hikari / SID | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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V系を中心にロック、アイドル等々の、音楽レビュー処

 どうもー。今回は初めてのシドです。シド?SID?この時の表記がわかりません。世代なんですけど、デビューしてから一切聴かなくなってしまったバンド。周りのV系好き以外の人にもシドが知れ渡る中、逆に一番V系に詳しい僕はまったく着いていけてないという状況(笑)。

 

hikari hikari
2,332円
Amazon

 

 先週実家帰った時、通り道の中古屋でシドのアルバムがたくさん置いてあって買いそうになったのですが結局買わず。でもやっぱり気になって、最初に聴かなくなってしまった『hikari』をどうしても聴きたくなったところ、Amazon Musicにあるじゃないかと。ただUnlimited限定だったので…入会しました(笑)。中古盤買うより本人にお金行くしね。

 

 

hikari』

 

01.落園 ★★★

 ゆうや作曲。しとしとと、湿った空気のミディアム曲。フォーキーな歌謡メロディでアルバムの幕を開ける、なんてシドらしい!マオのかなりパーソナルな心情の歌だと思うんですが、歌も非常にエモーショナル。ギターソロも渋い!

 

 

02.妄想日記2 ★★☆

 Shinji作曲。インディーズ時代の代表曲の続編。リズムやフレーズ、構成、コード進行にいたるまで「妄想日記」を彷彿とさせる、跳ねたメンヘラアッパーチューン。まあストーリーも意識して続編にしてますが、フックと奇天烈具合はパワーダウンしたかなと。純粋な歌モノとしてはクオリティ高いんですけどね。

 

 

03.嘘 ★★★

 ゆうや作曲。たしかハガレンの主題歌になったのかな?和風なメロディと、湿度の高い初夏を思わせる透き通ったアレンジ。キャッチーながら憂いを帯びたサビは珠玉のメロディ。

 そのサビですが…僕は元々「少年カミカゼ」というバンドも好きだったのですが、そのバンドのある曲のサビと全くいっしょじゃん!と当時驚きました(笑)。シドやっちゃってんじゃんって。まあ実際は大して気にしてなかったですけどね。

 

 

04.サーカス ★★★★☆

 明希作曲。軽快なスパニッシュアレンジと超キャッチーなメロディ、大好物です。普通にavex系の歌姫が歌ってそうなダンサブルなリズムもクセになる。ギターソロもスパニッシュで情熱的なフレーズを逆にエレキで。かっこいい。

 

 

05.泣き出した女と虚無感 ★★★☆

 明希作曲。アコギメインでR&B風味のシャレオツ楽曲。メロディはちょっとフォークも入ってて。金物系のパーカッションがめちゃ良い。初期の昭和歌謡をメジャー仕様にブラッシュアップさせたような。

 

 

06.モノクロのキス ★★☆

 Shinji作曲。デビュー曲でありアニメ「黒執事」のOPだったらしいです。ちょっと南米の香りもする音使い。Bメロのキメがかっこいい。サビもメロディアスでいいんだけど、思ったよりフックがないというか、いろんな曲のメロディを継ぎはぎしたような感じがして違和感がある。んー、いや、いい曲なんだけどさ。

 

 

07.罪木崩し ★★★★

 ゆうや作曲。なんか椎名林檎がやってそうなセクシー歌謡路線。歌舞伎町感。バンドもクオリティ高いんだけど、それ以外の楽器のアレンジが素敵すぎる。エンディングソロもシビレるね。

 

 

08.2℃目の彼女 ★★★☆

 Shinji作曲。なんだこのシティポップ具合は!!まじトレンディ!!(適当)。とりあえず好き。メロディはそれほどなんだけど、楽器隊のアレンジが実にいいね。パーカッシブなドラムが特に。

 

 

09.capsule ★

 明希作曲。スペーシーポップスかと思いきやそこに飛び込む轟音リフ。そのギャップは面白いんですけど、それだけ。今作唯一退屈さを感じた曲。

 

 

10.ドラマ ★☆

 明希作曲。ストレートに転がるポップロック、V系がラストのほうでよくやってる感じの(笑)。メロディも良いんですけど、やっぱりこう、心に引っかかるものがないと、ダメだ…。

 

 

11.光 ★★

 明希作曲。アコギが優しいミディアム曲。何かの主題歌でもおかしくない程ドラマチック。ポップスとしての完成度は高いです。

 

 

総評 [お気に入り度★★☆  おすすめ度★★★☆

 シドのメジャー1st、発売されたのは高校生の頃。完全にどストライクで世代なバンドなんですけど、メジャー以降はシングル曲すらまともに聴いていなかった始末(笑)。初めてちゃんと聞きましたが、V系出身とは思えないほど、ポップスとしての完成度が高い。

 

 全体的にR&B要素が強いというか、バンド以外の音もがっつり入ってて、歌姫系歌手がやってそうな感じ。女性目線だったり、一つ一つリアリティある繊細な描写は、やっぱりマオがダントツで上手いなと。歌唱力は言わずもがな。

 

 んー。

 あんまりシド聴かない理由が改めて分かったというか。もうインディーズ時代から既に曲そのものもアレンジも演奏も、何から何まで素晴らしくて。そこなのかなと。

 いわゆるネオビジュアル系と括られる世代を代表するバンドといえば、ガゼット、ナイトメア、そしてシドですけど、全てにおいてシドは質が高くて。そこが逆に追いかけなくなった理由かなと今になっては思いますね。

 『星の都』を聴いたときは衝撃で、その後の2作も大好きなんですが、刺激や驚きはあんまり無くて。その点他の2バンドは作品ごとにどんどん成長していくのがまた追っていて楽しかったりもして。

 

 わーわー言いましたが、メジャー1発目ながらしっとりと落ち着いたシドの良さは変わらず。アレンジの奥行きがさらに増して純粋に良い作品ですね。周りのV系興味のない層でもほんとに多くの人が曲を知っていて、それだけ楽曲の持つパワーも高かった証拠。

 個人的にはロック要素強い曲が全くハマらず。というかラストのストレートめな3曲が全然ダメでした。結局少し古めの歌謡ポップス路線を求めちゃっているのだなと。

 

ベストソング / サーカス