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立憲民主党の原口一博衆議院議員が、元自民党衆議院議員の安藤裕先生を招かれて、1月19日(金)に開催された、第23回日本の未来を創る勉強会。それを分けた原口先生の解説動画の3回目(22日(月))。

 

原口先生、ありがとうございます(今日は昨日に増してポロッと・・・ですね)。
(1)消費税の概要
消費税法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=363AC0000000108
第4条(課税の対象)事業者の販売行為=売上
第5条(納税義務者=租税債務者=課税対象者=税負担者)事業者

    税は国が債権者で、課税された国民は(貸付無しの)債務者。債務は第三者に

    渡したり受け取ったり出来ない。
第30条(仕入れに係る消費税額の控除)

    仕入税額=仕入先の売上税額を差し引いて納付

消費税とは「売上税 with 仕入税額控除」=「自分の売上税-仕入先の売上税」です。売上=仕入+粗利(利益+人件費等) ですから、売上-仕入=粗利(利益+人件費等)、粗利=付加価値で、他国では「付加価値税」VAT(Value Added Tax) と呼びます。300円で仕入れて1000円で販売したら、付加価値=1000-300=700円で、その700円への課税ということです。


付加価値税の概念が出てくるまで、もっとも簡易な課税は、売上への課税で「売上税」「取引高税」等と呼ばれていました。これらも赤字でも納税額が発生する税なので、減税策として出てきたのが、自分の売上税額から仕入先の売上税額を差し引く「付加価値税」です(赤字でも納税の問題は解消していませんが)。

意外なことに付加価値税が初めて法制化されたのは日本です。
(1950(昭和25)年、シャウプ勧告に基づく、府県のための地方税)

 

シャウプ勧告の付加価値税は間接税ではなく、直接税でした。自分の直接税の「売上税額」から、仕入先の直接税の売上税額である「仕入税額」を差し引くだけですから、当然ですよね。
事業者の「総売上金額」から「特定の支出金額(仕入)」を差し引いた「付加価値(売上の一部)」に課税するのだから、当然ですよね。
ただし、法制化はされたものの、反対の声が大きく(「付加価値」という概念が当時は理解されなかったという見解もあります)、施行には至らず1954(昭和29)年に廃止になりました。

そして、バトンタッチを受けたように次に付加価値税を法制化したのが、1954年のフランスです。この時にフランスは「付加価値税は間接税」と主張しました。先ほど300円で仕入れて1000円で販売したら、付加価値は700円で、それへの課税と説明しましたが、フランスの主張はこういう理屈です。


「仕入先の300にも、事業者の1000にも、まず売上税が課されて利益が減るから、仕入先も事業者も売上税額を価格に上乗せする。すると10%のVATなら、330で仕入れて1100で販売することになる。仕入先のVAT納税額30+事業者のVAT納税額70=100は、最終消費者の支払金額の増加額の100に一致するから、実質負担者は消費者であり、VATは直接税ではなく、間接税だ」


フランスのこの主張を、当時、直接税の還付を禁じていたGATTが認めて、付加価値税(VAT)は間接税として以後70年、VAT採用国では(誤った)常識となりました。

(2)人件費への影響
第4条(課税の対象)で定められているとおり、消費税の課税対象は事業者の販売行為です。販売行為とは「対価を得て行われる資産の譲渡等」です。では給与や賃金などの人件費は? 消費税の課税対象ではありません。「雇用契約に基づく労働の対価」であり、第4条の「事業として行う資産の譲渡等の対価」に当たらず、不課税(課税の対象外)だからです。

国税庁タックスアンサーNo.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例

 

これがために、人件費は「課税仕入れ」に含まれず、消費税の課税対象の「粗利」に含まれます。
 

そして、事業者が半分を負担する社会保険料は「消費税の課税対象ではあるが、消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない」非課税取引に含まれており、これもまた「課税仕入れ」に含まれず、消費税の課税対象の「粗利」に含まれます。

人件費も社会保険料も「消費税の課税対象ではない」とされているが故に、皮肉なことに消費税の課税対象の「粗利」に含まれてしまうという、悪しき結果になっています。つまり、企業が従業員に払う給与や、半分を負担する社会保険料そのものには、消費税は課税されませんが、最終的に事業者が納付する消費税納税額を算出する際には、それらの金額も算出対象に含まれるということです。

例えば給与が500万円、社会保険料が100万円として、各々に消費税は課税されませんが、粗利としての600万円は課税対象となり、600万円*消費税率/(消費税率+100)を利益から納めなければなりません。計算式が「消費税率/消費税率+100」になるのは「事業者が消費税率通りに値上げしているという前提」に基づくからです。

結果的に、消費税納税額を減らすために「人件費の削減」が有効な手段となるので、正社員ではなく外注(派遣)化への動機となります。消費税導入後、建設業界で一人親方が増えたり、従業員の個人事業主化が進んだのはそのためで、あわせて派遣解禁が進められていきました。儲かったのは人材派遣業(パ〇ナ、ケケ中平蔵)ですね。

(3)輸出還付金
(1)でなぜフランスが「付加価値税は間接税」と主張したのか。それによって可能になったのが「輸出還付金」であり、まさにこれが目的であったと言われています。付加価値税が直接税という真実に基づいていれば、輸出還付金は発生しません。ところが、間接税にすると、輸出取引では2つの国を経ますから、どちらで課税するかという「国境調整」が必要とされます。
 

A輸出国で課税(源泉地主義) 輸出還付金が発生しないので没
B輸入国で課税(仕向地主義) 輸出国では売上税を免除(税率0%)して、

               輸入国で(輸入国のVATを)課税する
 

GATTはBの仕向け地主義を標準としました。消費税納税額=売上税額-仕入税額。
Bは消費税納税額が必ずマイナス仕入税額になり、その金額の還付を受けられます。還付された仕入税額を含めたトータルの納税額=0-仕入税額+還付された仕入税額=0で、まったく納付していない。また、還付された仕入税額は、元の売上とは別の新たな収益であり、事実上の補助金です。

輸出免税と輸出還付金(事実上の補助金)の図
輸出免税と輸出還付金(事実上の補助金)の図
理論上、還付される仕入税額=仕入先から先のすべての国内取引の消費税納税額の合計=税務署を介した富の移転と言えます。
輸出還付金は税務署を介した「富の移転」の図

輸出還付金は税務署を介した「富の移転」の図
~~~ここまで~~~

付加価値=売上-仕入で、事業者の私有財産の売上の一部なのだから、付加価値税は直接税だ。

これを付加価値税額=売上税額-仕入税額として、売上税額の差額納付としたのが、現在のVATで、その時に「輸出還付金」のために「事業者は売上税額を価格転嫁(値上げ)する」という「税法に基づかない前提」を持ち込んで「消費者が実質負担者」の間接税(ただし実質負担者は納税者でも納税義務者でもない)にしたのが、1954年のフランスだったのである。何と70年にも及ぶ詭弁だ。法的根拠が無い「価格転嫁」なんて、絵に描いた餅に過ぎないのだから。


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