STACKED RUBBISH / the GazettE | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 どうもー。今回はthe GazettEの3rdフルアルバムです。かなり普通のロック好きにも名前が浸透してきた頃でしたね。テレビにもちょくちょく出てました。絶賛高校生だったので死ぬほど聴いてた。

 

STACKED RUBBISH STACKED RUBBISH
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STACKED RUBBISH』

 

01.ART DRAWN BY VOMIT

 ルキ原曲。HIP-HOPテイストのSE。冒頭に一瞬流れる収録曲のダイジェストが無ければガゼットだとは到底思えない雰囲気。これはこれで一つのSEとして好き。

 

02.AGONY ★★☆

 ルキ原曲。HIP-HOP要素を引き継いだ、ルーズなリフが印象的なラップロック。V系から想像できる音楽からは離れた洋楽テイスト。ど頭の「Yo!」で面食らうけこと請け合い(笑)。無機質な楽器隊がクール。ノリは良くライブの爆発力はある。

 

03.HYENA ★★★★☆

 シングルの頁参照。前曲とのつながりは勢いあってかっこいい。

 

04.BURIAL APPLICANT ★★★

 葵原曲、初回盤にPVが付属するなど今回のリード曲。これもどっしりとしたリフが洋楽テイストながら、ダーク、ラウド&メロディアスと実にV系らしさを感じさせる。ラスサビ前の麗のプレイ(3:32~)がリズミカルでお気に入り。

 

05.ガンジスに紅い薔薇 ★★★☆

 初の戒原曲。やはりリズムが凝っており、オリエンタルな印象を残す高速シャッフルロカビリー。この手の楽曲はベースが引っ張り気持ちいい。乾いたギターの絡みも良い、葵も麗も実に乙なプレイ。早口だけど聴き馴染みの良いサビも秀逸。

 

06.REGRET ★★★★

 シングルの頁参照。

 

07.CALM ENVY ★★★

 ルキ原曲。穏やかな嫉妬と名付けられた通り、ゆったりと物悲しいミディアム曲。低音で淡々と紡ぎつつ、女性コーラスとの絡みが気持ちよく、ラストに向けどんどん熱を帯びるメロディが良い。これまた乾いたギターアレンジが秀逸。

 

08.SWALLOWTAIL ON THE DEATH VALLEY ★★★

 麗原曲。またもや女性コーラスが登場し、アメリカンな明るさのロックンロール。Xでいうところの「Joker」や「Desparate Angel」のような。ただメタルではなく湿った歌謡メロディがガゼットらしい。キャバ嬢的な歌詞も中々面白い。サビでドライブするベースが良い。

 

09.MOB 136 BARS ★☆

 麗原曲。タイトル=136小節の暴徒の通りひたすらハードに爆走。ただ乾いた音色とフレーズ、今と比べると弱いデスボイスも相まってさほど重くはない。メロディが無くてつまらないけどひたすらに爆走し続けるドラムに拍手。

 

10.GENTLE LIE ★★★★☆

 葵原曲。ハネたR&Bテイスト、ルーズでしっとりとした雰囲気。甘くキャッチーなメロディは、不倫をテーマに常に不穏な影がつきまとう。オーソドックスなロックソロから渋い指弾きまで原曲者の葵が大活躍。細かいシンバルワークの戒(昔コピーバンドしてた時に一番難しい曲だとドラマーが言ってた)、主張はしなくともバンドサウンドに濡れた艶感を出すれいたと、リズム隊のアレンジも実に心地よい。

 

11.FILTH IN THE BEAUTY ★★★☆

 シングルの頁参照。

 

12.CIRCLE OF SWINDLER ★★☆

 ルキ原曲。サーフメタルとも言えそうな超高速メロコア。リフなんかはかなりメタリックだけど音は軽め、とにかく勢いが気持ち良い。タイトルは詐欺師の輪、和訳すると中々に面白い。この頃は彼らも尖ってたし大人との戦いが尽きなかったのだろう。

 

13.千鶴 ★★☆

 シングルの頁参照。最初は「千鶴」で〆かよ!?と思いましたが意外と良い感じのクロージング。

 

14.PEOPLE ERROR

 ルキ原曲。ピアノのみのこの上なく物悲しいSE。「千鶴」の後に聴くと更に余韻が増す。あと公式HPで長らくBGMとしてかかっていたのも思い出深い。

 

 

総評 [お気に入り度★★★/おすすめ度★★★★

 武道館、横浜アリーナを成功させノリに乗った時期の3rdアルバム。モダンなユニゾンリフが格段に増え、V系らしさはなりを潜めた。前作『NIL』と比較してもかなり硬派な音楽性に。渋みのあるテイスティなフレーズも随所にちりばめられ、また一歩階段を上っているなと。

 機材の変革や、アメリカの著名なエンジニアにマスタリングを依頼したりと、音の明瞭さも格段に上がった。個人的にはドラムサウンドがかなり好み。ぎらついてジャリっとしつつ、フレーズのわりに軽めのギターサウンドは好みが分かれるか。

 

 Dirがそうであったように洋楽的ラウドさを増したのは想定内でしたが、HIP-HOPミクスチャー路線をがっつり取り込んだのには驚いた。本人らが普段聴いているのがそっち方面だったとは言え、大胆にきたなーと。ヘヴィな楽曲だけでなく硬派ながらバラエティ豊か。

 とはいえファンの多くが10~20代だったし、この段階ではダウナー過ぎる音楽性よりは、散漫になろうともこれ位の聴きやすさで良かったと思う。歌詞は事問題を反映したりと中々暗く、ポップな楽曲はないけども。

 

 青春時代に聴きまくった1枚だけど、今聴くとさほど刺さらないかな。シングル曲はどれも強いけど、アルバム曲が薄いね。あと英語タイトルが全部大文字になったのが気になる。Dirも当時そうしてたな。

 

ベストソング / GENTLE LIE