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message from Y.O.U.

実はタイトルで敬遠していた作品なのですが、「クジラの彼」のあとがきでこれも自衛隊三部作関連の短編集だということを知り、ようやく手に取りました。
電子書籍なので、正確には「ライヴラリにDLしました。」ですか。
技術の進歩や時代の流れで旧来の表現がマッチしなくなることがままありますが、近年その傾向が加速しているような気がしますね。
「ペンを執る」とかね。

閑話休題。

さて、ラブコメ今昔。
自衛隊という堅い題材を使いながら、隊員の恋愛模様にフォーカスするというその視点、とは言え全く手を抜かない自衛隊への徹底した取材、そして描かれる魅力的な登場人物。
「ターゲット層が見えない」という言葉を好意的な意味で使うことは稀ですが、こと有川浩という作家に対しては賛辞としてこの言葉を使わせて頂きます。
戦闘機だ潜水艦だなんて話は、本来男子が食いつくネタなんですよ。
「どんな話なの?」
と聞かれて、
「自衛隊の話」
と返せば、大抵の女子は興味を失うに違いありません。
そんな題材のデメリットを物ともせず、内容はがっつり女性向けだったりする。
「自衛隊モノ」という撒き餌に釣られた男性は大変です。笑
恋愛小説が主食の男性って、どれだけいるんですかね??
あまりいないと思うんですよ。
少なくとも僕は本格推理畑の人間なので、なかなか手を出したことのない世界。
そこにうっかり足を踏み入れちゃったわけです。

そしてどハマりしている。笑
それだけ、内容の質が高いのです。

さて、完結した作品の後日譚やスピンオフというと、その反応は二極化されると思うのです。
「嬉しい、またあの登場人物たちに会えるんだ!」
という反応と、
「蛇足だ、こんなのは必要なかった!」
という反応と。
僕は概ね前者なので、こうして短編集に知っているキャラクタが描かれてたり、全く別の長編にゲスト出演していたり、という趣向がとても好きだったりします。(余談ですが、昔CLAMPの作品を全部追っていたのはそのせいです。笑)
続編、と銘打って前作の世界観ぶち壊してまで大風呂敷広げられるのは興ざめなのですが。苦笑

思いがけず熱く語ってしまいましたが、そうさせるだけのパワーが、有川浩作品には込められているのだなぁ、と改めて実感したのでした。