大変だった時も笑っていたし、冗談ばかり言ってた。
避難所での不満は、酒が飲めないこと。。そんな人だった。
急に行って驚かせたことも何度もあるけど、必ず帰りの予定を聞いてきて、
また寄ってから帰れと。 いっつもお土産を持たせてくれた。
その人の仕事場はいつも近所のお父さんたちの溜まり場になってた。
いつも人が集まる四畳半もないくらいの小さな小さな事務所。そこで地元のお父さんたちと肩を並べて会話を聞いてるのが楽しかった。もうあの空間もなくなる。
元気で陽気な姿しか思い出せないからいまいち現実味がないのだけど、
もうあの人はいない。
お線香をあげさせてもらいに仮設にお邪魔して仏壇の前に座った時だって、まだ信じられないくらいだった。
これ持っていってと、奥さんからいただいたものがある。
津波で壊れた家から出て来たブランデー「ナポレオン」
ブランデーは詳しくないのだけど、おそらく価値のあるものだと思う。
お酒の価値は別として、僕にとっては言うまでもない価値のあるもの。
奥さんが「潮を被ってるから洗うよ」というので、止めた。
このままが良いからと言ってそのままいただきました。
人生最後の3年近くは津波とともにあった人生だった。
そのボロボロになったラベルのお酒が僕にとっては大事な形見です。
出来れば一度だけでもお父さんとお酒が飲みたかったなと。
合掌。
