帰るね」

「うん、ありがとう」


一件落着のようで、

今後の課題が残る。

独居の限界が見えてきた。



自宅前に出されたゴミに気づく。




ビールの空き缶だ。

あれ??

父は紛れもなく透析患者だ。

だよね??

それでも酒を飲むってか。

マジ??

それも、発泡酒じゃなくてプリン体入りの高級ビール。


「こらーぁぁぁムキー


次にパニックを起こすのは…





私じゃ!






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