気を取り直して、スクータの発電、HID使用時のバッテリー上がりについての解説。
この回路図は、スクーターなど小排気量のバイクの発電、充電回路の原理図です。
・左側のACG(交流発電機)は、2つの出力があり、波形を下図に示す。
ACGの上側を青、中央をマゼンタで表した。(数値は正しくありません)
・左側のACG(交流発電機)出力が+(正)時はダイオードによって整流して右側のバッテリーに充電する。
(青の経路)
同時に、ACGの別端子の出力が、ヘッドライト、テールランプを点灯させる。(赤の経路)
・ACGの出力が-(負)のときは、ダイオード(レクチファイア)が電流の方向が逆向きになるので、バッテリーは
充電されない。 なので、半波整流とよばれる。
ランプは、-(負)でも電流を制限するものがないので、点灯する。
なので、ランプは、交流駆動され、ACGの発電電力を全部使っている。
・ACGの波形は、レギュレート・レクチファイア、バッテリー、ランプが接続されると下図のような波形になる。
(青線は、半波整流されたイメージを出すために負側を書いていない)
(電圧、電流の数値は正しくありません。イメージとして理解してください)
・バッテリーの充電が進み、電圧が14~14.5V程度まで上昇すると、ACGの出力が+の時に
バッテリー電圧検出(回路)が、 サイリスタをONしてACGをショートさせて、発電電圧を下げて
過充電を防止する。この時、ランプの電圧も抑制されて、過電圧による球切れを防止する。
ACGが-の時は、バッテリー電圧検出(回路)は働かないので、ヘッドランプ電圧検出(回路)が
別のサイリスタをONさせて球切れを防止する。
次に、半波整流のままHIDなどランプをDC化したときの問題を解説します。
上の説明でランプは、交流駆動されていると説明しました。
・ここで、ヘッドライトが40Wだったとします。(テールランプは省略)
乱暴な言い方ををすると、ACGが+の時に20W、-の時に20Wの電力を供給していると言えます。
・一方、バッテリーの充電およびDC負荷の駆動は、ACGの+の時しか行われませんので、ランプを
DC化した場合には、20Wのランプにしなければならないことになります。
実際には、ACGには余力(マージン)があり、40Wのランプが標準装備なら、50Wとか60Wの発電能力を
持っているので、DC化した場合は、25Wとか30Wのランプが使えます。
ここでの結論は、AC駆動のランプをDC化すると、発電能力がざっと半分になってしまう。
言い換えると、半分のW数のランプしか使えなくなると言う事です。
ヘッドライトにHIDを使った場合は、さらに厳しくなります。
ノーマル(ハロゲン)ランプは、40Wであれば、消費電力もほぼ40Wですが、HIDの場合は、25Wのランプで
30Wくらい消費します。35Wのランプであれば、40数W消費します。
なので、半波整流のままHID化した場合は、ACGの能力にもよりますが、20~25WのHIDを駆動するのが
やっとと言えるでしょう。
では、30Wや35WのHIDを使いたい場合は、どうしたら良いか。
これは、次回。 (って何時だ?)
2/20 図面を追加して、加筆