翌日になっても息子の熱は下がっていなかった。
どうすればいい?
37.7度。
息子は「しんどくない、大丈夫」と言う。
息子が病気になる前の私だったら
病院に行こうとは決して思わないレベルだ。
それにあと2日したら予約診療で病院に行くことになっている。
熱がこれ以上高くならなかったら
様子見であと2日待つべきか。
いや、でも昨日のランチで体内に入れた何かが
発熱の原因だとしたら早急に解毒というか
その原因となる物質に対処してもらいたい。
予約外診療で病院に行くことに決めた。
私は病院に電話をかけて受診したい旨を伝えてから息子に連絡した。
「今から病院に行くから。
タクシー呼ぶから出かける準備してね」
主治医が問診票を見ながら息子にたずねた。
「家族で具合の悪い人は?」
息子「いません」
「どこか人の多いところに行ったり電車やバスに乗ったりした?」
息子「いや行ってません」
私が口をはさんだ。
「普段の外出は散歩するか私とスーパーに行くくらいです。ただいつもと違うのは昨日、家族で食事に行ったんですが移植してから初めてアルコールを飲んだんです。もしかしたらそれがよくなかったんじゃないかと思って…」
主治医はそれに対しては「あぁ、そうですか」とだけ言った。
「とりあえず検査してきてもらおうと思います」
息子は血液、尿の検査とレントゲンを撮るよう指示を受けた。
検査を終えて再び診察室に呼ばれて行くと
主治医ではない医師がいた。
「検査の結果、何も異常は見られなかったので主治医のほうから代わりにお伝えするように言われました」
「炎症反応も出てないですし、血液の数値もいつもとそれほど変わりません。ですが熱があって鼻水が出るということなので、とりあえず2日分の抗生剤を出しておきます」
あぁよかった。ひとまず安心した。
息子に「よかったね」と言うと息子も
うん、とうなずいた。
息子は安心したというよりは
入院を免れてほっとしたという感じだ。
「あぁよかった、何もなくて。安心したね」
と言う私に
「だから大丈夫やて言うたやろ。ママは心配し過ぎやって」
スマホでゲームをしながら息子が言った。
「それにアルコールの話してたとき、先生きっとこの人変なこと言ってるな、て思たはったで」
何と言われようが来てよかった。
息子の体はどうなっているんだろう、とやきもきしながら2日も待つなんて精神衛生上よくない。
あれほど医者には行かない派だった私が
息子が発熱したとなればすぐさま病院に行くようになった。
自分の変わりようを思ったとき
変わらざるを得ないほどの病気に息子がなったのだとあらためて思った。