先日観に行った複数の映画の感想

 

以下ネタバレしますのでご注意ください。

 

6月29日は二本立てで映画を観に行きました。1本1100円でしたが、ガラガラでした。

『ドクター・ドリトル』

 

…小学生の時に読んで、好きだったのを覚えていたので観に行きました。

しかし、やはりこれは子供向けだと思います。男女の子どもが二名登場するのですが、

男の子が冒険についていく流れが、後から考えたら不自然に思える。

まあ、子供向けだからw

あと、ドリトル先生は恋人の冒険家が一人海に出て海難事故で死んでから、厭世家となり

人と交わらなくなって、女王が与えた庭園にこもって動物を世話しながら生活しているのだが、

なぜ、厭世家になったのか?人嫌いになった理由が今ひとつわからないww

動物の世話のために彼女と冒険に行けなかった自分を責めている、ということが後から

わかるけど、自己嫌悪によるものなのだろうか?人と付き合うほどの価値もないってこと?

ドリトル先生の弟子になった男の子はもともと猟師の息子で、銃で動物を撃ち殺すことが

できず、暴発した銃弾がクレイジーなリスに当たってしまうんだけど、そのリスがドリトル先生

の治療により回復して、男の子に対して言う妄想的な暴言がまたいけ好かない。

妄想の映像に、一瞬だが広島の原爆雲を思わせるような爆発があって、リスの怒りを

滑稽に描くことでアメリカの犯した大虐殺を茶化している趣があるように感じた。

(原爆をイメージしたものではないと言われてしまえば、それまでだが)

そういうスタンスなんだなと感じたし、以降のアメリカンジョークも今一つ伝わらなかった。

そもそも、私はロバート・ダウニー・Jrのことがさほど好きではないなあと、感じた(草

あと、イギリス人って女王絡めてくるの好きだよね……って思った。権威主義的な。

制作国はアメリカだから、それがアメリカによるイギリスのイメージなのかな?

それとも原作に忠実に描いたらああなった?

アウトラインをざっくりとしか覚えてないのでなんとも。

 

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

 

…こちらは最高傑作だった。男は退屈すると思うけど

(現に劇場には誰一人男はいなかった草)、

女性にはお勧めします。『若草物語』を書いたオルコットの自伝的な映画です。

ジョーは四姉妹の二女で、少女の頃から作家になることを夢見ている。

他の姉妹たちもいろんな才能や個性があって、ジョーの書いた芝居を演じたり、

クリスマスの日に飢えている子のいる家に皆でご馳走を運んだり、

恋の微妙な関係(三角関係)になったり、ときには喧嘩をしたりします。

エミリーがジョーに嫉妬して、ジョーが書いた小説を燃やしてしまい、その後母親や

姉達に怒られて謝罪をしたエミリーをジョーが許さなかったために、エミリーはジョーを

追いかけて氷の張った池に落ちてしまうシーンは、よく覚えています。

150年前の人だけれど、我々と変わらない感性です。

何気ない日常が描かれているのですが、コロナウィルス感染症で非日常的な暮らしを

していると、何だか微笑ましく羨ましい気持ちがします。

けれども、一番性格が大人しく、皆に愛された三女ベスが先の困窮家族の赤ん坊から

病を貰って、しょう紅熱で生死の縁を彷徨い、九死に一生を得て生還したのちも

心臓を弱くして死んでしまうところは涙が出ました。

やはり、感染症は今も昔も恐ろしいものですね。

ジョーは、というか、オルコットは(この映画は、オルコットの自伝に沿っているが、

ジョーとして描かれている。サザエさんのカツオが長谷川町子のようなもの)、

それまで他のペンネームを使って熱情的な小説や物語を書くことが多かったのですが、

ベスの死をきっかけに、自分たちのことを書き始めたようです。

私は最初の若草物語と、ジョー先生のアニメしか知らなかったのですが、

続・若草物語、第二、第三若草物語があるそうです。

今度機会があったら、全部読んでみたいと思います。

因みに、小説の中でジョーは結婚しますが、これは編集者に結婚のないストーリーは

受けないと言われたからで、オルコット自身は結婚していません。男の子っぽい性格を

しているし、大好きな姉が結婚して苦労しているのを見たのもあるでしょうし、

執筆で自活できる身となれば結婚は不要と考えたのかもしれません。

これからの時代、女の幸せは『結婚』に集約されることはないでしょうね。

彼女は勿論フェミニストです。奴隷制廃止論者でもあります。

女性たちの語る一つ一つの台詞に重みを感じました。

今の日本の女性の地位も、当時のアメリカとあまり変わらないように思いますね

…残念ながら。

(もう少し早く気づいていれば、英語を必死で勉強して日本から逃げれたと

思いますが……)

女性なら、楽しめる映画だと思いますね。お勧めです。

(因みにオルコットは南北戦争中の労働時に発症した水銀中毒の後遺症で

亡くなったそうです)

 

あと、別の日に、『透明人間』も観ました。

こちらもフェミニズム的観点から見れば、相当味わい深いところがありますが、

疲れたのでまた次回。