初学者の頃意気込んで傷寒論を勉強するとたいてい途中で挫折する。私も初学者のころ大塚敬節の『傷寒論解説』を読もうとしたが太陽病中編で挫折し以後3年間本棚に眠っていた。傷寒論を学ぶためにはある程度の臨床素地が必要だと思う。傷寒論を勉強するにあたって大切なことは次の二つ
必ず以後30回以上は通読することを認識して読むこと
臨床応用(治療戦略書として)を念頭に読むこと
である。その上で私がお勧めする1回傷寒論を学ぼうとして挫折した人への推薦書は
傷寒論演習 藤平健 中村謙介 緑書房
である。この本は藤平健の傷寒論講義録をまとめたものだが臨場感があって臨床に直結し今までわからなかった傷寒論の多くの謎を氷解してくれる。大塚敬節の『傷寒論解説』も名著だが、思考過程が省略されており、解説文も難解で一部内容がおかしいところがある。大塚先生自身も「本は時々うそをつく。わしのもな。」と語っておられたと言い、本を読んであくまで自分の中で消化する必要があると思われる。
傷寒論ほど何度も読む価値がある本はない。寺澤捷年が言うように
傷寒論は読み手の技量に応じて答えを投げかける
素晴らしい本である。私はもう傷寒論を百回以上読んだが、最近随分『傷寒論』と仲良くなって臨床疑問に答えてくれるようになった。自分の臨床能力が少しだけ上がったと自負しているが、まだ『傷寒論』と親友にはなれていない。
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