えにし第7回公演 「クラゲ図鑑」

下北沢 「劇」 小劇場

7月8日(土)19時

 

作 西村太佑

演出 寺戸隆之

脚色 前田勝

出演 前田勝・神崎ゆい・北川雅一・黒森こけ。・佐藤竜・重松優希

寿々翠・田中夏・中込博樹・二色薫子・布袋田雅代・本堂史子

 

これよりネタバレ

 

劇団えにし主催前田勝さんの自伝的作品

 

台湾、韓国、日本を舞台に一人の少年と母親のお話。まずびっくりなのは実話をもとにしたお話で、殺人事件で、当事者が演じている事。というより、当事者が公演しようとした事。

両親の離婚。親戚に預けられる。母親の再婚。日本に呼ばれる。

知らない国での生活。大人の事情。母親の殺人と自殺。

母親を止められない、助けられないという後悔。自分の事を顧みてくれなかった怒り。

警察で事情徴収を受けている場面から始まり、あまりのショックに話が出来ず、子供の頃の自分が今迄の事を説明進行していく。

だからなのか、初めから暗い空気が充満し、もどかしさに息苦しい。伯母さんが「男の愛」が一番の母親を心配しているのも、子供の目線からしたら悲しい。そして結果はその通りになってしまう。

日本人の義理父の娘たちが、初めから結婚に反対でその後も難癖をつけ、事件の後は人殺しとののしる。娘たちの立場ならそうだろうし、浮気は殺されるに値する罪なのだろうか?自殺しようが許せないだろう。男女関係など議論しても始まらないし、浮気する人間は病気みたいなもんでどうにもならない。するが勝で、された方は泣き寝入りする以外ないように思う。

そして、夫婦の問題には結局子供にも口出しできない。

決して自分勝手なだけの母親ではなく、子供を愛しているし、夫の浮気も憎いから殺した訳じゃなく、夫を愛しているから悲しくてどうしようもなかったのである。

十年以上が経ち、少年の中で昇華できたのではないだろうか。

子供目線で見ていたので涙が止まらなかった。