初音ミクお誕生日記念企画第29弾は、初音ミク誕生当初から人気を誇るsasakure.UK(ささくれP)の代表作『トンデモワンダーズ』です。ネットではその軽快な曲調から、瞬く間にヒットし"バズ"りました。同氏の選曲は、初期の名作『*ハロー、プラネット』とも迷いましたが、初音ミク達(ピアプロキャラクター)の人格を前面に出したゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク』のために書き下ろされた曲ということで、今回はこちらの曲について考えます。ミクと言うよりワンダショの曲ですし、KAITOもコーラスで歌っているので厳密な初音ミクオリジナル曲か?と言われればどうなのだろう?と思いますが、プロセカfeat.初音ミクの曲ということでなにとぞ。



 "動画投稿は2021年6月19日。作詞作曲はsasakure.UK。ニコニコ動画伝説入り(100万再生超え)"

 スマートフォン向けゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク』のために書き下ろされた曲。TikTokなどSNSやネット上で流行った。



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 楽曲形式は次の通り
intro-A-B-サビ-間奏1-A-B-サビ-間奏2-落ちサビ-ラスサビ-outro
 典型的なJPOPスタイル(A-B-サビ)。歌唱部分は2番→サビ→ラスサビとスタンダードな形式。


 イントロは比較的短め。前半はサビと似た雰囲気の音楽で分散和音の後に順次進行のメロディが続く。後半では全音階的に下行するので浮遊感と言うか踏み外すような感じがする。

 Aメロは主和音の構成音が多く使われ、跳躍進行も多いためよく響く軽いメロディとなる。フレーズはほとんどが主音で終わるため、「読点」感がある。最後だけv度で終わるため次に向けての推進力がある。メロディに登場するviiの音は全て導音でなく半音下げられているため、解決への"キツさ"がなくなり軽快さを増している。


 Bメロは2つのフレーズから出来ている。フレーズ頭の休符と続く跳躍上行そして順次進行の下行が踏み切ってジャンプしたあと着地するような印象を与える。続くメロディは順次進行が多く使われ、流れるような音楽となる。2つ目のフレーズでは前半は同じだがようなメロディだが、後半は跳躍が多く活発さを増す。


 サビは始めに登場する和音構成音の分散和音が印象的。ここで使われているのはviの短三和音の構成音だが、ベースがivであるためIV7となり、セブンスの豊かな響きとともにメジャーコードの明るさを得ている。その後は順次進行の多いメロディが続き、メロディアスなフレーズとなる。最後までviiの音が出ないため、少しだけ民族的なメロディとなる。最後に出てくるviiはやはり半音下げられ、♭vii-i-ii-iの順次進行で全音階的なメロディとなる。そのため浮遊感がある。また、1番最後の音が下行のため、外に発散するのではなく内側へ包み込むような感じがする。


 間奏1はイントロみたいな音楽。


 間奏2は新しい音楽、途中にサビの終盤のような主旋律がある。最後は半音階的に下行する。


 落ちサビはサビと同じような音楽。


  ラスサビは半音上の長調に転調する。音楽としてはサビと同じような音楽。最後のフレーズを繰り返す。


 アウトロはイントロのような音楽だが、最後に同音の連打がある。そして、長二度上行の長三和音で終わり、浮遊感はあるが解決した感じがする。ドラムロールして、ジャン!みたいな感じ。



 ここからは歌詞に触れていくが、いつものように一部分だけ引用する。

 この楽曲はまさしくワンダーランズ×ショウタイムのために書かれたものだと強く思う。が、私はプロジェクトセカイをプレイしていないので詳しくは知らない。とりあえず、トンデモないことが起きているのだろう。書いてある内容に間違っていることがあれば申し訳ない。

"エビバディ→解体!"
 先も言った通りプロセカはプレイしていないので詳細なことは知らないが、この楽曲を歌う「ワンダーランズ×ショウタイム」を検索するとサジェストに「解散」と出てくる。なにやら不穏な様子。ストーリーに解散を示唆するものがあるようで……。
 楽曲のスタートが"エビバディ→解体!"なのはそんなワンダショのことを歌っているのか?続く歌詞も「思い出に消しゴム?」ときた。少なからず穏やかでないことはうかがえる。彼らのイベントとして、重要なことが起きているのだろう。


"100回オチても不死議は鳥乱さない"、"∞回オチても不死議は鳥壊せない"
 取り乱さない、取り壊せないになぜ"鳥"なのか……。わからないので調べたら「鳳えむ」というキャラがいるらしい。彼女になにか関係が?
 もう一度歌詞を眺めてみたら見つけてしまった。不思議ではなく"不議"になっている!不死の鳥で「不死鳥」のことだ!そして調べてみてわかった。どうやら「鳳えむ」の祖父が創設したテーマパーク「フェニックスワンダーランド」という場所があるらしい。
 さらに、フェニックスワンダーランドの中にある「ワンダーステージ」がワンダショの活動拠点らしい。おまけに「ワンダーステージ」について取り壊し議論があったようだ。なるほど、という感じで調べてみたが、この歌詞はやっぱり彼らのために作られたものだった。「何回オチてもフェニックス(のワンダーステージ)はトリ壊せない。」ただの言葉遊びではなく、彼らの強い熱意が込められたものだろう。取り壊し議論の結果を知りたい方はご自身で調べていただきたい。
 また、フシギは英語にすると"wonder"。まさしく「ワンダーランズ×ショウタイム」自身のことも指しているのだろう。何回オチるような事件があってもメンバーは取り乱さない、取り壊せない。今後のストーリー次第ではあるが、もし仮にそれぞれの夢に向かって物理的な"解体"があったとしても、メンバーの中ではワンダーランズ×ショウタイムが残り続けるという意味だろう。


"ワンワンでツーカーでスリーフォー エビバディ ショウタイム"
 カウントしてみんなショータイム!という歌詞。ワンダショが観客に向けて「みんなのこと楽しませるよ!せーのっワン・ツー・スリー・フォー!」みたいな感じだろう。ショーマンとして観客が明るくなる元気な掛け声は大切な要素だ。
 ただ、本当は自分たちのことを想った大切な歌詞だと考えている。「ワンワン」はさっきも登場した「鳳えむ」の"魔法の掛け声"「わんだほーい」のことだろう。「わんわん わんだほーい」って言ったこともあるみたいだし。「ツーカー」は"つぅかぁの仲"かなぁ?とは思ったが、もしかしたら「天馬」を指すかもしれない。「スリーフォー」はこの流れで行くと幼なじみの「草薙寧々」と「神代類」のことと推測される。そして、「エビバディ」は直訳では「みんな」だが、冒頭で"エビバディ→解体"と示唆される存在であり、ここまでのワンツースリーフォーを踏まえると「メンバーのみんな」のことを指すのだろう。そして最後の"ショウタイム"はまさしく「ワンダーランズ×ショウタイム」のことだ。観客に向けたものよりこちらの意味のほうがメインだと思う理由に、音楽的に内側へ向かっていること(サビの分析参照)、カウントが割とよく使われるスリーやファイブでもいいのにフォーまでであることが挙げられる。
 つまり、4人揃ってみんなでワンダーランズ×ショウタイムなんだよ!と、この楽曲では何度も歌っている。解散ということがグループの終わりなのではなく、もし万が一、解散してもそれはあくまで通過点であり、どこへ旅立とうとも4人のワンダーランズ×ショウタイムは存在し続けるんだよ、という大切な約束が込められた楽曲だろう。



 プロセカをやっている人なら私の何十倍もワンダショの楽曲や足跡について理解していると思います。"にわか"ではありますがここに考察を残しておきます。