勝因分析についてコメントをいただいたので、まとめて書きたいと思います。

 

端的に申し上げれば、「それまでの勉強方法にこだわらなかったこと」につきると思います。

連続して不合格になっている人の代表的な特徴として短答は高得点だが、論文の成績があまり上がっていない、若しくは下がっているということがあると思います。

このような方たちの勉強に対する姿勢を勝手に推測するならば、長年続けてきた勉強方法を改めることができないということがいえるのではないでしょうか。

長年続けてきた勉強方法を新たに転換することは、それまでの努力が無駄になるのではないか、勉強時間が足りなかっただけであと一年続ければ合格点に届くのではないか・・・、というような思いにとらわれ、踏み切ることが難しいのかもしれません。

 

かくいう私も法科大学院の受験勉強から、一回目の受験まで自身の勉強方法について自信を持っていました。「一般的に合格者が言うような勉強方法より、自分の勉強方法の方が優れている」「答練は受講すべきとみな口をそろえて言うが、意味があるのか?」「予備校なんぞに頼らずとも市販の教材で十分だ」「アウトプットなどせずとも知識をしっかり入れて論文の形さえ習得していれば論文は書ける」・・・などなど少し偏屈になっていたところがあったように自分自身思います。

 

しかし、不合格という結果を突きつけられ、またその順位が自分の納得のいくようなものでなかった場合、その結果については真摯に受け止めなければなりません(答練の成績についても同様)。

ここで、なんらかの理由をつけて(予備校の採点者の能力が低い、自分はちゃんと書いたはずなのに正当に評価してもらえていない、etc・・・)、その結果を逃避していたのでは成長は望めません。

予備校の採点者のコメントや合格者の言葉を無批判に取り入れることも危険ですが、悪かったところは悪かったこととして素直に受け入れることが成長への近道だと思います。

 

「素直さ」というのは、勉強に限らず人として生きていくためにはとても重要な能力です。

この記事を読んでそのような節があると感じた人、複数回不合格だった人は特に意識してもらえるといいのではないかと思います。

 

 

以上のことは少し精神論的な感じになってしまったので、もう少し具体的に勝因を分析してみたいと思います。

とりあえず、基本的な論文の書き方を身につけることができたというのが大きかったように思います。

論文はなんとなくで書いているとダメですね。基本的なところをカチッと書けていると答案を読んでいる方も安定している印象を抱きますし、自分自身論文を書いている途中に論述が破綻するようなことが少なくなります。

また、私は一回目事実のピックアップ、評価という新司法試験になってから点数が多く振られているといわれている点を軽視し(これも上で述べたような独善)、法律論を重視していました。これには理由があって(独善)、法律論なくして事実もクソもないと考えていたので(それ自体は間違っていない)、事実重視が言われる状況に反感みたいなものもあったのだと思います。

しかし、結局ろくに論文の演習もしなかったので基本的な法律論すらその論証の意味をちゃんと理解していないため、ちゃんと論証できていない、論証できても意味がわかっていないためちゃんとあてはめられていない、というような状況だったのではないかと分析しています。

ここが、一回目著しく点数が低かった要因だと思います。

 

とりあえず、「基本的な問題を確実に解答することができる」、これが一番重要です。ついつい難しい問題に手を出したくなってしまう気持ちは理解できます。このような基礎的な問題をやっているだけで未知の問題が出題される本試験に対応できるのか・・・、やはり学者が出版している演習書を中心にやるべきではないか・・・

 

確かに、難しい問題をやることは上位を目指す方にとっては重要でしょう。しかし、そのような問題を消化することができるのは基礎基本が完璧にできている方たちだけです。そのような基礎基本ができていないにもかかわらず焦ってそれらに手を出してしまうと、基本的な問題の解答もままらない状態になるでしょう。

司法試験の問題は基礎基本さえしっかりできていれば(←これよく言われるところですが、ちょっと誤解されがち?具体的には上で述べたようなことができていれば)、大体は対応できるようになるのではないでしょうか?

基礎基本を極めれば自然と未知問も解答できるようになります。なんて言うんでしょうか、演習しているうちに法的センスみたいなのが涵養されていく感じ?

 

来年度から研究者も作問に復帰するとのことですが、原則として3年で交代と言うこととなり、出題傾向も作問担当者による偏りがなくなってくることが予想されます。

いわゆるネタ本といわれるような作問担当の試験委員が執筆した演習書から似たような問題が出題されるというようなおかしな状況はなくなるように思います。

そもそも、そのような状況が生じていたことが異常なのですが、そのような状況が予想される以上、学者の演習書を無理して解く必要もなくなったのではないかと思います。

 

あと、しっかり勉強時間は確保してください。今年不合格で意気消沈してしまっているかもしれませんが、司法試験に合格して自分の目指す道に進みたいとの強い意志があれば今年一年間の受験生活も乗り越えられるはずです。

私もそのような強い意志があったからこそ、二年目もそれまでと同様の勉強時間を確保することができました。

某掲示板では勉強時間は大体3~4時間が普通、なんて書かれていましたが正直、あり得ないのではないかと思いました。高校受験レベル・・・

結局、なにか目標があって司法試験を目指している人以外はこのつらい受験生活を乗り越えることは困難です。仮にそのような目標がなく勉強時間を十分に確保することができない状態なのであれば早期の進路変更も一考に値すると思います。

私は毎日10時間は勉強時間を確保するようにしていました。中には14時間やそれ以上やっているような人たちもいます。

そのような人たちに勝つためにも絶対的な勉強時間の確保は必要でしょう。

 

以上長々書きましたが、まとめると①自分に対する評価に素直になること、②基本的な問題を確実に解答できるようになること、③絶対的な勉強時間を確保すること・・・になるでしょうか

 

とりあえず、工藤先生の講義を受講している人はそれをしっかりやっておけば大丈夫だと思います笑

 

以上です(^^)

 

*追記

私のブログで工藤先生の講座を相当おしていますが、これをみてなんとなく受講しようかなと考えている人がいれば、それはよく考えてからにしてください。

あくまで、私は以前から工藤先生が好きでその指導にある意味無批判的に従えたからこそ効果が出たものであって、とりあえず受講すれば効果が出るというものではありません(当たり前だと思いますが)。特に工藤先生の講義は他の予備校講師のような小手先のテクニックを公開しているようなものではないので、安易に手を出すと痛い目を見ると思います。

受講する際には工藤先生との相性を考えてよく検討してください。

一応、やたら宣伝してしまっているので注意喚起です笑