ブドウ球菌による感染を発症して


6日ほどたち


「熱、だるさ、吐き気がないだけで気分はまし。食欲も戻ってきた気がする。基本的に元気」 


と息子が言ってきた。



引き続きある症状は下痢、かゆみ、膀胱炎(長い)。


ある日


「痒い顔と首こんななっておりまひゅ」


と息子が写真を撮って送ってきた。



顔の皮膚はカサカサしてる感じで


普段の顔色より色が濃くなっている。


けど目のまわりだけは色が白くて

逆パンダみたいだった。



見ると首には

血のかたまりがついている。


かゆくて掻きむしってそうなったのかと聞いたら


そうではなくて


首にカテーテルが付いていたときに

皮膚がはがれたらしい。


リムーバーがなくなった、と言う。




この日は

主人が届けものを持って行く、と言ったので


息子がほしいと言った食べ物と

リムーバーを買って持って行くように

お願いした。



一通り買い揃えて

看護師さんに荷物を渡して帰ろうとしていた主人のあとを先ほどの看護師さんが追ってきた。



「あの、すみません、

息子さんがこれは持って帰ってほしいって」




リムーバーだった。



家族LINEに息子が


「誰が病院で爪のネイル用のリムーバー必要やねん」


と突っ込んでいた。



そもそもリムーバーを見たことがなかった主人は

ドラッグストアに行き


管を取るのに使うリムーバーをください、と言ったら店員さんにこれを渡されたという。



今日は自分が行くと言う主人に


ちゃんとリムーバー買えるかなぁ…と


不安がよぎったがやっぱりだ。



息子のLINEに


「リムーバーは私が使うから安心して」


と娘が返していた。




家族でこんなふうにやり取りできることが幸せだ。



この日常が続いてほしい。



以前は


息子は大学に行きバイトをして

友達と遊んで、私はそんな息子を見守ることが日常だと思っていた。



でも今は白血病の息子を見守る、これが私の日常だ。



日常は失われたのではない。


日常が変わったのだ。



どんな人生も日常でありそれは無常なのだ。