(最終更新:2023/8/31)

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 2023年8月31日現在、最も古いミク用に作られたオリジナル曲と考えられる『宝物』。最近の曲のような爆発力はないものの、知る人に静かに愛される最初期の曲です。お誕生日企画第6弾は「最古のミク曲」の1つとも言える『宝物』について考えてみます。

 

 

 "動画投稿は2007年9月9日。作詞作曲はAzell。"

 「最古だと思いたい」とコメントが付くほど最初期の曲。悪意はないが「最古のミクオリジナル曲」と言われる『迷宮なあなた』と比べて正統派というか分かりやすい曲であるため、こちらが最古の曲だと思いたい視聴者による感想である。だが、"現在動画が残っている初音ミクが歌うことを想定して作られた最も古いユーザーオリジナルの曲"まで限定すれば本当に「最古の曲」である。

 

ニコニコ動画へのリンク 

 

 

 

 

 

 楽曲形式は次の通り。

intro-A-B-サビ-間奏-A-B-サビ

 典型的なJPOPスタイル(A-B-サビ)。2番までのスタンダードな形式。

 

 

 introは付点四分を含むリズムで、軽快さを持っている。またアコギっぽい音色やストリングシンセで爽やかな印象がある。

 

 

 Aメロは最後に長音符がつくフレーズが多く、歌詞の塊に合わせて歌うことができる。フレーズで見ると下行する音型が多く、先程の長音符も相まって、間を保ってゆっくりと語りかけるような雰囲気になる。伴奏はイントロ同様に付点四分音符を含むリズムで、メロディが下行形でも軽快さを失うことはない。

 

 

 BメロはAメロとは反対に上行する音型が主となり、言葉の主張が強くなったように感じられる。また途中から四分音符を中心とするメロディになり、さらに言葉に重みが乗るようになる。伴奏は今までと異なり拍通りのリズム感を持つ音楽になるため、メロディの持つ雰囲気を後押ししている。

 

 

 サビは長二度上に転調する。フレーズは八分音符2つのアウフタクトから始まり、アウフタクトのほぼなかったAメロとBメロに比べて音楽の前のめり感や推進力がよく感じられる。伴奏はフレーズ終わりにsus4をよく使用するため毎回緊張感→解決感が訪れる。2番の後に「最高の宝物」のリフレインが入る。

 

 

 間奏はこれまでの雰囲気を変えるシンコペーションしまくるシンセの後に、少し唐突な借用和音が入りAメロの転調に向けて準備をする。

 

 

 

 

 

 ここからは歌詞に触れていくが、いつも通り一部分だけ引用する。

 

 内容はとてもシンプルで青春ものっぽい。わかりやすく教育的な内容で、大人になって「分かっている」ことでも改めて思い直すきっかけをくれる。

 

 

"報われなくても いいじゃないか"

 思わずハッとする言葉である。行動にはどうしても報われたいという思いがつきまとう。このブログだってそうだ。だが、報われることを求めるよりも自分のペースで歩む方が大事だと意識していきたい。

 

 

"最高の宝物"

 この楽曲は意外にも「ともに泣く」ことが最高の宝物と言っている。それは、楽しい経験も大事かもしれないが自分が壊れそうなときにそのストレスを逃がすことが生きていく上で大切だ、という意味だろう。笑顔で居続けることよりも、前を向くことよりも涙を流すこと、しかもそれを共有できる人物がいることこそが宝物だと言っている。ひょっとしたらその人物とは初音ミクのことかもしれない?考えすぎだろうか。

 

 

 

 お粗末な分析かもしれませんが、比較的分析しやすい曲でした。「初音ミクに何歌わせよう?」で取り急ぎ作った曲のようですから、分かりやすかったのかもしれません。

 お誕生日企画に際して色々と調べているわけなんですが、無知なのでまぁ知らない曲が多いんです。今回の曲も「はじめまして」でしたが分析のために何度も聴いて「こういう曲は最近少ないなぁ」って思いました。嫌いなわけではないんですが、最近の曲は複雑というか作り込みがすごいというか……。初期の曲はその辺シンプルな曲が多いのでそういう意味で好きです。