REAL ME -5ページ目

何かが

迫っているのを感じる。
それが何かははっきりとは分からないけれど、とても怖いこと。



一番怖いこと。

初めての

人生初めての入院、opeです。

昨日は思いの外良く眠れました。
悪夢を見て、何度か目が覚めた以外は。

昨日の夜から禁飲食になり、朝から点滴が始まりました。
自分が看護職なので、色々なことが気になってしまいます。
きっと知らない方が幸せなことだらけでしょう。


今日は気温は低いですが、とても天気がいいです。
明日の同じ時間に、私は一体どんな状況で何を考えているのか、私自身分かりません。

これまで、たくさんの人が癌で亡くなっていくのを見送りました。
彼等は決して病院に死ぬために来たのではなかったはずなのに、本当に残酷な現実です。

私にとってこの大きすぎる一歩が、生きるための一歩なのか、死ぬための一歩なのか、結果が出るのは2週間後だそうです。

私はそれまで生きている心地のしないまま、生きなくてはいけないみたいです。

病室の古びた天井を眺めながら、本当に色々な考えが浮かんでは消えていきます。

私はこの26年間何をして生きてきたんだろう。
今思うと、お世辞にも、他人に誇れるような生き方ではありませんでした。

後悔することはいくらでもあります。挙げたらきりのないくらい。

それでも、不思議と未練はありません。

きっと、死ぬことはいつも怖いです。
死ぬことを受け入れると言うことは、きっとこの先もないと思います。

それでも、死ぬことへの焦りはありません。
人生において、一番幸せだと言える時期に、一番大切な人に看取ってもらえるということは、この上ない幸せでしょう。

本当にあなたが傍にいてくれて良かった。
ありがとうございます。

あと数時間後には、ずっと避けていたopeが始まります。
すごく怖いです。。それでも、あなたのために私は耐える必要があります。


あなたのために生きると決めたので、私は頑張らなくてはいけません。

だから、死ぬまで傍にいてください。

それだけあれば、他には何もいらないです。


あのね。

君は医者なのに、震え声で大丈夫だよ、何て言うから。ダメだってばればれだよ…

君を残して死にたくないよ。だって、君は一人じゃ何もできないからね。
とても一人で生きていけるようには見えないんだ。

死にたくないって思ったのははじめてだよ。今まで、死にたいって思ったことはないけど、生きたいって思ったこともないんだ。


生への執着は、他の誰よりも薄いはずだった。

君との付き合いだって、全てが流れだった。
私は流れに任せて、特別な感情もなく君と付き合って、自分が何をしたいのか日々自分に問いかけるっていう無意味なことを繰り返してた。


君を傷付けるばかりで、本当に何も意味がなかったね。
君が私のなかに深く踏み込んでこようとするのを、ずっと拒否して、一定の距離を保つのに必死だった。

君が一生懸命になるほど、虚しさを感じたの。
私は一体何がしたいんだろうって。



ある日、テーブルの引き出しの中から一冊の古びた小さな手帳を見つけた。
それは君の亡くなったお母さんが遺した母子手帳だった。

ある日、この世に産まれた君が、どういう風に成長していったのかが記録されていた。

それと共に、お母さんが君への思いを綴った文章が残されていた。

私はそれを読んで、泣いた。

同情とは別の、なんとも表現できない感情だった。
お母さんは君のことを深く愛していて、道寺に君のからだのことをとても心配していた。それをその短い文章から強く感じたから。

君が12歳の時、お母さんが亡くなった。

その事実が意味することは、経験していない私にはとても想像することは出来ない。




その時に私は強く思ったの。
君のことを死ぬほど大切にしようって。
お母さんの分まで君を愛そうって。
お母さんが君にしてあげたかったけれど、出来なかったことまで私がしようって。

何故か分からないけど、その思いは決心に近かった。





それなのに、私は、君のお母さんが死んだ原因となった病気になった。

癌が見つかった。
見つかったというよりは、向き合うことになったっていう表現の方が正しいね。

始めにも言った通り、私は生きたいと思ったことはなかった。
3年前、癌の疑いがあることを医師に告げられたとき、私は今後の検査や治療全てを放棄した。
特に生に未練はなかったし、治療することは自然の流れに逆らっているように感じたから。


でも、君のために生きる必要があった。
初めて、生きる意義を見つけた。どうしても生きなくてはいけない理由ができてしまった。

改めて現実と向き合って、一番に、君をまた一人ぼっちにしたくないと考えたよ。


それでも、迷いもあった。
君にとても大きな負担をかけてしまうこと。
普通なら背負わなくていいはずのものを、君は既にたくさん背負っていたから。


でも、君は私が生きる理由だと言った。今までいつ死んでもいいと思ってたけれど、やっと生きる理由を見つけたって。

お互い持っている思いは同じだった。
君は、私を夫婦として支えたいと言った。


そして、私達は法律上夫婦になった。
形式上婚姻届という紙切れ一枚で繋がれた関係。たった数ヶ月一緒に過ごしただけの関係。
周囲からすれば、どうして?と思うのは当たり前だと思う。

それでも、私達の絆みたいなモノはそんな単純じゃない。

私達は、お互いがお互いの唯一の家族であり、生きる理由になっている。

要するに、本物の家族になることに血の繋がりや時間の経過は関係ない。

そう思わせてくれたのが君だった。



私は、来週、あれだけ避けていた手術を受ける。
怖い。。死ぬほど怖いけど、何より君をまた一人ぼっちにしてしまうことが一番怖い。

死ぬまではいかなくても、生殖機能は失うかもしれない。

周りは生きていられるだけ幸せだとか、言うけれど、
私は、一人ぼっちで生きてきた君に家族を作ってあげたかった。
君と私の遺伝子を分け与えて、出来た子供を君に抱いてほしかった。

君は、私が生きていれば子供なんていらないって繰り返し言うけれど、
私は君の子供を産みたかったよ。血の繋がりだけじゃない本物の家族がどんなものなのか、君に教えてあげたかった。

でもそれはとても我が儘で贅沢なことなのかな。

周りの友人たちは、当たり前のように妊娠、出産していたけれど、私には当たり前じゃなかったみたい。



でも、今はそんな泣き言を言ってる場合じゃないね。
私は何よりこの先も生きなきゃいけないから。君を一人ぼっちにしないように。

頑張るから。

私が死ぬまで、傍にいてね。


もし、君がおじいちゃんになるまで、一緒にいられなかったら、ごめんね。

その時は、死ぬなんて言わないで、私の分まで生を全うしてください。

心から愛しています。