ぬかるみに足を取られて
動けないと信じていたのに
気が付けば
その両足には
足枷が付いていた。
鍵が無ければ
外しようがない。
何度も同じ道を辿っても
帰り道すら見失ってしまって
それでも
迷いさえ振り切れば
いつか帰れると信じていたのに
地図が無ければ
帰りようがない。
足枷を外すための鍵も
帰るための地図も
はじめから何処にも無かったんだと
言い聞かせて
何度自分を騙せばいい?
限界だと泣く悲鳴(こえ)に
何度耳を塞げばいい?
目的地も分からないのに
傷だらけの脚で
どこまで歩き続ける?
ずっと探してた自分を
いつか取り戻せると信じてた自分を
何処にも存在しないと
心を閉じて。
仕方が無いから
そのまま笑っててあげる。