「わりぃ…。前ちゃんと見てなかった。」

「…」

「とりあえず…これ…」

俺は鞄にしまったジャージを彼女に差し出した。


「シンちゃんのにおい…」


彼女がそう言ったように聞こえた。


《シンちゃん?気のせいかな…》


彼女の声があまりにも小さかったから…

そして彼女の声があまりにもかわいかったから…

そんな風に思った。

シンちゃんなんてな…



『シンちゃん…』

そう呼ぶ声が聞こえる。

『シンちゃん…シンちゃん…』

とても苦しそうだ。

俺はとても焦っていて…必死にその声を守りたくて…



《…っ。いやだ…いやだ》

大きな暗闇に襲われてるみたいだ

《いやだ…いやだ…やめろ!!》

俺は必死でその声を振り払った。


《…》

星がこちらを見つめていた。

「あっごめん…それ着替えて。風引くし…」


《…》

彼女は無言で制服のボタンをはずし始めた。

「えっ…ここで??だめだめだめ!!」

彼女の手を引いて女子更衣室まで連れて行った。

「せめてここで…ね??」


「ありがとう…」

ぼそりとそぅつぶやいて彼女は更衣室に入って行った