「それと、食べ物のことも聞きたいんですけど…」



息子が主治医に言った。




「?」という表情になった主治医に私が言った。




「焼肉に行ったときにユッケが食べたい、と言うんです。でも、生の肉はさすがに怖いので…。お刺身に関しては、以前に新鮮なものをちょっとだけなら、と言われてから、たまに食べてます」




何を食べてもいいかに加え、作ってからの経過時間についても知りたかったので私はつづけた。




3時間以内に食べなくてもいいが次の日はやめたほうがいい、と以前に主治医に言われたからだ。



私は次の日、というのを24時間経過したものと解釈した。



昼に作ったものを夜に食べてもいいのなら、夜に作ったものを翌朝に食べてもいいだろうということだ。




「最初は作ってから3時間以内に食べるように言われましたが、もう3時間以内じゃなくてもいい、と言われてからは晩に作ったものを翌日の朝にチンして食べることもあります。それでも体は何ともないようです」




主治医は私が言ったことにうなずいてこう言った。



「もう普通の人が食べるものを食べて大丈夫ですよ」




(よかった。…でも、普通って…)と考える間もなく主治医が言った。




「それで、そろそろ予防接種を打ちはじめたいと思います。まだ打ってませんよね?」



私「あの、犬に噛まれたときに破傷風だけは打ちました」



主治医「そうでしたね。まずは生ワクチンじゃないものから、次回からやっていきましょう」





やっと予防接種を打てる段階になった。



このことは病気の寛解に向かって前進している感じがする。





主治医「では次は2ヶ月後に来てください」




久々に嬉しい気持ちで診察室をあとにした。






はたと気づく。




主治医は結局ユッケは食べていいとも悪いとも言わなかった。



それに普通の人が食べるもの、とはなんとも曖昧だ。




まぁいいか。