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インボイスって何? という質問に『適格請求書です』、なぜ必要? という質問に『複数税率下で適切な課税を行うため』と答えられても、何も分からない。
インボイスを説明しようとすると、消費税という嘘吐き税が、売上税の「分割納付」なのだという事実を説明しなければならない。

インボイス自体の定義は「売手が発行する売上税率と売上税額を記載した取引伝票」だ。じゃあ何故、インボイスが必要? という質問に答えるには一般的な「消費税は消費者の税で、消費者から預かって事業者が納付する間接税」とか「消費者が実質負担者で、事業者を納税義務者として、最終的に消費者が負担する事が予定されている間接税」とかいう「常識」が必要なのか、というと実はそんなことは無いのだ。

消費税法から導ける消費税の実態は「前段階 売上税額控除型 付加価値税」だ。
第4条(課税の対象)事業者の販売行為=売上
第5条(納税義務者=租税債務者=課税対象者=税負担者)事業者
第30条(仕入れに係る消費税額の控除)仕入税額を差し引いて納付する
つまり、消費税納税額=売上税額-仕入税額だ。

なお、これらは「国内取引」への課税で、輸入は税関で下記となる(国境調整)。
第4条(課税の対象)保税地域から引き取られる外国貨物
   =「CIF価格(関税評価額)+関税」(第28条 課税標準の4項に基づく)
第5条(納税義務者=租税債務者=課税対象者=税負担者)
   外国貨物を保税地域から引き取る者=輸入申告者
輸入時の税関での付加価値課税は、輸入業者の「仕入税額」を発生させるためのものなので、税関においては「仕入税額控除」は無い。

輸入はさておき、国内取引について簡単にシミュレートすると、
    A  B  C  D
売 上 300 700 900 1000 5%売上税時
売上税   15   35  45   50 合計145(ABCの95が累積)
税差額   15   20  10   5 合計 50(税額の累積排除)
付加値 300 400 200   100 売上高-仕入高=付加価値
単純にA~D社に売上税を課すと、後の事業者ほど税額が累積して(ダブって)高くなる。そこで、前段階の事業者の売上税額、つまり仕入先の売上税額を、自分の売上税額から差し引くとダブりが無くなり、D社の売上税額をA~D全員で「分割納付」する形になる。
つまり、消費税納税額=売上税額-仕入税額仕入先の売上税額だ。

(最初に「前段階 売上税額控除型」を採用した税は、1948年のフランスの分割支払い生産税で、対象業種が生産業、つまり部材納入と製造業者の2段階のみで、これを全商流に適用することを目指して1954年に名称を「付加価値税」に変更。当時は一部卸売業者が加わった程度であったが、14年の歳月を費やし1968年に全商流への適用を実現した。その目的は、各事業者への直接課税というよりも「商流を移動する製品にただ一度だけ」課税するのと同じ結果を得ることであった。
この税制では、製品が国境を越えて輸出や輸入をする場合には、各国の付加価値税制が及ぶ範囲を国境で一旦区切るための「国境調整(輸出取引には課税せず、輸入時に税関で仕入税額を発生させる)」が必要)

同じ税額は「売上高-仕入高」つまり付加価値に同じ税率を乗じても求まる(こちらは国境調整は不要)。だから「付加価値税」と呼ばれる。
前者の「税差額」を納付するのが「前段階 売上税額控除型 付加価値税」で、後者の「付加価値」に「直接課税」するのが「前段階 売上高控除型 付加価値税」で、これは「仕入控除型 付加価値税」とも呼ばれる。つまり、付加価値税は同じ税額を得るために、2つの手法があるのだ。

そして、世界中で採用されているのが「前段階 売上税額控除型 付加価値税」だ。この場合、A以外のB~D社は「前段階 売上税額」が無いと「税差額」つまり自社の納税額を確定できない(A社は仕入無しで製造していることになり、現実にはあり得ないが、そこはモデルとして無視。ただしAが輸入業者ならこれで合っている。仮に税関で5の仕入税額が発生したとして、それを納付するのは輸入者のAで、実質、売上税額を全額納付する事になるからだ)。

そして「前段階 売上税額」を伝えるのがインボイス(売手が発行する売上税率と売上税額を記載した取引伝票)なのだ。欧州(EC)は売上税から税額控除型 付加価値税へ移行してきた経緯があるので、最初からインボイス方式だった。
(輸出取引には付加価値税を課さないから、税率も税額も無く、同じ「インボイス」という伝票でも輸出においては単なる「請求書」の役割になる)

別段『複数税率下で適切な課税を行うため』、「消費税は消費者の税で、消費者から預かって事業者が納付する間接税」とか「消費者が実質負担者で、事業者を納税義務者として、最終的に消費者が負担する事が予定されている間接税」とかの理屈や常識を持ち出さなくても、ここまでの説明は税法と、フランスで税額控除型の付加価値税が制定された歴史的背景(売上税のダブりを排除したかった)を調べれば、導ける。

ここまでを、議論の前提の事実として共有した上で(単なる事実なので可能だろう)インボイス方式ではない帳簿方式を採用した日本の消費税特有の事情(免税事業者の扱いがEC型とは全く異なる)も共有していく必要がある。

消費税は、消費者の税金(預り金)ではない!

↑この図面は、転載・流用フリーです。オリジナル図面のURL↓
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「前段階 売上税額控除型 付加価値税は、最終事業者の売上税額を、商流上の全事業者で「分割納付」する税制だという事実を共有して、インボイスの役割が「売上税額の伝達」だと理解しよう!」にご賛同いただける方は、
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