「口は災いのもと」 | 現役スポーツアナウンサーから学ぶ、スポーツ実況に特化したアナウンス講座! 

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野球・サッカーの実況歴は各1000試合以上、競馬実況数は15000レースを超えています。数多くのシビアな現場を経験してきた現役アナが「喋るスキル」を通して、貴方の才能をアッという間にパワーアップします!

 金曜日は京セラドームで「阪神vs東京ヤクルト」の実況を担当しました。


ちょうど16時頃、ドーム周辺はゲリラ豪雨!物凄い雨でした!雷もありました!


もし、甲子園だったら・・・開門を遅らせ、グランドにはシートを引き、と大わらわだったのでは・・・プレーボールも遅れていたかもしれません。


屋根があって良かったです・・・(笑)。



試合は、久保と村中の投手戦。


しかし、どちらかというと村中は抜群の安定感があり、久保はいつ打たれても不思議ではないくらい内容には差がありました。


凡打の山を築く虎打線に、解説の佐野氏は「初球のカウントを取りに来るストレートを、なぜ打たないのか?」と言い続けていました。


また、「ランナーを出して、盗塁をしなくてもいいのでプレッシャーをかけたい」とも話していました。


6回までは全く試合が動かず、久しぶりに「ネタに困る試合展開」でした・・・(苦笑)



ところが7回に大きな動きがありました。


久保が先頭打者ホワイトセルを四球で出し、次が曲者宮本。


バントの構えからヒッティングに切り替えるも、バント警戒で前進していた新井がライナーをキャッチ!ダブルプレーに!



その裏、今度は鳥谷がヒットで出塁。今季は走塁に積極的な選手会長が、スタートを切る構えを見せ村中にプレッシャーをかけます。


すると、佐野氏の解説通り、村中の投球リズムが変わってきます。


ブラゼルがヒットで繋いで1、3塁とチャンス拡大!


2死になったところで代打には関本。


その初球でした!ストレートを鮮やかにライト線に運びます!バレンティンのエラーもあって2点を先制~!


これまた佐野氏が言っていた「初球のストレート」を関本が狙ったわけです!ハマりました~!



「いや~、関本を抱きしめてチューしたいわ!」と佐野氏も上機嫌(笑)。



しかし、9回に藤川球児が新井のエラーをきっかけにピンチを招き、ハラハラドキドキの展開に・・・何とか逃げ切り首位ヤクルトをやっつけました。



放送終了後、上機嫌だった佐野氏に怒られました。


「寺西さん、あれは言ったらあかん!だから、こんなことになるねん!」


「あれ」とは・・・




実は8回裏終了後のCM中に「これで球児で締めるし、早く終わるわ~!」と言ってしまったのです。


よくあることですが、こういう目論見は外れることが多いので「口に出して言わない」方がいいのです。


例えば、このまま行けばノーヒットノーランという展開で、「前回はいつ、誰が達成した?」なんて調べ出すとカキ~ンとヒットを打たれたりするものです。


だから、なるべく言わない方がいいのです。


8回裏終了時で20時半前でした。放送終了は21時10分前でした・・・。



打てる気がしなかった村中から点を取った、解説もハマった、延長にならなくて済んだという幾重にも重なった安堵感から出た言葉でした。


ところが、すべてがひっくり返る可能性もあった展開になりました。いやいやヤクルト、恐るべし・・・そして自分の口も恐るべし・・・の夜でした・・・。



土曜日もタイガース勝っちゃいましたね!首位に連勝~やりますね!でも、欲張った言葉は慎みます・・・。



以上、「口は災いのもと」を実体験したスポーツアナウンサー寺西 裕一でした。