火葬場へ向かうために霊柩車の後を車間をつめて走っていた。
どこから現れたのか、するすると黒のヴォクシーが、霊柩車と僕の乗る車の間に割り込んだ。
普通は霊柩車の後ろに割り込んだりしないだろうし、なんだろうとナンバープレートに目をやると、も81-81 喪バイバイに見えたので、こんな番号を好き好んで選ぶひともいないだろうし葬儀社の車だろうと想像した。
スタッフを乗せてるのかと、ガラス越しに乗員を確かめるが、人はいない。
奇妙。

めいっこが運転する僕の乗る車が、霊柩車から離れないよう、黒いヴォクシーが曲がるときにはその前の霊柩車を確認してから曲がるよう指示を出す。

ほぼ8割りがた葬儀社の車だと思っていたそのヴォクシーは左に曲がろうとしている。その前に直進していく霊柩車ボルボが
走ってたので、僕たちは曲がることなく、そこで、ヴォクシーと別れた。

助手席の甥っ子も、運転手のめいっこも
葬儀社の車じゃなかったと感じて背筋を震わせていた。

死に目にも会えていない。
お義母さんが、お別れを告げる最期の手段だったのだと思う。

もう、バイバイ。とお義母さんが言ったんだ。きっと。

実話です。

お義母さん、実に粋な最期のメッセージでした。お義母さんらしくて涙が出てきましたよ。

僕は何度もそのシーンを不思議に思いながら思い返していましたが、そのうちに
「私、うまくやったでしょ。」と笑顔でそういってくれてるイメージが浮かんで
「よかったね。お義母さん。ありがとう」と心で伝えました。

初七日の仏前には、大好きだったコーヒーも供えてあげました。
僕の分をね。それを見た家内は自分のコーヒーを僕にくれました。

僕も大のコーヒー好きなのでね。