約数の和を求める問題

 

問題

 

12の約数をすべて加えるといくらになりますか。

 

 

 

いわゆる「約数の総和」問題。

求め方は2通りあります。

1.書き出して求める

 

普通は,書き出して地道に足し算です。

 

小学校だと間違いなくこの方法。

 

塾でも難関向けの授業以外では,この方法です。

 

 

 

12の約数は

1,2,3,4,6,12 なので,

 

 

このまま足し算。 

答えは28。

 

 

 

.素因数分解を利用して求める

 

●ほんとは高校数学の範囲

 

数学の参考書などでは,約数の和の公式は,

高校数学 約数の和の公式

というような感じで書かれています。

 

『いや,これは小学生には無理でしょ・・・ゲローゲローゲロー』と思った方は正常ですw

 

この公式には高校数学で習う『展開公式』の原理が背景にあるので,小学生にはできないのは当然なんですが,これをテーマにした問題が中学入試でも出題されます

 

公式だけを見れば「無理でしょ…ゲロー」と思うんですが,実は考え方を工夫すれば,小学生でも理解出来る話に落とし込むことができます。(それでも相当難しいと思いますが…::)

実際に出題されるのは,上位の学校に限られますが,解法を学んだことがないと全く太刀打ち出来ない問題のひとつになりますので,一度は触れておくほうがよいと思います。

 

準備としては,まず「約数の個数」の求め方をマスターしてから取り組んでください。

 

「約数の個数」は,こちらで解説しています。

約数の個数の求め方

 

 

●中学受験的な考え方

さて約数の個数も,総和も素因数分解がポイントです。

 

素因数分解した式を細工すると,

 

約数の総和=7 ✕ 4= 28

 

と求めらます。(あら不思議・・・ポーン

 

 

なぜこのような求め方ができるのか説明します。

 

普通,約数を書き出すときは,1✕12,2✕6,3✕4 というふうにペアで書き出す方法が一般的ですが,ここではこれは一度忘れて下さい。

 

12を素因数分解した式をよく見てみましょう。

(12=2✕2✕3)

 

★約数は,この素因数分解した式のなかに含まれる素因数のみで作られています。 

2を何個使うか,3を何個使うか?によってどの約数になるかが決まります。

 

 

 

★この表は,次のように書く事もできます。

2を何個使うかは縦軸,3を何個使うかは横軸で表しています。

ここで,注意していただきたいのは,

使わない(0個)」は0になるわけではないということです。

 

2も3も使わなかったときの約数は,0ではなく1です。

使わないというのは,「大きくも小さくもしない」ということを表すので,最初の状態のまま。すなわち1であるということを意味します。

 

 

 

★さて,この表にすこし工夫を加えます。

2が(0個,1個,2個)を(1,2,4)と考えてタテ軸に,

3が(0個,1個)を(1,3)と考えてヨコ軸に,

それぞれ数字とマスの数が一致するようにとっていきます。

 

 

このようにすると,それぞれの数が交差するところに,約数の大きさに応じた長方形ができます。

1+3+2+6+4+12とバラバラに足しても長方形の面積は求められますが,

全体でひとつの大きな長方形になっているわけですから,

(1+2+4)✕(1+3)=7✕4=28 で求められるというわけです。

 

2✕2✕3 という式から 7✕4という長方形の式を導いたことになりますが,少し難しいですね。

 

ポイントをまとめると次のようになります。

 

①まずは素因数分解 例:12=2✕2✕3

 

②素因数の種類と個数を整理する

 種類:2と3

 個数:2が2個,3が1個

 

③2を縦軸に並べる→1+2+4=7,

 3を横軸に並べる→1+3=4

 (※どちらの軸もはじめの数は1

 

④長方形の面積を求める→7✕4=28 

 

 

●素因数の種類が多くなったらどうするの?

例としてとりあげた12は,素因数が2と3で2種類しかありませんでしたが,

素因数が3種類あるときは,どうすればよいでしょうか?

(例えば60=2✕2✕3✕5)

 

この場合は,2をたて軸,3をよこ軸,5を奥行き軸となるように考えて,直方体の体積を求める要領で考えればよいのです。(3次元の立体のようになります。)

種類:2,3,5の3種類→3軸

個数:2が2個,3が1個,5が1個→(1+2+4),(1+3),(1+5)

約数の和:7✕4✕6=168

 

 

★4種類になったら・・・?

その場合は,4次元となるので,紙の上で表すのは難しくなりますが,軸がもう一つ増えると考えればよいので,理屈は同じです。

 

例:630の約数の和は?

630=2✕3✕3✕5✕7

種類:4軸

個数:2が1個,3が2個,5が1個,7が1個

→(1+2)(1+3+9)(1+5)(1+7)

約数の和=3✕13✕6✕8=1872

 

 

公式だけ見れば,小学生に無理なのでは?というような式ですが,そもそも中学入試でやってることは,普通の小学生に理解出来ることって,半分ぐらい?という世界ですからね・・・w

 

それをいかにして,小学生に分かるように教えられるか。

それが中学受験のプロ講師ですグラサングラサングラサン

(最近自分も作るようになったので,いろいろと解説動画みて参考にしようと思うんですが,正直わかりにくいものもけっこうあるんですよね…笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

そのうち,約数の総和をテーマにした,入試問題の解説なんかもやってみたいと思います。まあ,いつになるかはわかりませんが・・・😅

 

 

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