# Yahoo!ブログから引っ越すと、こういったリンクも無効になってしまうので困りますねぇ…。

接眼レンズ関係の付属品です。
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取付サイズが 24.5 mm のツアイスサイズに触れるのは何年ぶりでしょう。
こんなに小さかったとは…。

付属の接眼レンズは Or12.5 mm と Or 5 mm 。
この当時、オルソスコピックは高級タイプです。

当時はF12を基準にアイピースを設計していたので標準的な H や HM では短焦点の対物レンズには対応ができなかったとのこと(ビクセン光学 古老のつぶやき より)です。
超短焦点のスーパーチビテレの付属アイピースがコストの高い Or になっているのはそのあたりを考慮してのことなのでしょう。

Or 5 mm は薄紫色のコーティング、Or 12.5 は茶色っぽいコーティングがされています。
どちらも中古のカメラ屋さんに並んでいる古~いカメラレンズによくある色合いのコーティングで、それが新品同様で手元にあるというのがなんとも不思議な感じです

バローレンズもツアイスサイズなのでとても細身で一見頼りなさげに見えますが、差し込むときのガタツキが小さく、固定ねじを軽く締めればしっかりと固定できます。
スリーブやバレルの工作精度が良いのでしょう。
レンズは表面の反射が多いのでおそらくコーティングはされていないと思われます。
鏡胴の出来が良いだけにこの点は少々残念に思われましたが、輝星でゴーストが出たり、月面で極端にコントラストが悪くなったりする事もないので、実用的には問題が無いようです。

当時、バローレンズは使うと像が悪化するので敬遠すべきアイテムという評価でしたが実際に手に取り使ってみるとバローレンズ自体に問題があったわけではないということがわかります。
当時の望遠鏡は長焦点のものが多かったので、バローレンズを使うと倍率が上がりすぎたのと、粗悪な望遠鏡が倍率を誇示するために出来の悪いバローレンズを付属させていたことなどが悪い評価の理由ではないでしょうか。

付属品の組み合わせによる倍率はこのようになります。
※ 見掛視野はデータが無かったのでこの当時の一般的な数値からの推測です。

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接眼レンズとバローレンズ、天頂プリズムの組み合わせで6通りの倍率が出せますが、50倍前後の倍率が被っているので実用的には 20.8倍 , 52倍 , 104倍 ,130倍 の4通りを使うことになるでしょう。

各倍率での見え味はこんな感じです。
・ Or 12.5 mm (20.8倍 , 実視界 1.92度)
視野の中央部2/3ほどの範囲は良好です。
それより外側は星像が円周方向に伸び、色ずれ、像面湾曲によるボケが発生しますが、輝星が無ければ気にならない程度です。

月は視野中央に小ぢんまりと、それでいてクレーターや地形が精密に見えます。
色収差は焦点の前後で緑や赤の色ずれがわかりますが、焦点がぴったり合えばほとんど気になりません。

明るい月を視野に入れても、顕著なゴーストやコントラストの低下は感じられず、周囲の星も見え、星空にぽっかりと浮かぶ月の様子が楽しめます。
・ Or 5 mm (52.0倍 , 実視界 0.77度(46.2分))
視野のごく周辺以外は良好な星像でエアリーディスクとその周囲にジフラクションリングが確認できます。
ジフラクションリングはわずかに光量の偏りがあるようですが、気流の影響もあるかもしれません。
この倍率でおとめ座のポリマ(2019年の離角は2.8秒)を分離できているので、対物レンズも接眼レンズも十分優秀ではないでしょうか。

月の全景が視野に対してちょうどよく収まります。
・ Or 5 mm + 2倍バローレンズ (104倍 , 実視界 0.38度(22.8分))
バローレンズ無しの時に比べるとエアリーディスクとジフラクションリングの鮮明さが少々低下しますが、離角2.8秒のポリマの分離は十分余力があるといった感じに見えます。
月のクレーターや地形も鮮明です。
コントラストも少々低下するので木星の縞模様は薄めです。
それでもじっくり眺めていると表面や縞模様の中の濃淡も見えてきます。
・ Or 5 mm + 2倍バローレンズ + 天頂プリズム (130倍 , 実視界 0.31度(18.6秒))
拡大率が上がる上に光路にプリズムが入るため、星像の乱れやコントラストの低下の傾向はさらに強くなります。
接続も煩雑になるしあまり積極的に使いたいとは思えない組み合わせです。
二重星の分離でもう一押し拡大したいといった時の奥の手といったところでしょう。


各倍率で共通しているのはピントの調整がシビアであるということです。
少しでもピントがずれると色のずれが目立ち、分解能が落ちて性能が発揮できないので、ピント合わせはじっくり丁寧にする必要があります。
これは短焦点でピント深度が浅いためなので仕方がないですね。

バローレンズはビクセンの31.7DX 2倍バローや国際光器のPHOTON 3倍バローを使うと星像がグッと良くなり、木星の模様も見やすくなります。
付属のバローレンズは長焦点を前提に設計された時代のものであるのに対して、近年のバローレンズは短焦点での使用も考慮されて設計されているからでしょう。

付属のアイピースとして短焦点に対応できるOrを選定しているくらいですから、このバローレンズでは十分に性能を発揮できないということはわかっていたはずです。

それでもセットに含めたのは…。
・ 100倍くらいの倍率を出せないと商品として成立しない。
・ 実用的にもそのくらいの倍率が出せないと不便。
・ だけど当時は4mm未満の接眼レンズが一般的には存在しない。
というような事情を踏まえて検討した結果の苦肉の策なのでしょう。

…と、勝手な推測で書いたりすると反論広告が出たりして。

また長くなったので続きは後ほど…。

[2019/3/31] 続きを投稿しました。