素晴らしいサンデー~ヤングサンデー休刊と僕とムジナ~ | Please trust over 30

Please trust over 30

体は大人、頭脳は夢見る乙女な30歳の"乙っさん"の僕が気になるものや事に関してつらつらと書き散らす駄ブログ

5/30(金)に週刊ヤングサンデーの休刊が正式に発表されました。
最近ではドラマ化された『Dr.コトー』、『クロサギ』などが連載され、愛読されている方も多いと思います。
ヤングジャンプやヤングマガジンの100万部近い発行部数に対し、ヤングサンデーは20万部と大きく水をあけられ苦戦していたみたいです。
最近は少年サンデー系のライトな画風の作品が多く、アクの強い作品の少ない感じで物足りない感も否めなかったのですが、いざなくなるとやはり寂しい感じがします。




僕が初めてヤングサンデーを読むことになった切っ掛けはとある漫画からでした。

1990年代中後半、
既にジャンプはかっての勢いを失い、『GTO』や『金田一少年の事件簿』等の大ヒット作品を抱えるマガジンが隆盛を極めていた時代でした。

当時まだ花も恥じらう高校生であり、作品の善し悪し関係なくメジャーよりもマイナー、条理よりも不条理を無駄に尊ぶ重症の高二病患者の僕にとって、かってのヤンキー、スポーツ、ギャグを三本柱に、無駄に線の多い劇画タッチの画風と男の血と汗と涙という男汁満載のストーリーの作品がすっかりとなりを潜め、泥臭い持ち味を失ったその頃のマガジンには魅力を感じれず。新しい漫画に飢えていました。

そんな漫画餓狼の僕は地元の友人の家に行ったある日、その友人の本棚にある見慣れぬ漫画に目が止まりました。
その漫画の名は「ムジナ」
作者は『かってにシロクマ』『コージ苑』で知られるギャグ漫画家の相原コージ先生です。





時代に逆らうかのような昭和な画風に、今でこそ『NRUTO』や『バジリスク』など、割と取り扱われてはいますが、当時はとうに廃れていたジャンルであった忍者漫画、敬遠したくなる要素満載だったのですが、何故、ギャグ漫画家の相原コージが?という混乱から思わず手に取ってページをめくると、それは過ちである事に気づきました。


かつて無いほど弱くて情けない主人公、えげつないほど生々しい暴力や性の描写、主役級のキャラが塵芥
のように簡単に死ぬ展開等、今では結構当たり前ですが当時の漫画でこのような描写は殆ど見られないものでした。そして、突然始まる実験シリーズでは作品中で間違い探しを行うなど(しかも緊迫した展開の中)現実的でない描写対して用いられるにもしつこいくらい解説等、これでもかと言うくらい一冊にあらゆるものを凝縮して詰め込んだ正に至高の漫画であり、あえて忍者という使い古されたテーマで漫画のセオリーと限界に挑んだ野心作であると言えるでしょう。
そしてその全ての描写が作品の奥底にある愛と生という普遍かつ不朽のテーマに結実しているのです。




読み終わった後、衝撃と一瞬放心状態に陥ったのを今でも覚えています。
その衝撃がどのくらいかというと、今までコロコロコミックしか読んでない純粋培養の子どもにいきなり少年チャンピオンを読ませるくらいの衝撃です。



まあ部屋で漫画を読んで放心状態に陥られた友人は良い迷惑ですが、この漫画こそが、僕にヤングサンデーを手に取らせる切っ掛けとなったのです。

長くなったので続きます。