こんばんは!
最後のフォトジョさん出演とツイッター削除からだいぶ経ってしまいましたが、
今回は、このブログも最後の記事となります。

9月10日15時より、最初で最後のグラビアDVD「せいそだもん!」の発売イベントが行われます。
それを以て、「佐藤ルチア」としての私の最後のお仕事とさせていただくことになります。


思えば、長いようで短かった一年半。

始めたきっかけはスカウトしていただいたことでしたが、
喫茶店での面接時、事務所の先輩のお着物に縄という姿のグラビアの写真を見せていただいて、

とにかく陰影や色彩がとてもとてもきれいで、
涙があふれて、

「こんなにきれいな絵が私にもできるのかな」

って思ったことが、始めることを決意した一番の理由だったと思います。


「非日常」を表現したくて、コルセットやら角やらを持ち込んだ最初の撮影会、
天使の翼や人魚のドレスを手縫いして企画した主催撮影会、

フォトセッションでも、最初に見た美しい写真の面影を追って、
縄をやってみたりもしました。


今のグラビアは、
正直、私の思い描いたものとは少しちがっていて、

綺麗とか曲線とか色合いとか光とか陰影とか、
そういうものを美しく表現して異世界に誘うことよりも、

もう少し違った視点からの表現が多く、

学ばせていただくこともたくさんありましたが、

よく言えば大多数の普遍的な需要を鑑みた、
悪く言えば、安直でありきたりな部分もかなり見受けられるという印象が強く、

それは、DVDの収録時、ひときわ感じることとなりました。

同じ衣装、同じ小道具、同じロケーション、

髪色や化粧も演技も、
すべて隣の部屋のあの子と同じことの繰り返し、
そして、その同じものは毎月何十枚と刷られている。

違うのは体の特徴だけ。

私だからこそ見たいといってくださる方もいらっしゃるかもしれません。
それは、自分自身の体に厳しく接してきた私にとっては、
唯一の救いともいえる部分です。

でも、本当は、

もっと、物語や、新しいときめきや、
異世界の扉が目の前に現れた時のような、


何か、「需要」や「利益」といったものを無視した、

そういう世界を私は描きたい、表現したい。

画一的な「大勢がなんとなく普通に見てそれなりにたのしめる」ものではなくて。


私がつまらないから。
見る側もそれなりにしか思えないのではないでしょうか。


もちろん、これまで歩んだ1年半、無駄だったとか嫌だったとか、
そんな風に思う気持ちはありません。

みなさまに会えたこと、著しく自身を向上させていただいたこと、
ずっと応援して下さったこと、

見ていてくださったこと、


そしてその温かい気持ちが、

挑戦する気持ちを思い出させてくださったこと、
自分の思い描く「表現」に素直でいさせてくださったこと、


最終的には、需要を超え、たくさんの思い出を共有し、
写真という一つの道具、ライブという一つの空間から、
感情を、憧れを、情熱を、重ね合わせて下さったこと、

安易な需要に逃げず、何もかも失ったとしても自分に向き合い、
生きることに向き合うことを許してくださったこと、


本当に感謝してもしきれません。

私は、皆様が大好きで、その一心で、ずっと駆けてくることができました。

本当に今まで、ありがとうございました。


一年半歩みかけた道を辞めることを決めて、
自分で決めたのにこんなにも辛くて、ずっと泣いていたのは、
もう、みなさんにしばらく会えなくなってしまうことの寂しさからだけでした。

でも、これからまた、何かしらの形でみなさまに会える方法は作っていこうと、
今試行錯誤しています。


昨今、「レイヤー」や「被写体」の登場によって、
もう「グラドル」の存在意義は、
「ある程度以上の見た目を保障されている」「身体的特徴が顕著な」「性的に魅力のある」というようなものに偏るしかなくなったと思います。

知り合いの、とても有名でお仕事もたくさんこなしているグラドルさんが知人に、
「得意なポーズしてみてよ」と言われて、

「えっ、そういうのないですよ」

と答えるのを聞いて、

懸命に自分なりの「グラビア」を模索していた私は、衝撃を受けたのを覚えています。

どう曲線を出そうか、どう画面に迫力や鮮烈な印象を描こうか、
真剣に毎日考えていても、

それは、世にいう「グラビア」とは違うのだと。

世の中が求めているのは、

「かわいくて癒されてつるっと入ってくる」グラビアであって、
「雷に打たれたような衝撃を受ける飲み込みづらい」グラビアではないのだと。


最初で最後のDVDの撮影時、スチールさんやメイクさんに、

「体の線がこの世のものとは思えない」

と絶賛していただきました。

監督さんにも、とてもよくしていただいて、
戸惑いばかりの私が、きちんとDVDを商品として残せたのは、
ひとえにそういった皆様のご尽力のおかげだと思います。

こうして形になったことは、とてもありがたいことで、
見ていただく皆様にも、当時の私やメーカーさんの表現物の一番の力作として、共有していただければ幸いです。


しかし、これから先、
私はもっともっとたくさん、「美しい」「異世界」を目指して、
表現を極めていきたい。

それは、被写体であろうと、創作者であろうと、
同じ気持ちです。


またいつか、撮影会や、被写体として皆様の前に立つことがあるかもしれません。

その時、「ああ、かわいい女の子だな」
と思っては、欲しくありません。

「ああ、ここには、異形の化物がいる」

そんなふうに思って頂けることが、一番の喜びです。


ただ何か見たことのないような、
覗き込めば引きずり込まれるような、


取り巻く日常を、一人きりで侵食する何かを生み出し続ける存在になれるよう、
これから、全力でまた、歩んでいこうと思います。

もちろん、決して楽な道ではなく、このように生きるものとしては、
とんでもなく遅ればせな決断であることは重々承知しています。

でも、これまで応援して下さったみなさまの気持ちに、
私も、うそいつわりや妥協で応えたくありません。

まっすぐ、傷だらけでも泣きながらでも倒れながらでも、
がんばります。


本当に、今までありがとうございました。


イベントで、一人でも多くの方に「さよなら」と「ありがとう」と「またね」を言えることを、
心より願っています。



Lucia Sato