先日、某タイトル戦の現地解説会に行ってきた。


解説会の費用は2000円。

解説担当はIプロだった。


結論から書くと……ひどかった

とても客商売とは思えないレベルだった。

2000円の内訳で、大半がショバ代というのなら理解できるが、

もしそこからギャラが出るのであれば、正直もう行きたくない。


当たり前だが、

将棋の指して勝つために求められる能力と

将棋の解説者として求められる能力は、

完全には一致しない。


解説者として求められる一番の能力は

観客が知りたいことを、

観客に分かるように伝える能力である。


もちろんその中には棋力も含まれる。


終盤のきわどい場面、

観客が詰むか詰まないかを知りたいときに

的外れなことばかり言う解説者は、

観客から望まれることはないだろう。


また現在の大盤解説のやり方なら、

観客を飽きさせない話術力も必要とされると思う。


もし、客から金銭を得ることで生計を立てる職業とプロというのなら

大盤解説に来るべきは、解説のプロである。

決して解説アマではないし、もしアマなら金銭を取るべきではない。


逆に、解説者として登場し、それにより報酬を受け取るなら

プロレベルの解説を行うべきである。


そのためには、最低限の資料の整理や調査などはするべきで

間違っても「羽生2冠のタイトルはこれまで……70期を超えるくらいでしたか」

などと、一介のアマチュアにでもわかるレベルのことを間違えてはいけない。


それでも、もし手元に資料などを用意し、それを見ながら説明しているのであれば

この解説のために事前準備をしたのだろう、という推測が生まれ

場合によっては観客が容赦することもあるのだろうが

(もちろん、場合によってはそれでも容赦されないものもある)、

「まぁ大盤解説の内容はその場で考えればいいや。

手順の解説くらいならどうにでもなるだろうし」などという雰囲気を漂わせてたら

水風船の1つも投げつけたくなる(トマトや生卵でも良いが、食べ物はもったいない)。


そういう意味で、前述した日に解説者として登場したI氏には

今後大盤解説でお金を払いたいとは思わない。


追記:

I氏は終局直前に「今日はもう少し他のプロも来ると思ったのですが」

と言っていたが、これにも腹が立った。

仮にも仕事を引き受けたなら、自分で全てやるのが当たり前である。

「他にも現場に誰かいるだろうから、その人にも協力を仰げばいいや」

などという考えは、解説者以外の職業でも、プロとして失格である。


追記2:

上記内容は自分の職業にも当てはまる。

だからこそ、会社の仕事については、

少なくとも周囲にそういう見方をされないようにしているつもりである。