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「消費税は消費者の税金だ」と思っていた人が「消費者の税金ではない」と聞いて、実際に消費税法のページで『消費者』を検索して、検索結果が0件で驚いた!というのは、実は筆者の体験だ。しかしながら、そこから「事業者の売上に課された税」という理解に辿り着くには、あまりに難解なのが「条文」という、小難しい文。

 

第四条(課税の対象)国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。

 

第五条(納税義務者)事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。
 

第四条にも第五条にも「資産の譲渡等」という、初めて読んだ者には意味不明な単語があるのだ。そんな時には、国税庁のタックスアンサーを確認しよう。

No.6117「資産の譲渡等」とは
・売買等の契約により、資産の同一性を保持しつつ、他人に移転させること
・例えば、商品や製品の販売のほか、事業用設備を売却すること
ということで「(事業者の)販売行為」が「課税の対象」であることが分かる。

No.6121 納税義務者
・国内において課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除きます。)および特定課税仕入れを行った事業者
・国内取引の消費税の納税義務者は事業者ですから、事業者でない者は納税の義務はありません

「課税の対象」が「事業者の販売行為」なのは明らかだが「納税義務者」との関係については、タックスアンサーにも記述が無い。両者の関係を明らかにした裁判の判決はあるのだが、一般には知られておらず、第四条を根拠に「販売行為を行うすべての事業者に消費税が課されている」と間違える人が、税理士にも多い。判決は?

東京地裁 平成9年(行ウ)第121号
『国と国民との間の課税関係(納税義務の発生)は、納税義務者につき課税物件(課税の対象とされる物、行為又は事実)が帰属したときに成立するものである。』
・第四条は「行為」の規定であって、納税義務者の規定ではない

この判決を知っていれば「消費税は事業者の売上に課された税」という事実に辿り着ける。更にこれは「消費税は、売手の売上に発生する『売上税』」という事実も示唆している。つまり、納税義務者ではない買手の、課税の対象ではない支払代金には、消費税は発生しようが無く、買手と売手の間で消費税の授受は不可能なのだ。

「消費者は事業者に消費税を払っても預けてもおらず、事業者もまた仕入先に消費税を支払ってはいない」

消費税についてYoutubeチャンネルで動画解説している税理士やインフルエンサーの方には、ここまで踏み込んで「事実に基づいた」解説をして頂きたい。むろん、筆者のチャンネルで動画解説する際には、盛り込みます。

消費税は、消費者の税金(預り金)ではない!

↑この図面は、転載・流用フリーです。オリジナル図面のURL↓
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