日付の変わった、午前2時過ぎ。
おばあちゃんは旅立ちました。
その数時間前まで、そばに居て、
手を握っていました。
静かに、静かに、
おばあちゃんは、
旅立っていきました。
入院して2ヶ月が過ぎ、
もう、話すことも出来なかったけど。
手を握り返すくらいしか、
動くことも出来なかったけど。
それでも、おばあちゃんは、病院に居てくれて、会いに行くことができた。
もう、話すことも、会うことも、
触れることも、出来なくなるんだね。
写真の中のおばあちゃんは、
とっても優しい顔で笑ってる。
霊安室のおばあちゃんも、
最期の闘いを終えてホッとしたような、
不思議と微笑んでいるように見えた。
看護師さんに、身体も綺麗にしてもらって、
よかったね、綺麗な顔だったよ。
明日また、おばあちゃんの所へ、
行くからね。
少しだけ、顔にお化粧、してあげるからね。
最後に握った手、、、
並べてみたら、びっくりしたよ。
よく見たら、おばあちゃんと私の手、
爪の形から何から何まで、
よく似てる。
私は色黒だけど、おばあちゃんは色白。
この手で、92年、頑張ってきたんだね。
亡くなる12時間前、14時過ぎに、
病院から電話があって、
病院へ向かった。
それから、6時間くらい、おばあちゃんのそばで、最後の時を一緒に過ごした。
途中、18時過ぎにドクターに来てもらい、
相談の上で、鼻に入っていたカテーテル、
酸素、血圧を上げる点滴等、、、
おばあちゃんの体にまとわりついていた、
管を外して頂いた。
そうしたら、とても、すっきりとした表情になった。
50センチもある管が、鼻から出てきたのには、
驚いた。それは、苦しかっただろうな。
家族が食事をとりに別室へ行っている間、
おばあちゃんとふたり。
耳元に顔をすり寄せて、
『おばあちゃん』
『おばあちゃん』
もう、何も反応してはくれなかった。
『おばあちゃん、ありがとうね。』
『大好きよ。』
そう言って、できうる限り、
おばあちゃんにくっついた。
これが、生きているおばあちゃんとの、
最期の時間。
毎日、病院行ってたな。
ほとんど毎日。
もう、行くとこなくなっちゃったな。
『ごめんね、何も助けてあげられなくて。』
格好良かったよ、おばあちゃん。
ちゃんと、息子が来るまで待ってから。
私は横でおばあちゃんが懸命に息をしてる姿をじっと見つめてた、心の底から、おばあちゃんはすごい、そう思いながら。
私もおばあちゃんのたくましさ、少しは見習いたい。
最後は不平不満も何も残さず、
粛々と、運命を受け入れてるようだった。
この日、珍しく意識があって、
おばあちゃんと写真をとった。
いつだったかな、、、?
これが最後に一緒に撮った、
写真になっちゃったな。
おばあちゃん、ありがとう。
明日はもう少しゆっくり、話そうね。