Fusion of the core / SCREW | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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Fusion of the core/SPEED DISK
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今回はSCREWの『Fusion of the core』です!

好きなCDばかりだと甘めになってしまうので、今日はあんまり好きではないCDです。

失礼な()

今のSCREWは好きですよ。

 

SCREWは僕が本格的にV系を聴き始めた頃に結成されたので、雑誌ではかなり目にしたし、例によって顔がいいので()、気になるバンドではありました。

早い段階でShibuya O-WESTワンマンをしていたのが印象的でしたが、その後長らく人気は停滞気味でした。しかし、PS COMPANYへ移籍後ベース脱退と加入を経て、2012年ついにメジャーデビューを果たします。

いやはや、音楽的には好きな傾向だったのですが、正直すぐに解散するものだと思っていたので心底驚きました。

そんな彼らがインディーズ時代に発表した1stアルバムです。内容的には半分ベスト盤のような内容で、この頃はまだ和己のみのシングルギター、オリジナルメンバー4人です

 

 

Fusion of the core

01. F.O.C

ライブでの登場が想像できる、ノリのいいインスト風の曲。一応歌入り。Dirにもこんなんありましたね。

 

02Death's door ★★☆

PVも制作された、今作のリードナンバー。ツタツタリズムにヘヴィリフで疾走し、Aメロはシャウトやウィスパーボイスで怪しさを。このシャウトがかなり弱々しくて…。

サビでメロディアスに開ける部分はかっこいいのですが、クリーンボイスはほとんど上ずっていてもったいない。間奏でも再びデスボイスをフィーチャーするのですが、かなり苦しいレベルです。

 

03The previous night of hell ★★

こちらも激しさは同程度ですが、ハードコアパンク的曲調で、ライブでのノリは非常によさそう。サビ以外はほぼシャウトとがなり声ですが、前述の通りカッコいいとはいえない出来。

メロディアスとは言えないながら、前半の盛り上がりには一役買っています。

 

04Deformity to awake ★★

またまた同じような激しい曲調ですが、日本語詞とわかりやすめのメロディになり全く同じにはなっていません。サビのメロディはいかにもV系なマイナーメロで、悪くない感じ。

サビの歌い終わりににシャウトを重ねるという手法が何回も出てきていますが、いらないなあ。聴き疲れの要因にも

 

05St. Highway ★★★

イントロからメロディから90年代のV系を彷彿させる、アップテンポの歌もの。ハモリ含めボーカルの音程がけっこうやばいですが、PENICILLINっぽさもあり好みの路線。

ここにきて初のギターソロ、フックのあるようなものではないですが、入っているだけでうれしい()。ソロ以外でも基本的にコード進行に対して超王道の音使いばかりなので、全体的によくあるフレーズを弾いているだけ…という印象になりがちです

 

06BABYSTAR ★

エフェクティブなギターが耳に残るイントロから、ひたすらシャウトで攻め立てます。サビではDirの「child prey」に………というか全体的に「child prey」で、アウトロは「ピンクキラー」です()。あちらぐらいデスボイスに迫力があればいいんだけれど…。

唐突に一瞬だけ出てくるピアノや、大サビの展開など工夫は多少あるんですけど、ほぼ同じ曲なので比べてしまうのはしょうがないかな。まあ、賑やかし曲ってかんじで()

 

07.至幸を狂わす半解な天秤 ★★★

これもギターがズクズクと刻むハードコア系楽曲。ですがBメロではがらっと雰囲気を変えメロディアスに。手法としては24曲目と同じですが、ピアノを取り入れ歌モノとしての色が強いです。

 

08.白雪と舞う ★★★★

僕にとってこのCDはこの曲だけのためにあると言っても過言ではないです()。サビは今作イチの良メロ!

系統としてはガゼットの「菫」に近い、ピアノを取り入れたメロディアスなバラードです。タイトル通り冬をテーマに、別れが近づきつつも愛する男性を想う女性を綴った歌詞も切なくていい。

バラードと言い条、歪んだギターと跳ねたリズムはそこまで他の雰囲気と違わない。速弾きが印象的なギターソロは、シンプルながらメロディを大事にした作りで、曲の美しさに花を添えている。

そしてその美しさを、ボーカルが微妙な印象に仕立て上げています()。結成当初の音源とはいえ、本当にもったいないです。

 

09.儚きは散り逝く美しき零落と… ★

またハードになるのですが、こちらはずっしりとした重さと暗さがあります。音程が微妙なのでわかりませんが一応メロディアスではありそう。しかし、重さや暗さといった部分で耳に残らず、歌にも演奏にフックとなる部分が皆無で、ただダラダラと終わります。その分短いですが

 

10-- ★★☆

この曲もある程度の重さを持ったメロディアスな楽曲。リズムが凝っていて、エフェクティブなギターなど少しPIERROTっぽい。裏声のハモリが意外に綺麗だったり耳に残る部分はありますが、基本は247曲目と同じような印象。

 

11Entrance to defeat ★☆

2曲目と一緒やん!サビはテンポダウンし耳には残る。

 

12.夢の彼方へ ★★★

5曲目と同系統の、疾走感とメロディアスさのあるロックナンバー。AメロBメロはかなりメロディアスでおおっ!と期待させてくれるのですが、サビがなんか…。メロディの立ち方はいいんですよ、耳にも残る。ただダサいんですよなんか()

全体の中では光っている曲です

 

 

総評[お気に入り度 40 / オススメ度 25]

えーと、クオリティは高いとは言えないです。

まず、おおざっぱにいうと曲の系統が2種類しかないです。激しくてサビだけマイナーメロの歌モノになる曲と、全体的に歌モノでメロディアスだけど演奏は激しめの曲。完売集という側面もあれど、もっとバランスよく選曲できなかったのかと。

やりたいことは明確なんですが、V系で流行のどれもやりつくされている曲調だし、これといったインパクトもない。せめてメロディがキャッチーなら…。

それと録音レベルが少し悪く、音圧高めのギターと激しい曲調も相まって耳が休まりません。

 

そして最大のマイナス点はボーカルの歌唱力のなさですね。初期は特にそうです。デスボイスもクリーンもどちらにせよ声は出てませんが、もうちょっとクリーン重視のほうが良かったのでは。

 

とまあ悪い点はこれまでにして、「白雪と舞う」は名曲です!シンプルながらメロディを生かした丁寧な作りで、ピアノがまた美しい。最近再録もよくしているので、ぜひこれをやっていただきたいですね。

演奏的にはドラムのジンは、Slipknotのドラマーを敬愛しているだけあって手数は多め。ベースのゆうとは上手いとはいえませんがいい意味で前にでることも多いです。

ギターの和己はこの頃はまだまだ引き出しが少ないですが、のちに加入するマナブ共々うまくなっていきます。何気に同じギターを持っていることもあって、好きなギタリストです()

 

中古で買ったのでまあいいんですが、1曲のためだけに1000円出したんか俺は、という意味であまり好きでないCDです(笑)

改めて言いますが、今のSCREWは好きです。楽曲も洗練され、激しさを残しつつ毎回かなりキャッチーな楽曲が多いので。

 

今知りましたが、現ベースのルイが脱退し、ファッションデザイナーとして歩んでいくそうで。テクニックもあるしキャラも面白いしで好きだったので、残念でならないです。私服のファッションなど毎回センスが良かったし、がんばってほしいで