ジャンル:恋愛、悲恋、アクション
上演時間:約15分
登場人物:
ミオ(20代前半、女性):片腕がなく、借金を抱えた少女。優しくも芯が強いが、孤独と絶望に苛まれている。
カイト(20代後半、男性):組織に追われる賞金首。荒々しくも心の奥に温かさを秘める。
組織の男(声のみ):冷酷な追跡者。
(雨音と遠くの雷鳴。薄暗い廃墟の建物の中、ミオの荒い息遣いが響く。)
ミオ:(独り言、疲れ果てた声)また…借金の取り立てか…。逃げても、逃げても…(咳き込む)もう、走れない…。(足音が近づき、カイトが乱暴に扉を開けて入ってくる。)
カイト:(息を切らせて)くそっ、しつこい奴ら…!(ミオに気づき、鋭く)おい、誰だ!?ここで何してんだ!?
ミオ:(怯えながら)ご、ごめんなさい…!私、ただ…隠れてただけ…。あなた、誰…?
カイト:(警戒しながら)関係ねえ。俺を匿う気がないなら、さっさと消えな。(ミオの片腕に気づき、声を和らげる)…その腕、どうした?
ミオ:(目を伏せて)…昔、事故で…。借金のカタに働かされて…逃げてきたの。でも、追われてる…。
カイト:(苦笑)ハッ、似たようなもんだな。俺も追われてる。組織の賞金首だ。(皮肉に)お互い、ろくな人生じゃねえな。
ミオ:(小さく)…でも、生きてる。まだ、生きてるよね?(カイト、ミオの言葉に一瞬言葉を失う。雨音だけが響く。)
カイト:(静かに)…ああ。まだな。
(廃墟の中で焚き火を囲む二人。外はまだ雨。)
ミオ:(焚き火を見つめながら)…こうやって、誰かと話すの、久しぶり。借金取りに追われて、いつも一人だったから…。
カイト:(薪をくべながら)俺もだ。組織に裏切られて、仲間もいねえ。いつも逃げるだけだ。(ふと笑って)けど、こうやって火を囲むの、悪くねえな。
ミオ:(微笑んで)うん…暖かい。(薪を切っているナイフを見て)カイト、そのナイフ…とても綺麗。
カイト:(ナイフを持ち上げながら)これか?こんなもんはそこらですぐ手に入るようなもんだ。良けりゃ、やるよ。
ミオ:ほんと?うれしい!(ナイフを受け取り、笑顔になる)
しばし、沈黙。
ミオ:カイト、カイトは昔どんな人だったの?。
カイト:(遠い目)…昔は、ただのガキだった。夢見て、笑って、仲間とバカやってた。それが全部、組織に食われた。(拳を握る)お前は?何で借金なんて…。
ミオ:(静かに)親が騙されて、借金を背負わされたの。私が返そうとしたけど…片腕じゃ、できる仕事も少なくて…。でも、カイトとこうしてる今は…ちょっと、幸せ。
カイト:(照れ隠しに)バカ、幸せなんて言葉、簡単に使うなよ。(優しく)…でも、悪くねえよ。この時間。(二人の間に温かい沈黙。ミオがそっとカイトの手に触れる。)
ミオ:(囁くように)カイト…もし、明日が来なくても…今、こうしていられるなら…それでいい。
カイト:(ミオの手を握り返す)…ああ。俺もだ。
ミオ:約束だよ、これからも一緒に…。
(突然、遠くで銃声と足音。組織の男の声が響く。)
組織の男:(遠くから、冷たく)カイト!逃げ場はねえぞ!その女もろとも始末してやる!
カイト:(跳ね起き、ミオに)ミオ、隠れろ!今すぐだ!
ミオ:(震えながら)カイト、行かないで…!一緒に逃げよう!
カイト:(銃を手に、決意の声)お前は逃げろ。俺が時間を稼ぐ。ミオ、お前は…生きろ。絶対に。
ミオ:(泣きながら)嫌だ…!カイト、私を置いていかないで…!(カイト、ミオの額にそっとキスをする。)
カイト:(優しく)お前と過ごした時間、俺の人生で一番だった。…ありがとう、ミオ。
(カイト、銃を構えて廃墟の外へ。銃声と叫び声が響き、戦闘音が激しくなる。ミオは泣きながらその場に崩れ落ちる。)
(戦闘音が止み、静寂。ミオがよろよろと外に出る。雨は止んでいるが、地面には血が広がっている。)
ミオ:(震える声)カイト…?カイト、どこ…?(血だまりを見て、絶叫)カイトーーー!!
(カイトの姿はない。遠くで組織の男の冷たい笑い声が響く。)
組織の男:(遠くから)賞金首は仕留めた。次はお前だ、借金女。
ミオ:(涙を拭い、立ち上がる)…カイト、ごめんね。私、約束、守れなかった…。(決意の声)でも、あなたの分まで…生きてやる。
(ミオ、片腕でナイフを握り、ゆっくりと闇の中へ歩き出す。背後で組織の足音が近づく。)
ミオ:(独り言、静かに)カイト…あの焚き火の暖かさ、忘れないよ。…ありがとう。(足音がミオを追い詰め、銃声が一発響く。暗転。)
(静かなピアノの音。ミオの声がナレーションとして響く。)
ミオ:(穏やかに)カイト、私たちは短い時間しか一緒にいられなかったけど…あなたがくれた幸せは、永遠に私の心に残るよ。どこかでまた、会えたら…今度は、また二人で笑い合おうね。(ピアノがフェードアウト。幕。)